恋木犀_Ss 思惑。

きっかけはちょっとした出来心。
普段は彼が主導権を握ることが多くて、少しだけ仕返しをしたくなった。

〜〜♪

仕事終わりにスーパーに寄り、お酒と夕飯の食材を買って鼻歌を歌いながら軽い足取りで家へと帰る。

家に着くと先日入浴中にネットショッピングで購入した小包が届いていて、小包を脇に抱えて家の中に入った。

仕事用の服を脱いで部屋着用のパーカーとショートパンツに着替える。
外のままの格好だとリラックス出来なくて家が窮屈に感じる。
抱えて帰ってきた小包も慣れた手つきで開封した。

お酒を飲みながら彼の帰りを待っていると、もう2缶目が飲み終わる頃にガチャリ。と玄関のドアの開く音がした。
ソファから立ち上がりぱたぱたと玄関に向かう。
アルコールが回っているのかふわふわした感じが心地よい。

「おかえりなさい、待ってたんだから。」

自覚するくらいにへら、と笑いながら出迎える。
声をかけた彼はただいま。と、返してくれてそれだけで心が弾む。
彼がまた惰眠を貪る前に、やらないと。

「ねえ四片さん、こっちきて。」

彼の手を取り寝室へと足を進める。
そのまま彼をベッドに座らせると向かう様に彼の上に座り、ひと回り大きな身体を押し倒す。
部屋の中を照らすのもは、カーテン越しの月明かりしかなく。薄暗い部屋では押し倒している彼の表情は読み取れない。

まぁ、元より彼の表情を読み取れた試しはないのだけども…

カシャリと、彼の両手首に購入しておいた手錠よはめる。

「今日はわたしがこっち、ね。こういうのも悪くないでしょう?」

「へぇ…どんな普通に楽しませてくれるの?」

少しだけ開いていた窓から吹く夜風がカーテンを浮かし、月明かりが差し込む。
ほんの一瞬、差し込む光が彼を照らし艶っぽくみせる。

「言ったらつまらないでしょう?」

普段とは違う視界にゾクリ、と身体が震える。

いつも飄々としている彼の表情を動かしてみたいと強く思う。
快楽に顔を歪める顔が見れたらどれ程良いだろうか。

彼の首筋に咲く紫陽花に口付け、噛みつく。

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