2018年の10曲

2018年にたくさん聴いた曲と、その感想とか書いています。
よろしくお願いします。


1 ずっと真夜中でいいのに。『脳裏上のクラッカー』MV 

 メロディと曲の流れ、歌詞が好きです。あと声が好き。特に歌詞の女々しい切なさが女性ボーカルの声質とぴったりハマっているからグッときます。
二番からラスサビの盛り上げが強くて、3:14辺りの感情が籠った声に聴き手の感情も思わずつられてしまうし、そのあと思い切り畳み掛けるのがずるいです。最大のずるさポイントは、転調後最初の言葉が「なんで?」なところ。茶化しが消えて真に迫っちゃう。ずるい。

2 Maison book girl / おかえりさよなら / MV

 普通に四拍子なんだけど最初は若干混乱しました。音作り、打楽器が目立つところが好き。鼓動みたい。4人がサビで合流するボーカル部分も好き。
空気感が重たく、澄んでいるようで息苦しくて、わけもなく悲しい。わけはあるんですけど、歌詞が入ってこなくても音がそのまま悲しいから不思議だなって思います。懐かしいし不安定で有限を感じる。ブクガさんは全体的に夢と現がふわふわしているから心地いいです。言選りも好きなので推しておく。

 
3 クーダラナイ/花とミク しじま(紫嶌 開世)

 全部大好きです。たくさん聴きました。ボーカルが強い曲なのでそっちに持ってかれがちなんですけど、音がすごいです。ギターかっこいい。
 この方の歌詞は文学的な印象が強かったんですが、クーダラナイは明け透けというかドストレートというか、でもそれに元気を貰えました。色々なしがらみから力を抜くことを肯定するというのはある種の諦めだと思うのですが、メロディが力強く華やかで、鮮やかで、情熱を叩き起こそうとしてくる。映像がまた良くて、俯きがちで逆光の少女2人、苦しそうな表情が最後に少しだけ、ほんのちょっとだけ和らぐ。そういうの好きです。

4 @末not寂 kous(アヒル百鬼夜行より)

 アヒル百鬼夜行というアルバムの1曲目に入っているkousさんの曲です。「あまのじゃく」と読むのですが、変わった書き方をするのが名前のとおりだなと思います。個性的で尖がった曲が多いアルバムの中ではその清廉さと寂しさが妙に目立っていて、惹きこまれてしまいます。
 この方の初音ミクの声は聴きやすくて美しくて大好きです。その声でこんな切ない言葉を、囁くように、呟くように、独白的に歌われてしまうと、どうしたって心に来るのです。

綺麗なものを綺麗と言える 優しい人は嫌い 嫌い

 2018年でいちばん繰り返し聴いた曲はこれです。アルバムオススメしたいのに在庫がない…。

5 椎名林檎と宮本浩次-獣ゆく細道

 かっこいい!私は椎名林檎が好きなんですが、宮本浩次さんのことはよく存じ上げておらず、ちゃんと認識したのがこの曲になりました。
 この格好良さは余計なことを書くのがもう恥ずかしいんですけれど、二人の声と曲の相性があんまりに最強で好きです。歌唱力は言わずもがな、生き物としての強さ、生命力を感じるというか、とても人間らしい。修羅みがあります。聴くたび圧倒されてしまう。Mステとか紅白とか、テレビの歌番組での歌唱も良かったです。視覚的にも強い。またこの二人で歌ってくれないかな。

6 PinocchioP - Whatever Yama Says Goes / ピノキオピー- 閻魔さまのいうとおり

 最初は全体的にあまりピンとこないと思ったのに、曲の最後の最後のワンフレーズにハッとして、繰り返し聴いたら好きになってしまいました。独特な語彙が混沌とした世界観を形成していて、イラストの男女にボーカルの男声女声が重なります。初音ミクとピノキオピーどっちも歌っているの好きです。あと電子音が冷たくてかわいい。
 歌詞の意味は正直よくわかりません。コメントでも考察が書き込みされているくらいですから、たくさんの捉え方があるんだろうと思います。私は有罪無罪・天国地獄への疑念なのかなくらいの感じで聴いています。でも最後のワンフレーズ、あそこだけは本当に予想外の引きで、スルッと手から抜けてしまうよう。置いて行かれてしまう。あの後ろの余白と物足りなさが好きだから、何度も聴いてしまうんですよね。くそう…。

7 少女レイ/初音ミク Shoujorei_Hatsune miku みきとP/mikitoP

 聴くたび夏へトリップします。音がちょっとカントリーというか、線路が一本しかない田舎を感じつつ、色っぽくておぞましい。背徳感が最高です。暑い季節のはずなのにうすら寒い。VOCALOIDの声の平坦な部分はこういう曲で発揮されると思っていて、心の底を這う激情を俯瞰するように歌えるから、聴き手を脅かしてこない。想いの重さが暴れまわらない。確固たるものとして伝わってきます。そこが好きです。
 それにしたって爽やかな曲です。サビなんてとても高らかで、ふわっと宙に浮くようです。内容は普通に怖いし、踏切の音に囁く声、最後は特にゾッとしますけれど、それ以上に爽やかです。誰が聴いたって夏の曲。みきとさんの書く女の子は本当に良さです。夕立のりぼんとか、少女ふぜゐとか、知らなかったらぜひ聴いてみてください。

8 ヨルシカ - ただ君に晴れ (MUSIC VIDEO)

 この曲聴いてアルバム買いに行きました。負け犬にアンコールはいらない。映像も大好きなので、撮影現地を見に行った方の文章読んで震えました。私も行ってみたいです。
 この曲は、大人になってから、大人になれなかった記憶の中の君を思い出す曲なのかなと思って聴いています。季節や個人と結びついた記憶はその度突然現れるのに、その瞬間に届くことはないし、そこにいる自分と思い出す自分は別人なのでしょう。でも未来に来なければ”思い出す”という作業はできません。この曲を学生の頃に聴いて、大人になってから聴き返す、ということが出来たらよかったな。大人になってから出会ってしまった。
 好きだったはずのものが遠く、顔すら思い出せないくらいになってしまうのは怖いことだけれど、いずれ全て変わってしまったって、空は青いので大丈夫だと思います。
「それでも、ただ君に、晴れぬ空などないことを。」

9 ⑨ / 鏡音リン

 2018年に発表された曲の中でいちばん好きを選ぶとするならば、⑨です。心が震えて仕方がない。大好きです。音楽的な話をしたいのに、困ったことに言葉が出てこないぞ。
 歌詞に描かれた情景が分かるんです、ぜんぶ最初から私の中に在ったみたいに。こんな体験したことないし、卓球とも縁がないのに。どうしてか懐かしい。馴染みます。私はこの曲に描かれた空気感を知っている。冬の朝も、言葉を叫ぶあいつの姿も、駆け抜ける感覚を、閉じた瞼の裏側を知っている。新鮮なまま残っていて、10年先の今、思い出しているんです。この曲を聴きながら、あの頃のことを。全然そんなことはないんですけど、そうとしか言いようがないんです。
 歌っている鏡音リンは、2017年12月で10周年を迎えました。そのタイミングで「10年」という歌詞を聴くと、そちらもリンクするようで。ドキドキしてしまうな。
 こういうものがあるから私は音楽が好きなんだ。ハートを震わせてくれてありがとう。

10 星野源 - アイデア【Music Video】/ Gen Hoshino – IDEA

 朝ドラの曲という印象から、最初にMV込みでフル聴いたとき、言葉に出来ないほど感動してしまった曲です。1番2番と全く様変わりする曲調に弾き語りまであって、面白くて、音が楽しい。映像も好きです。特に人が黒鍵になるところで感情が爆発してしまった。アイデアという曲名が、歌詞が、刺さってしまう。音の始まりはそこからなんですね。

 曲については散々語られ尽くしていると思いますので、自分の話をします。
 私はVOCALOIDが好きでそればかり聴いていて、その理由の1つに「聴いたことない音がたくさんあるから」というのがあります。現にVOCALOIDでしか表現できない音楽は存在しますが、アイデアを聴いたとき、焦りというか、VOCALOIDって決めて聴いていたら駄目じゃんという気持ちが出てきました。VOCALOIDだけが面白いわけじゃないのにそう思いたい部分があったので、いやどこにでも普通に面白い曲あるやんけみたいな。
(いえ色々聴いてはいましたが、かなり限定的だったので…。)
 だから、今まで興味があったけど聴いてなかったバンドの曲とか、気になるけど買っていなかった歌手のアルバムとか、ちょっとずつ聴いていった2018年でした。まだ全然聴ききれてないんですけど、オススメのCDとかyoutubeのURLとかあったら教えてほしいです。
 10選もVOCALOIDとか人間とかわざわざわけるのやめて一回作ってみようかなっていう、それがこれになります。趣旨から反れているのでボカロ10選とは呼べないのですが、私の好きな音楽10曲になったし、プレイリスト聴くの楽しいので良かったなって思います。

 あまりに基本的なことで周回遅れすぎるんですが、いろんなものを見たり聴いたりした上で「VOCALOIDの音楽が好き」って言えるようになりたいです。あらゆるツケがあるけど楽しくやっていきます。

終わりです。読んでいただきありがとうございました。