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『曼荼羅』を編む【編み物に恋して】

『Mandala』との出会い

私の『Mandala Crochet(マンダラ編み物)』との出会いはオランダ。
オランダの街の毛糸屋さんの奥では、誰がお客さんで誰が店主かわからないお茶会のような編み物会が開かれていることが多く、おしゃべりしながらコーヒーを味わいながら編み物をして、お互いの作品をほめあって。日本人の私にも容赦のない(笑)早口のオランダ語で話しかけてくれて。それはそれは素敵なお店がたくさんありました。

そんな毛糸を扱うお店やマーケットで、マンダラ模様の作品を目にすることが多く、その模様と色の組み合わせの美しさに目を奪われました。ニットセラピーや編み物を使った瞑想などについても、そのころに出会いました。

オランダの手芸マーケット

曼荼羅とは?

そもそも、曼荼羅(マンダラ)とは密教から生まれた絵で、仏様の教えや悟りの境地が描かれたものです。「曼荼羅」という言葉は、サンスクリット語の“まるいもの”という意味で、修行僧が悟りを開く修行のために生まれた絵だそうです。言葉ではなかなか伝えることが難しい仏様の世界観を一目でわかりやすく表現するために生まれました。
ブラットピット主演の映画『セブン・イヤーズ・イン・チベット』の中では修行僧たちが砂曼荼羅を描くシーンが印象的でした。

現在の曼荼羅は、宇宙や天空の世界を表す円や正方形を中心に対照的な図形を使った幾何学的デザインやパターンを総称して『Mandala(マンダラ)』と呼ばれています。正方形や円は左右対称の安定した形で繰り返し描きやすく、僧侶の修行のツールという目的以外に、世界中で『マンダラアート』として親しまれています。

日本の曼荼羅

日本で有名な曼荼羅としては京都東寺の国宝『両界曼荼羅図』。胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅という二つから成る曼荼羅図です。金剛界は知恵の世界、胎蔵界は悟りの世界を表しているそうです。

身近なマンダラ図形

現在では、マンダラは「大人の塗り絵」などの『マンダラアート』のほか、ケルト人に伝わる『ケルティック・ノット』やギリシャの『メアンドロス模様』などと同じく「幾何学的で左右対称図形」の総称として呼ばれることが多いようです。
トルコの『ナザールボンジュ』は青い目玉の魔除けモチーフですが、円を組み合わせた独特のデザインは、広い意味では『マンダラ図形』の一つと言えるかもしれません。

トルコ・カッパドキアのナザールボンジュ

世界の様々なマンダラ図形に共通しているのは、左右上下対象の円や正方形のデザインから受ける調和や安定、継続、永遠などのイメージ。その図形を表現することで穏やかな心を求める思いは万国共通なのですね。

日本独自のマンダラ編み物を編んでみたい

私が愛する『グラニー編み』も一種の『マンダラ図形』です。
「幾何学的で左右対称」な図形を「長編み3回、長編み3回、端まできたら鎖編み3回…」と繰り返し編む、中心から外へ向かって編みすすめる、心穏やかにする要素が『マンダラ』の定義ともピッタリ合います。

『Mandala Crochet』を検索すると、花や星をかたどった複雑な幾何学模様を組み合わせた編み物がたくさんヒットします。もちろんそういった『Mandala Crochet』も美しくて魅力的ですが、私が目指すのは、編み図を見なくてもシンプルなリズムの繰り返しで編む、編み物瞑想のための『マンダラ編み物』。

仏教の五色幕(寺院などで見かける五色の幕)の色にちなんで、白・赤・青・緑・黄の5色の毛糸を使って円形のグラニーサークルを編んでみました。曼荼羅に描かれる八葉蓮華(8枚の花弁をもつ蓮の花)にちなんで、中央は8から編みはじめました。

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