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ライドシェアと日本の法律・規制についての詳細&関連するWEBサービスいくつか

MaaSを語る上で、外すことのできないキーワードがライドシェア。今回はライドシェアについての紹介と、現在の日本におけるライドシェアに関する法律・規制について調べてみました。

ライドシェアとは?

相乗りのことです。「乗る(ライド)」ことを「シェア(共有)」する。

この定義でいくと、自分の車に友だちを乗せることもライドシェアですが、MaaSの文脈での一般的な使われ方としては、「他人」と「相乗り」することを指しています。

「人」を車に「乗せて」どこか目的地に「運ぶ」。
日本では、『道路運送法』によって規定されており、有償で行う場合は、国(国土交通大臣)の許可が必要になります。典型例がタクシーです。
道路運送法の旅客自動車運送事業

タクシーのライドシェア(相乗り)

タクシーにおけるライドシェア(相乗り)は、2019年7月現在、法律にて禁止されています。ただ、来年に控えたオリパラによる移動需要や、都心・地方における移動に纏わる課題への対応策の一つとして、2019年度内のタクシー相乗りの解禁が提言・検討され、準備が進められていている状況です。

タクシーの相乗りについては地域や要件を限定せずに、一般的に導入する。具体的には、道路運送法上の通達の整備を2019年度中に図る

そんな中、面白いアプローチですでにタクシーの相乗りを実現しているサービスがあります。

株式会社NearMeが提供する「nearMe」というサービス(アプリ)です。

正確には、同じ場所(や方面)に行く乗客同士を事前にマッチングするサービスで、タクシー側からすると、「同じ方向に行く友達同士が一緒に乗ってきた」というようなイメージで捉えられるかと思います。

タクシーの相乗りが禁止である理由は、法令により1回の運送につき1つの運送契約を結ぶことが義務付けられており、複数の運送契約を結んではいけないためなのです。一方、上記サービスの場合は、事前にアプリを介して乗客同士が契約を1つに取り纏めている状態なので、違法とはならず、合法的にタクシーの相乗りを実現しています。


さて次に、タクシーとは違い、国からの許可を必要としない一般のドライバーによるライドシェアについてはどのような状況なのでしょうか。

一般ドライバー

まず、一般ドライバーによる有償での運送(ライドシェア)は、法律で禁止されています。
自家用自動車の有償運送の禁止

ただ、特定の条件下における例外があり、
自家用有償旅客運送
ざっくりいうと、「交通空白地域」、または「福祉」に資する場合においてのみ、一定の条件を満たせば、一般ドライバーによる有償の運送が可能となります。あくまで特定条件下においてのみです。

以上が基本なのですが、細かく見ていくと、実は必ずしも完全に無償で運送することしかできないわけではありません。

一般ドライバーによるライドシェアで、無償でなくても許可を要しない事例

以下のPDFがわかりやすいです。
道路運送法における登録又は許可を要しない運送の態様について

まとめると、

事例①:実費は受け取ってもOK
事例②:金銭的な価値の換算が困難なモノやサービス等は受け取ってもOK
事例③:任意の謝礼は受け取ってもOK
事例④:宿泊施設による宿への送迎はOK(宿泊費を受け取ってOK)
事例⑤:自家用車でなく、乗る人など他人が手配した車なら運送費として受け取ってもOK
*例外:(なぜか)ガイドは国への許可なく顧客を運送してはならない

となります。それぞれ詳しく説明していきます。

事例①:実費は受け取ってもOK

ボランティア活動として行う運送において、実際の運送に要したガソリン代、有料道路使用料、駐車場代のみを収受する場合は許可等を要しません。
以下の2つのサービスは、一般ドライバー向けのライドシェアサービスですが、どちらも事例①の実費のみを受け取る設計になっています。従って、白タクではなく、許可は不要です。

事例②:金銭的な価値の換算が困難なモノやサービス等は受け取ってもOK

野菜や地域通過、地域通過を介したサービスなど、直接的に換金できないようなモノ・サービスであれば受け取っても許可を要しません。
事例②に着目したサービスはあまり聞いたことがないので、検討してみる価値がありそうです。

事例③:任意の謝礼は受け取ってもOK

好意に対する任意の謝礼と認められる場合には、これを受け取っても許可等を要しません。
事例③と事例①をあわせて、実費と任意の謝礼(及びサービサーへのシステム利用料)をいただく設計のサービスが以下です。

事例④:宿泊施設による宿への送迎はOK(宿泊費を受け取ってOK)

ホテル、旅館、農家民宿等の宿泊施設が、自ら保有する自家用自動車を用いて、その宿泊者を対象に行う送迎のための輸送(送迎の途中で、送迎の一環として、観光地等の周遊案内を行う場合を含む。以下同じ。)については、当該宿泊施設における宿泊サービスの提供の一環として行われるものであり、かつ、送迎を利用する者と利用しない者との間に明らかな宿泊料金の差がない場合等、ガソリン代等の実費を含め、送迎に係る運送の対価を収受していない場合には、道路運送法に基づく旅客自動車運送事業の許可を要しない、とあります。⇢宿泊施設の運送について

事例⑤:自家用車でなく、乗る人など他人が手配した車なら運送費として受け取ってもOK

例えば、旅行者が手配したレンタカーを、一般ドライバーが運転代行する分には許可を要しない上に、ドライバー料を請求しても問題ありません(レンタカーを借り受けた利用者が、契約者本人以外の方に運転を委託して、運転を行ってもらう行為は、利用者自身の自由な行為として従来から一般的に認められています)。
こちらを活用したサービスが以下です。

*例外:(なぜか)ガイドは国への許可なく顧客を運送してはならない

事例①〜⑤を見ていると、観光ガイドが自家用車でお客さんを運送してガイド料をもらっても、運送費として受け取らなければ許可は不要ではないかと想像したのですが、何故かそれはNGのようです。
通訳案内士による自家用車を用いた通訳案内行為について

なぜ??
せっかく改正通訳案内士法で、ガイド業が一般に解禁され、訪日外国人に対しても一般の人がガイド料をもらってもOKとなったのに・・・

事例①③④あたりを見る限り、観光ガイドが自家用車でお客さんを乗せる事自体を禁止する正当性がわからない・・・

MaaSを推進する上で、ガイドが自家用車でお客さんを案内し、ガイド料をいただく分には法律上問題なし、と是非改めて欲しい!!!

とまあ、例外は腑に落ちませんが、現状はそのような法律・規制状況となっているようです。

今後何が解禁・緩和される?

今後について政府は、『タクシー相乗りの解禁』と、『「自家用有償旅客運送」の見直し』を明言しています。
前者については2019年度内解禁の方向で動いていると、前述しました。
後者については、以下のような検討が進められるそうです。

交通事業者(タクシー事業者等)が自らのノウハウを通じて自家用有償旅客運送に協力する、具体的には、交通事業者が委託を受ける、交通事業者が実施主体に参画する場合の法制を整備する。この場合、事業者が参画する前提のため、地域における合意形成手続きを容易化する。これにより、安全・安心な輸送サービスの提供を促進するとともに、実施主体の負担を軽減する。必要な法案について、2020年の通常国会に提出を図る。

『「自家用有償旅客運送」の見直し』については、もう少し踏み込めないかなぁ??と少し思ったりもしますが、まぁ一気には難しいのでしょうかね。。

終わりm(_ _)m

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