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仏教を知るキーワード【05】因果法則と縁起 ~ブッダが発見した存在の方程式~

無明が生じると苦も生じる。無明が滅すると苦も滅する。

仏教の「因果法則」とはブッダが発見した「存在の方程式」である。

「これがある時はこれがある。これがない時はこれもない。」「これが生じるとこれも生じる。これが滅するとこれも滅する」というシンプルな式だ。

「これ」に記号を入れて説明してみよう。「AがあるときはBがある」は「AがないときはBもない」が証明されることで確定される。同じく「Aが生じるとBも生じる」は「Aが滅するとBも滅する」によって確定されるということだ。AとBの関係は100%確実でなくてはならない。

この因果法則を「苦の生起と滅尽」に当てはめた教説が、十二因縁である。

「無明に縁って行が生じる。行に縁って識が生じる。識に縁って名色が生じる。名色に縁って六処が生じる。六処に縁って触が生じる。触に縁って受が生じる。受に縁って渇愛が生じる。渇愛に縁って固執が生じる。固執に縁って有(生存)が生じる。有に縁って生(誕生)が生じる。生に縁って老、死、憂愁、悲泣、苦痛、悩み、落ち込み(苦の諸相)が生じる。このようにして、このすべての苦蘊の生起がある。

無明が完全に滅することで行が滅する。行が滅することで識が滅する。識が滅することで名色が滅する。名色が滅することで六処が滅する。六処が滅することで触が滅する。触が滅することで受が滅する。受が滅することで渇愛が滅する。渇愛が滅することで固執が滅する。固執が滅することで有(生存)が滅する。有が滅することで生(誕生)が滅する。生が滅することで老、死、憂愁、悲泣、苦痛、悩み、落ち込み(苦の諸相)が滅する。このようにして、このすべての苦蘊の滅がある」

十二因縁は四聖諦の集諦と滅諦にあたる。また、十二因縁の集分(前半)は四聖諦の苦諦と集諦を、滅分(後半)は滅諦と道諦を集約したものと理解することもできる。

12項を過去現在未来の三世に振り分ける解釈もあるが、十二因縁は因果法則の連続性のみならず、同時性も説いた公式である。例えば、無明がある時には、他の11項目もある。逆に、無明が完全に滅するならば、他の11項目も滅する。十二因縁の1項目でも滅するならば、数珠の糸が切れるように、苦の輪廻は断ち切られるのである。

※『総図解 よくわかる 仏教』(2011,新人物往来社)に寄稿した原稿を再編集して掲載していきます。
※2016年2月22日に内容をアップデートしました。

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