数学を考える楽しみ

 今日は、私にとってある意味特別な、数学に関する話を書いてみよう。数学は、医者である私にとって、常識的には趣味と言うべきなのかもしれない。しかし、単に趣味という言葉では片付けられないような大切さを、私は数学に対してずっと感じている。さて、私は子供の頃より数学の問題を考えることが好きであった。中学生の頃には、習いたての文字式を改変し、一般の次数nで式を書いて展開し、公式を作ったりした。また、平方数の数列を書き並べてその差分を取り、さらにその差分をとって定数になることを発見したり、次に立方数や高次のベキ数でも数列を書き並べ、差分の差分の差分....をとって公式を作って喜んだりしていた。このような、他愛ない程度のことで遊んでいたのであるが、高校生の頃には、高木貞治の初等整数論講義の前半の部分を読んだりして、漠然と数学者に憧れた。それで、医学部に入ったばかりの一時期、中退して数学科に入り直したいと思ったことがあった。それは、おそらく無謀な思いつきであっただろうことは、ずっと後になってから気づいたのであった。実際、数学者になるような人たちは、たいていずっと幼少の頃に傑出した才能を示す人たちであり、例えばアトル・セルバーグは小学生ぐらいの年齢で自分で微積分を発見したというし、東大の河東さんは中学生の頃に東大院生のセミナーに自主参加していたというから、優秀な人たちの才能はケタ違いである。さて自分の場合、幸か不幸か?数学科に行くことは断念したので、現在こうして医者なのであるが、今でも、仕事や何やらの手が空いた時、数学を勉強することが好きである。それも、もっとも楽しいのは自分で問題を見つけて、それに対して自分で解答を見つけて愛でることなのである。この、「自分で問題を見つける」というところが肝心で、仮にそれを解いたとしても、ほぼ100%、すでに教科書に解答が書かれてあるか、あるいは世界の誰かがとっくの昔に同じ問題を解いてしまっているのであるが、それは大して重要ではなく、「自分で解いた」という事実が嬉しいのである。しかも自分で疑問を持った問題を自分で解いた場合には、通常そのテーマに関する理解はとても深まっており、数学の勉強法としても、時間はかかるが、まあ割と正攻法なのではなかろうかと思う。まあそんなこんなで、自分にとっての数学は、毎日医者として過ごしている生活とは一定の距離を持った、プライベートな事柄として存在している。もちろん医療統計学や何やらで、医学や医療と関連のある数学的なテーマもないわけではないが、自分の心の中の憧れの数学は、やはり数論であり代数学なのである。これはそのように感性が育ってしまったので仕方ないのだ。私はこれからも、医者としての生活の一方で、大切な数学のために、許される範囲内で時間を使うだろう。

さて、今回は以前より気になっていた群の公理について、自分なりの結果を得たので、noteにアップしてみようと思う。

今回のような結果は、自分が目に付く通常の代数学の教科書にはあまり載っていないように思うが、どうでしょうね。たぶん半群(semigroup)を扱った本には演習問題程度の扱いで載っているのではないかな? でも、半群の専門書は持っていないのでよくわからない...。


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