やっぱりニュージーランドへ行けなくなった話

ここ数年の春旅行の定番になっていたニュージーランド行き。

今回も秋ごろに航空券を押さえて、宿はまあ出発が近づいてきたら(年が明けてから)、くらいの気で悠長に構えていた。

しかし1月末くらいから、コロナの話が出始めて、ひょっとしたらこれは入国制限をくらうんじゃないかと思っていた。

なぜなら、ニュージーランドは、そうでなくても生態系保護の関係から日常的に検疫がかなり厳しく行われているのだ。島を風土を大切にする国の姿勢は、外から入る身からすると面倒だなと思うところはあっても、素晴らしいと思っていた。

その通常の検疫の雰囲気からしても、今回のコロナウイルスに対して、ニュージーランドが強めのアクションをとってくることは容易に想定されることだった。

ニュージーランドは島国である。病原菌やウイルスは”外から持ち込ませない、入れない”が防除の鉄則だ。昔から、島国の村や人々が外から来た人間に持ち込まれた病気の蔓延で滅んだり大打撃を受けたりということはよく起きていた。だから、今この時代でさえ、外からの人間を絶対に入れない(近づいてきたら力ずくで追い返す)センチネル部族のような暮らし方もある。無用なもの、害のあるものは入れなければ、自分たちの環境や暮らしを守れるのだ。

今回のコロナウイルスへの対応で際立っているのは、やはりニュージーランドと台湾、いずれも若い有能な女性のヘッドが存分に活躍している島国だろう。日本も、本来は島国なのだから、初動を間違わなければ封じ込めに成功する確率は上がっていただろうに、目先の利益や利権やらに目がくらんで色々有耶無耶にしてきたせいで、こんなことになってしまっている。


さて、本来の出発まで1週間を切った3月中旬。ついに恐れていた事態が起きてしまった。ニュージーランド政府が、南太平洋などの一部地域を除く、ほぼ全世界からの入国者に、入国後14日間の自己隔離を義務付けるという発表をしたのだ。

いつも通り、2週間弱の旅程を計画していた私は、隔離期間のみで滞在が終わってしまう。しかも、帰国時には入国時と違う空港から飛ぶことにしていて、その間は高速バスで都市移動をする手はずだったのだが、それも使用できるのか否か、刻一刻と状況が変わる中、確証が得られずにいた。

もやもやの中、出発日は近づいてくる。判断をしかねているところにニュージーランド航空からも帰国便キャンセルの連絡が入る。第一報は、当初乗る予定だった便を、避けられない理由により振り替えたのでフライトは翌日に、ということだった。

ああ、もう行けないな、と思った。思えば今回はその前にも予定の便の時間を振り替えられたりしていたし、短期間にこれだけ変更がある不安定な状態だと、向こうに行けたとしても、その後どうなるかわからない。何より、この状況下で空港へ行ったり、飛行機に乗ったりするリスクに懸念があった。(どんどん感染者が増加していく日本にいるより、きちんと対策をしているニュージーランドにいたほうが感染リスクはぐっと下がるだろうと思ったけど。)

そして、その数日後、ニュージーランド航空のサイトで東京発着便は実質消滅状態になることが発表された。驚くべきことに予約客への個別連絡は全く無かった。問い合わせをしようにも、メール問い合わせはclosed状態。(国内支社、ニュージーランド本社共に)何度電話をかけても一向に繋がらない。完全にパンク状態だった。

もうこれはダメだと、まず押さえていた宿のキャンセル連絡をした。どちらかというと交渉が難航するかと思っていたnon refundableで支払い済みだった宿の数々は、あっさり返金をすると連絡を返してくれた。

けれども、ニュージーランド航空に関しては、英語サイトと日本語サイトでフライトキャンセル対応に関する記載内容に差があった上、何より「繋がらない」ので、もう仕方ない・・・とウェブ上でチケットキャンセルの手続きをした。そしてその手続きがきちんと完了しているのかの確認も取れないまま、この春の旅はあっけなく消滅していった。(しばらくしてから問い合わせたところ、あろうことにか、フライトチケット代は返金されないとのことだった・・・)


色々な意味で残念な春だった。


これまで2回の旅では南島をメインにまわっていたため、今回は北島を北上していくプランを組んでいた。NZDのレートもだいぶいい感じになっていたので、在庫が無くなってきたはちみつを、ちゃんとしたマヌカを含めてあれこれ買ってこようと楽しみにしていた。


次に渡航できるのはいつになるのだろう?全く先行きが見通せない。一見収束したように思える状況があったとしても、第二波、第三波が襲ってくる。

ウイルスの特性上、突然変異が起きやすいので、スペイン風邪のように第二波以降で強毒化して、現在はあまり重症化しない層や若者などに大打撃を与えるようになる可能性もある。(今、怖いと思っているのはニューヨークで子どもの川崎病症例が多数出ているという話。)


残念だけれども、今できるのは、気を緩めずに備えておくこと。コロナウイルス流行を発端に、国際情勢、経済、食料事情など、現代社会・世界の歪みが顕在化し、大きくうねり出している。

その中でどう動くか。

これまで以上に、充分調べ、考え、検討していかなければならない。


早くウイルスの猛威が消え、何より世界が平和でありますように。

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