見出し画像

『ある振付師について』②

しかしね、気になるのは、
この『変わった演目』という言葉は
羽生選手自身のコレオということをご存知
の上での言葉ではないでしょうか。
 
なぜならご自身も振付師。
同業者のことを悪く言える程、この業界は
広くないと思います。バレエ界も音楽業界
も言えることですが、狭いです。
師匠と弟子の関係、派閥などあり、迂闊な
ことは言えないはず。まあ、知らなかった
としたらその程度の方だったのでしょう。
もし、一流の方でしたらこの演目が羽生選
手自身によるものだとご存知だったのでは
ないかと思います。
それをMIKIKO先生がライゾマティクスさん
達の振り付けに取り入れて下さった部分も
あった阿修羅ちゃんのコレオ。
これを振付師さんが『変わった演目』と
称されたのです。
 
無名の人が自由に何を書いてもいいとは
思うんですよ。誹謗中傷じゃなければ。
でも、この方は一応日本スケ連でお仕事を
されていて、選手もよくご存知の方で、
直接選手の振り付けをされている方という
立場。それも高橋大輔さんペアの『オペラ
座の怪人』などを手がけられたとか。
 
そんな方が沢山の名前をわざわざあげて
一人づつ評価を書き連ね、羽生選手の時
だけ『変わった演目』スケーティングが
見れなくて『残念』というネガティブな
表現を使われたことは実に残念なことで
した。 
 
 
この方よりは経験も知名度も格段に上の
ディビッドやジェフなどが絶賛している
阿修羅ちゃん。ジェフは大阪2日目
の阿修羅ちゃんにスタオベしていたそう
ですよ。共演していたチョクベイペアも
べた褒めでしたね。
   

そしてこの方、宇野選手のスケーティング
を褒めていらっしゃいますので、羽生選手
のスケーティングもご覧になりたかったの
でしょうね。
 
そう、羽生選手のスケーティング技術は
格別ですから。
 
いつだったかのFAOIでの演舞でのバックス
ネーク。はっきり言って羽生選手がどの
スケーターの中でも一番上手いということ
がこの動画を見ればわかっていただけると
思います。
 

 
冒頭のシーン。ゆづのスネークは主に腰と膝
の体重移動だけで後ろへスムーズかつ、スピー
ディーに滑って行きます。対して右隣と右端
(画面上)の宇野選手とランビは一生懸命、
腕を振ってその推進力を利用して後ろへ
下がって行きます。
この技術を見てもどちらが力を使わずうまく
エッジに乗って滑っているかわかるはずです。
手前のハビもいまひとつ。ジェフと羽生選手
の技術が秀でていることがよくわかる動画に
なっています。
  
 
実はこの高度な技術は実は阿修羅ちゃんに
ふんだんに散りばめられていました。
 
クロスをほぼ使わず、ステップや体重移動
だけのSSであのリンクを縦横無尽に動き、
上半身の激しい動き、くるくると向きや
体制を変えてもブレることなくピタッと
止まる。宇野選手のようにクロスで漕いで
漕いでしないと前に進めないのと違い、
羽生選手のスケートには無駄な動きが
ありません。
    


ちょっと今不具合でTwitter画面が貼れない
のですが、日野さんが阿修羅ちゃんの考察
を書いて下さっています。
 

 
記事はこちら

https://mag.minkabu.jp/life-others/15940/?membership=1


では『競技に近い』スケーティング技術がご覧になりたかったと
おっしゃっておいででしたので、その『競技』においてのSS
(スケーティングスキル)の説明を少し。


羽生選手と宇野選手のSSやTRはジャッジがちゃんとお仕事をして
いらっしゃらないので、僅差のように評価されていましたが、
実はレベルが違います。

それだけではなく、ジャンプやその他のエレメンツについての
GOEやPCSへの疑問、苦言などを集めた1万人以上の世界中の
ファンの署名を二度、ISUの本部に記録郵便で送ったのにも関わらず、
ISUは無視しましたが…

羽生選手と宇野選手のSSの大きな違いは、クロスの多さです。

両足クロスを多用してスピード出している宇野選手と、
必要最低限のクロスしか入れずにステップとターンをふんだんに
入れながら加速する羽生選手ではレベルが全く違います。
 
宇野選手はジュニア選手並みのクロスオーバーを入れているので、
両足で漕いで漕いで移動することで体力温存になります。
その分の体力を他に使えるということです。
 

少し前のデータになりますが、詳細に調べて下さって
いるものがありました。

2017-18シーズン 男子フリー演技中の片足滑走 

❶クロスオーバーの数・・ 少ない方が良い
❷片足ターン・・・・・・ 多い方が良い
❸片足滑走の長さ(秒)・・長い方が良い

羽生選手   ❶26  ❷38  ❸56
パトリック  ❶26  ❷38  ❸46.5
ネイサン    ❶39  ❷25  ❸38.5
宇野      ❶49  ❷27  ❸40

”感覚”だけではなく、数値にしてみると
よくわかります。
羽生選手に比べて体力温存で両足滑走を多様しており、
ほとんど片足滑走がないのに得点だけはいつも高い宇野選手。
なので、私は彼のSSを褒める人を信用していません。

ついでに書いちゃうと、宇野選手のあのお尻をつき出した
スケーティングを美しいとは全く思わないです。
これは美的感覚の違いなのでどうしようもないことですけど。

 
2017 .6月 ジェフリー・バトル のインタ

Q.プログラムの途中で時々両足を使って滑ったり止まったりするのと、
足を左右変えながら片足だけでずっと演技するのとでは疲労度は
どの位違うのでしょうか?

バトル「もの凄く違います。選手が途中で両足になった時は
だいたい深呼吸したり息を整えたりしているんですよね。
片足でも深い呼吸はできなくはないけれど、
両足の時よりかなり筋力がいる。両足の方がかなり楽ですね。
ユヅとかパトリックとかがいい例だけど、
彼らはだいたいトランジッションはずっと片足
です。
彼らはそういうプログラムで自分にも挑戦していますよね。」

一緒にお仕事をされていたランビがスケーティング技術を褒めていたのも
ジェフと同じ、羽生選手とパトリックですよ。
 
フィギュアスケーターではないのでこの振付師さんには
わからなかったかもしれませんね。

これはクリケットの主にスケーティングのトレイナーである
トレイシーも同じことを言っていて、特に宇野選手の問題点として、
上記のことをあげていました。上半身の動きに気を取られているけれど、
足元がいつも両足滑走で省エネだと。

  
浅田さんのコーチだった佐藤コーチも平昌後、
朝日のコラムでおっしゃっていました。
「羽生の強さを支えているのは確かなスケーティング技術、
連覇は 忘れてはいけないスケートの大事な原点を示してくれた」

 
きっと専門家中の専門家が高評価を与える羽生さんの素晴らしい
スケーティングをご覧になりたかったのに本当に残念でしたね。

その意味での『残念』ならすごくわかります。
 

③へ続く。