見出し画像

【観劇レポ】ミュージカル ゴヤ

皆様こんにちは。

遅くなりましたが、今回の作品は「ゴヤ」でございます。本日5月9日は名古屋千秋楽です。東京千秋楽は4月29日でしたが、政府からの要請で24日に千秋楽となってしまいました。名古屋公演が無事に千秋楽を迎えたことは非常に嬉しいですが、何とも言えない気持ちですね…。

このレポで作品の素晴らしさ、カンパニーの皆様への感謝を少しでも伝えることができたら…と思います。


世界的に有名な画家・ゴヤ

私は4月17日の東京公演を観劇してきました。

会場は有楽町にある日生劇場。約1300もの座席がある、中規模の劇場です。座席はF列11番。XA、XB、XCの列があるため実質前から9列目でしたが、役者の皆様の顔ははっきりと見ることができました。また、2席ごとに隣が1席空けられているような形で、感染対策が取られていました。

この作品のタイトルでもある「ゴヤ」こと、フランシスコ・デ・ゴヤは、18世紀末から19世紀初頭にかけてスペインの宮廷画家として活躍した人物です。

画像1

彼の代表的な作品として、「裸のマハ」(1800年)、「着衣のマハ」(1805年)、「マドリード、1808年5月3日」(1814年)、黒い絵と呼ばれるいくつかの作品などがあり、ベラスケスと共にスペイン最大の画家と言われています。


作品紹介

「ミュージカル・ゴヤ」はゴヤの激動の半生を、画家として、1人の人間として描いた日本初のオリジナルミュージカルです。

原案・脚本・作詞を担当したG2さんは公式パンフレットの中で、実現までに8年かかったとお話ししていました。普通、新しいミュージカルを作るとなると、既存の漫画や小説、映画などを原作することが多いです。しかし今回は完全にオリジナル。様々な方の沢山の努力が積み重ねられて初日を迎えられたことが本当に素晴らしいです。観劇できてよかったと思いました。

以下あらすじ(公式HPより)。

封建的なスペイン社会において、破天荒かつ進歩的な考えをもっていたフランシスコ・デ・ゴヤ。ひときわ野心の強いゴヤは、保身的なアカデミー会員である義兄バイユーとことごとく対立するが、宮廷画家になるために王妃マリアやその側近のテバ伯爵に近づき権力を利用するなど、あの手この手で出世を目論んでいた。そんな彼を心配し支えるのは妻のホセーファや同郷の親友であるサパテール。だがその助言には耳を傾けず、ゴヤは自分の信じた道を突き進んでいく…。そして写実的なヌードである「裸のマハ」を描いたことで、保守的なスペイン画壇でスキャンダルを巻き起こし、さらに革命軍との接触を画策する宰相ドゴイの命により、使者として港町カディスに向かう途中、何者かに毒を盛られ、聴力を失ってしまう…。自暴自棄となり、絵が描けなくなるゴヤだったが、資産家・アルバ侯爵夫人との再会により、絵を描くことへの衝動を取り戻すきっかけを掴む…。 

出演者の柴一平さんがTwitterで、同時期の王族とミュージカル作品についてまとめて下さった投稿が非常にわかりやすいので引用しておきます。特にこのような作品だと頭の中で歴史を思い出したりしながら観ることもあるので、私も助かりました…!ありがとうございます!

画像2

画像3

そして音楽がまた素晴らしい…。今回初めてミュージカルの音楽を担当することになったのが、清塚信也さんです。コウノドリの音楽を手掛けた方として有名ですね。ピアノとコントラバスを弾いていた経験がある私にとって、弦楽器を中心に奏でられる音楽には心が躍りっぱなしでした…。1つ1つのアレンジも最高です。


キャスト&役柄紹介

今回はゴヤとホセーファとサパテールを中心に、その他の主要キャストは気になったところだけ少し紹介していきます。

まずは主人公ゴヤを演じた今井翼さん。

野心に満ち溢れ、宮廷画家になるためなら…と闘志を燃やすゴヤ。信念が強いあまり、ひとりよがりになってしまうシーンもあります。自分の才能が周囲に評価されない悔しさをバネに上へ上へと高みを目指していく姿も素敵ですが、絵を描くことの本質に気づいた後の姿も印象的でした。

今井さんの生のお芝居を観るのは初めてだったのですが、聴力を失う前後のギャップに非常に驚かされました。特に耳が聞こえなくなってしまった後は抜け殻同然で、絵筆を持つことすらしない。スッと感情移入ができました。一幕ラストのフラメンコでは身体全体を使って表現しつつも指先まで意識があり、そのかっこよさが非常に印象的でした。

画像4

ホセーファ・ゴヤを演じた清水くるみちゃん。

大好きな方なので少し長めに説明させてください(笑)。くるみちゃんは映像でも舞台でも活躍されている26歳の女優さんです。昨年12月にストレートプレイの「現代能楽集X 幸福論」を観劇しましたが、1本目と2本目の対比が素晴らしかったです…。ミュージカルは2019年の「FACTORY GIRLS」以来となります。ストプレでもミュージカルでもパフォーマンス能力に長けている方です。そんなくるみちゃんは今回日生劇場に立つのが初めてであり、夫を献身的に支える妻を演じていました。

ゴヤはサパテールに「バイユーを利用し、出世をするためにホセーファと結婚をした」と話します。もちろんゴヤは彼女のことを愛していますし、その言葉は照れ隠しの1つなのかもしれません。でもそれを知らないホセーファは、我が道を進んでいくゴヤを隣で優しく見守っています。ゴヤの耳が聞こえなくなった後も、手話を覚えて彼の通訳として傍で支えています。少し可哀そうな気もするけれど、ホセーファは幸せそうなんですよね。バイユーとゴヤの板挟みに合っても、お互いの気持ちを思いやりながら接していて、ホセーファは本当に寛大な人だったのだと思います。

ソロで歌うナンバーとしては「螺旋階段でタンゴ」と「ひとりの画家」がありますが、どちらもよかった…!細いけれど、ちゃんと心に届く美しい声なんです。特に後者のシーン。耳が聞こえなくなったゴヤを権力者たちから庇おうとするホセーファが「皆さんの都合で彼を巻き込まないで、絵を政治に利用しないで」とはっきり歌い切った姿に感動しました。

また「目覚めた怪物」のナンバーでゴヤと二人で歌うシーンがすごく素敵でした。音が失われた世界で人間の本当の姿が段々と見えてきて「描きたい」という欲求にかられるゴヤの力強い歌声と、それを待ち望んでいたホセーファの優しい歌声が合わさり、そこに二人の絆が表れているように感じました。

画像5

マルティン・サパテール役の小西遼生さん。

サパテールはゴヤの幼馴染であり、大切な親友。ゴヤに対しても周囲に対しても本当に優しくて、ゴヤのことを心配する様子はまるで母親のようでした。

個人的にゴヤに「お前も早く身を固めろよ」と言われた時の表情が気になっていました。二人はお互いのことを物凄く信頼していて、二人の間にはホセーファでさえも入り込めないような特別な空気を感じたので、サパテールはもしかしてゴヤのこと…?って思いながら観ていました。実際のところどうだったんでしょうか。友情というより愛情に近かったのかな。

あとは「一瞬を永遠に」と「決別の歌」の時にゴヤとサパテールの関係性が変化しているのも面白いです。前者で「君に飛んでいってほしくない」と歌っていたサパテールが後者ではゴヤとは違う方向を向いて歩んでいくことを選択する。その時の小西さんの表情が忘れられないです…。今度小西さんのミュージカルを観る時はもう少しじっくり歌声を聞きたいと思います。

画像6

そしてテバ伯爵役の山路和弘さん。

裏で政治の実権を握ろうとコソコソする役でありながら、ストーリーテラーとしても登場。歌声、ダンス、芝居のどれもが素晴らしく、山路さんのエンターテイナーっぷりをまじまじと見てました。

マヌエル・ドゴイ役の塩田康平さん。

若くして国王から爵位を与えられる、女遊びが激しい役…(笑)。国王夫人のマリアをめちゃめちゃにたぶらかしているのですが、何より色気がすごい。ビジュは勿論ですが、一つ一つの動作が美しく、見惚れてしまいます。

バイユー役の天宮良さん。

ゴヤの義理の兄・バイユーはゴヤと意見が合わないことが多々あります。しかし妹想いなので、ゴヤのことはちゃんと面倒を見ていたり、心配もしていたりする。きつい言葉をゴヤにかけることもありますが、ゴヤの絵の才能を認めた上での言葉だと思いました。ホセーファとの絡みが良かったです。

アルバ侯爵夫人役の仙名彩世さん。

ゴヤの代表作、「裸のマハ」「着衣のマハ」のモデルの方です。綺麗な歌声で、存在感がある方だなと思っていたのですがパンフレットを見てびっくり。元宝塚の娘役トップだったそうで…納得しました。ゴヤが絵を描くことになったきっかけを与えてくれた人物でもあるので、ホセーファに次いでゴヤを支えた人物だと思います。

マリア・ルイサ・デ・パルマ役のキムラ緑子さん。

王妃マリア、とにかく迫力がすごい…。歌も堪能だったとは知らなかったです。個人的にはマリアとホセーファ、アルバの3人で歌う「迷宮のサルスエラ」が好きです。(強い)女性たち3人が男性を囲んでくるくる回るのが良い。ミュージカルもそうですが、ストレートプレイでも緑子さんの芝居を見てみたいと思いました。


舞台芸術を止めないで

冒頭でも書きましたが、エンタメ界が打撃を受け続ける中でこの作品を観劇できたこと、非常に感謝しています。

「舞台はナマモノ」です。今このような状況の中で、生で舞台を観るということには物凄い価値があると私は思います。まさにそれは「一瞬を永遠に」なんですよ。舞台で観た一瞬が、ずっと心に残っていくんです。

最近は、映画・ドラマ・音楽などのサブスクリプションサービスが充実しているので、低価格でより良いエンタメを楽しむことができるようになりました。しかし1回につき約10,000円というお金を払ってでも、それ以上の価値があるからこそ、舞台を「観たい!」という声が沢山あるのだと思います。

だから、どうか舞台芸術を止めないでほしい。

それだけを切に願っています。


※写真は全て公式Twitterより

#ミュージカル #観劇レポ #GOYA #今井翼さん #清水くるみさん #小西遼生さん #山路和弘さん #塩田康平さん #天宮良さん #仙名彩世さん #キムラ緑子さん














この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?