こどものしくみ

大人に貰ったおもちゃの笛を鳴らしてる
だから やましい気持ちで白痴のふりを続けてる
まるで夕闇の地雷原を走るみたいだな
影が伸びてく 祭囃子は遠のく


ピノキオピー(以下ピピー)について「歌詞が良い」と言うとき、大体の場合「良い」と言われているのは、歌詞に落とし込まれた現実と空想、人生観や価値観、それらを上手いこと表現した全体のバランスのことだと思っています。己を投影したり比較したり、音楽だけではなく別の何かを聴いている人も多いんじゃないでしょうか。
「言葉に出来ないことを言葉にしている」、それがピピー。
私もそこが大好きです。

そんな中で、上記に挙げた「こどものしくみ」という曲……。
無い机をドーンと叩きたくなるような最高の表現があるんですよね……。

「夕闇の地雷原」


いや夕闇の地雷原……?

……夕闇の地雷原って何!?


大人に貰ったおもちゃの笛を鳴らしてる
☝ここの歌詞で音に意識を向けるじゃないですか☝

だから やましい気持ちで白痴のふりを続けてる
☝笛を鳴らす”ぼく”の表層と本音の差異☝

まるで夕闇の地雷原を走るみたいだな
☝ここがポロっと出てきた素のことば!!!!!
だし爆発的なノスタルジックと風景!!!☝

影が伸びてく 祭囃子は遠のく
☝上記の”地雷原”で足元に視線を飛ばしている図から足元を伸びる“影”へ流れるように入り最初の“おもちゃの笛”と同じく笛の音に回帰する☝


すごくないですか!?!?!?
メッチャビックリするんですけどなんなんですかね!?

一連の流れが余りに美しいのもそうなんですが、夕闇の地雷原という言葉が好きすぎる。

夕暮の時間の流れは恐ろしいほど急激です。だからこそ黄昏時なんて言われるわけですが、進んだ一歩そのままに別の世界へ行ってしまいそうな非現実感そして危うさを、たった一言「夕闇の地雷原」で表せてしまうその語彙力がすごい。
前後の流れも当然ありますけれど、それだけではわからないはずなのにわかってしまう表現。すごいし最高に好きです。出てくるか……?出てこん……私は絶対に出てこない……。

こどものしくみを聴くたびに、ピピーの歌詞の良さを作っているのはさり気なく強烈な比喩だなぁと再認識します。
歌詞の密度がすごいのは、本来長々と書かなくてはならないことをポーンと短く表現してしまっているからですよね。さり気なさ過ぎてわかんないけどわかる~~!(ポリゴンティーチャー)

こんな語彙力が欲しい!
こどのもしくみは歌詞全部すごいので是非聴いて読んでください。

以上です。

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ありがとうございました。