思いつきで書いただけのやーつ

「はー、ダメつかれた。」

ボフンッ、と空気が逃げていく音が部屋に響く。


市街地での緊急任務が終わったと思えば妹であるロジーやライラック、そして一応弟であるロザリー達3人の買い物やら着替えやらに付き合わされ心も体もクタクタだ。

ロジー1人なら普段の事なのだけれども今日はライラックにロザリーもいた。
いじる絶好の標的を見つけたと言わんばかりのキラキラしたロジーの瞳には手を焼かされる……、買い物で暴走していたロジーを思い出しベッドに寝転がったまま、また一つ「はぁ…」とため息を吐いた。

もう疲れた、寝ようかな。

自然と下がる瞳をそのままにしようとしたその時、ピコンッとメッセージの着信を知らせる音が聞こえた。

伏せていた顔を上げ疲れのせいか重たい右腕をスッ、とかざしメッセージウィンドウを開けば差出人の欄にある田中と言う文字に眠気が吹き飛んで急いで開く

最近全く彼とは顔を合わせていなかったからか彼の名前を見るだけで胸がうるさくなるのを感じる。
自分の性格からは想像もできない程の乙女な思考回路に自分自身でも呆れてしまうほどだ。

うるさいうるさい、落ち着け。

バグバク、ドクドクとうるさい鼓動に声をかけ本文へと目をやる。

『今から部屋におじゃましてもいいかしら?』

メールでも相変わらずなおネエ言葉に笑うも彼が今から訪ねてくるという事を理解するとその笑いも止まる。

こんな疲れた顔で会ってもいいのだろうか。

そんな事ばかりが頭の中をぐるぐるとまわり思考を鈍くさせる。

ようやく「おいで。」と三文字を打てたと思えば時間は大分経っていて、随分と遅い返事に彼はもうこないかもしれない、と思いつつ送信をすると今まで気を張っていて疲れたのか一気に眠気に襲われ目が閉じていくのを感じる。


意識が落ちる直前、最後に耳にしたドアの開く音は彼に来て欲しいという私の思いゆえの幻聴か、夢の一分か、その答えは目を覚ました時にわかるものがあって。

どれくらい寝てしまったのだろう、基本照明が落とされ、ベッドサイドのランプだけが照らす何ら変わらない時間のすぎただけの部屋で目を覚ました。

正確に言えば一つは変わっていたのかもしれない、自分の寝ている右隣に温かさを感じる。
温かさの正体を確認すべく寝返りを打つと視界に入るのは目を伏せる容姿の整った男性の顔。

よくよく見るとその顔は見知った顔で、まじまじと見つめていると

「よく眠れたかしら?」

そう、よく知る独特のおネエ言葉で話しかけられた。

「お、起きてたのかい…?」

まさか起きてるとは思わなかったその人物に言葉をつまらせながらも返事をする。

「シランちゃんの顔を見ていたら寝ちゃって、やだわほんと。
ロビーでみてお疲れの様だったから様子を見に来たのだけれどお邪魔だったかしら?」

「ん、そんなことないさ。」

前回会った際には私の旦那である彼はこんな端正な顔立ちをしていただろうか?
答えはNo、胸を張って答えられる。
記憶の中の私の旦那はふざけた格好をしていて、所謂イケメンという部類に入る人ではなかったはずだ。

久しぶりの対面に思いもよらぬ外見も重なってメールをもらった時よりも心臓がうるさいのがわかる。

この気持ちはなんだったのだろうか、答えを見つけようと必死に頭をフル回転させる。

「みつけた。」

「シランちゃん何か言った?」

ぽつりと、口からこぼれた言葉に反応する彼を他所にやっとみつけた答えの言葉を自然と緩む顔を隠さずに口から漏らす。

『愛してる。』

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