ケモノ

僕らの字が書かれた紙ペラに押されるハンコ

「大変よくできました」

よく出来たかどうかは
誰かに決められるものではないのだけれど

過去を生きた自分に今の自分が胸張れるかどうか

後悔する暇はない

なのに平均台から落ちないように
いつもバランスを取って

誰かに背中を押されれば
たちまち落ちてしまう

そんな不安定な場所に僕は居られなかった

僕は獣道くらいの細さがちょうどいいことに気づいていたから

気づいたら獣道を掻き分けて
死に場所を探すような人生

人の掃き溜めたコンクリートの上でなんて
死んでたまるかって

お前らに見届けてもらうほど
僕はできた人間じゃない
獣のような僕は

獣のまま土に還りたい
それがありのままの姿だと信じてる


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?