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体験談エピソード

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情報や勉強だけでなく、体のふしぎや病気のことなど、体験エピソードや聞いた話などを載せていきたいと思います。
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記事一覧

死産を乗り越えて⑨

火葬が終わると別の部屋に移動した。

大人が火葬されれば骨が残ります。

その骨を骨壷に入れる部屋です。

しかし、僕の目の前に置かれたのは

骨なのか?灰なのか?区別がつかないぐらいでした。

もちろん骨だけを取ることもできないので、

そのまま灰も一緒に入れ物に入れた。

建物の外にでると、煙突からモクモクと煙が出ていた。

その煙を見ながら、赤ちゃんを感じていました。

今は晩婚化になり、な

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死産を乗り越えて⑧

妊娠周期4ヶ月を過ぎると、中絶ができなくなります。

戸籍はできませんが、1人の人間としての扱いになりますので、

そのまま何処かに置いたりすれば「遺棄」になります。

ですので、人間が亡くなった時にするように「火葬」を行うのです。

僕は、発泡スチロールのような箱を抱えて、

火葬場に向かいました。

車の中で会話はなく、初めてのことで不安な状態で

なるべく落ち着いた格好で向かった。

葬儀用

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死産を乗り越えて⑦

病院についたのが夜の9時でした。

スタッフが気を利かせ早めに上がらせてくれました。

病室につくと

発泡スチロールのような入れ物の中に沢山の保冷剤らしきものが入っている真ん中に子供がいました。

手のひらだけで収まるぐらいの大きさです。

まだ皮膚もできていない子供なのか、肌の色は真っ赤でした。

その子を持ち上げ近くに寄せました。

目も鼻も口も、腕だって足だって形成されている。

足の指、

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死産を乗り越えて⑥

出産当日、仕事が抜けられなかった僕は、仕事が終わるとすぐに高速を走らせた。

この一週間は家を出て、仕事をして、病院に行き、病院で寝て、朝早く出て、家に帰りシャワーを浴び、仕事に行く。

というスケジュールだった。

家から病院まで、高速使って1時間半はかかっていたので、

決して楽ではなかったが、辛さもなかった。

それよりも、この病院を紹介され、あの産婦人科の先生の診断に間違いがあったと言って

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死産を乗り越えて⑤

僕は、自分が不幸だと思っていた。

周りが子供が産まれ、育っていく過程を見て

少しばかり焦りもあったのかもしれない。

やっとできた子供にも見放された・・・

安定期に入ってホッと安心をして間もなくのことだったので、

衝撃は大きかった。

そんな状況になっていた自分を哀れだと思ったし、可愛そうとすら思った。

しかし、それは違った。

特に、男性にはわかっていてほしい。

子供がダメになった時

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死産を乗り越えて④

先生の言葉を聞き放心状態になった僕は、

先生に診てもらったお礼も告げずに診察室を出た。

先生が悪いわけでもなんでもないのに…

診察室からでたら、赤ちゃんが生まれてくるのが楽しみにしている

妊婦さんがにこやかに座って談話している。

診察室とは打って変わって、ハッピーな雰囲気だ。

僕の心情も知らずにこの人たちはニコニコしている。
とすら思った。

しかし、待合で座っている妊婦さんがこっちを

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死産を乗り越えて③

先生の口から放たれた言葉は、

理解はできるが、

その時の僕には一切理解することはできなかった。

「無頭蓋症といって、赤ちゃんの頭蓋骨の形成がされていない。どういうことかというと、お腹の中では生きていけるけど、外にでたら頭蓋骨が形成されていないわけだから、外の世界では生きてはいけない。出産と同時に赤ちゃんは亡くなるということだね」

この先生は何を深刻そうに話しをしているのだろう。

そういう

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死産を乗り越えて②

先生から図鑑を見せられ図鑑に載っている写真に指をさしながらいいました。

「お腹の子たぶんこれなんだよね」と

図鑑に目をやると、

僕には到底どうなっているかなどわからない写真が目に入りました。

(てか、たぶんってなんだ?)

そう思いながら冷静に先生の話に耳を傾けると

「赤ちゃんはむ、、が、、しょうだと思われます」

(なんて言ったかまったくわからない)

病名なんて聞きなれたことなんてな

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死産を乗り越えて①

先日「予防医療普及協会」の勉強会で、不妊について触れて、色んな意見が飛び交っていました。

その時、僕にとっては忘れられない出来事をまた鮮明に思い出しました。

8年前

お腹に授かっていた子供の検診でした。

4ヶ月を過ぎた頃の健診です。

今までは忙しくて検診に一緒に行けなかったのですが、初めて一緒に検診に行けることになり、

ウキウキしていたのを覚えています。

空は曇り空でしたが、僕の気持

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