独イルゼン洞窟は岩山の下部にあり、上部には中世になってラニス城が築かれました。最初の発掘は1930年代に行われ、細長い木の葉のような形の石器が多数出土しました。4万数千年前は旧人類のネアンデルタール人から現生人類への移行期に当たり、人骨と断定できる化石が見つからなかったため、どちらの人類が石器を作ったかが長らく不明でした。
国際研究チームは2016~22年に再発掘し、前回の発掘で調べられなかった地下の巨岩の下も調査。新たに見つかった骨片化石を前回出土して保存されていた骨片化石とともに最新の技術で分析したところ、細胞小器官ミトコンドリアのDNAやたんぱく質から現生人類の骨片を13個特定できました。放射性炭素に基づき年代も測定しました。
トナカイやバイソン、シカ、ウマなどの骨の化石も分類でき、狩りをして食べたとみられます。