" SBNR ( Spiritual But Not Religious  - スピリチュアル・バット・ノット・レリジャス ＊無宗教型スピリチュアル現象 - ）について2014年から研究をしている。きっかけは南カリフォルニア大学日本研究所のウィリアム・ダンカン教授とJapan House LAの立ち上げのディレクションをしていた時である。日本文化への西洋諸国からの関心について調査を進めている中で、ダンカン教授からSBNR視点で思考してゆくことで研究が進むかもしれないと提案を頂き、それ以来、現在に至るまで私自身の最大のモチベーションになっている。

私はこれまで伊勢市の伊勢文化を軸とした「The Study of ISE」や、愛媛県の「お遍路ブランディング」、関西全域を対象とした「Spiritual KANSAI」、福島県の会津藩の大義の歴史に根差した「SAMURAI Branding」など様々な有形無形の日本の文化価値についてSBNR型の思考でプロデュースを実践してきたが、このコロナ禍の折で全世界的に価値観のパラダイムが変化する中、急速にSBNR化が進展してきているように実感をしている。

アジア諸国への西洋社会からの旅や、日本文化を始めとした東洋思想への関心が近年特に高まっており、世界の観光マーケットは年率3.4%で拡大している中、アジア諸国への訪問は7%で伸びており、そのトップを走るのが日本で19.4%の伸びを示している。

東京への訪問は1回目以降下降するが、地方への訪問は上がってゆく。そして中でも熊野古道、出羽三山、お遍路、お伊勢参りなどを筆頭に精神的な文化価値に出会えるエクスペリエンスへの注目が高まっている。

ツーリズム分野のみならず、ガストロノミーではビーガンを始めとした菜食主義の台頭、ベジタリアンメニューの増加とSBNRの関係、マインドフルネス・リーダーシップとも呼ばれる禅を取り入れた企業経営の西洋での拡大やCMO（Chief Meditation Officer）の出現など、「禅イニシアチブ」へのSBNRが与えるビジネス要素も見逃せない。

なお、Pew Reserch Centerの調査では全米のSBNR人口は5人に1人といわれ、現在の大統領選においても民主党32%、共和党の23%が SBNRである。もちろん" with Nature "思想が基本であるため、SDGsや自然派生活、ワーケーションなどのソーシャル・チェンジの原動力でもある。

全てに共通するのは「Posivite influence（良い影響）」や「Social Good（社会のために）」を起こすモチベーション「Think Right（正しい行い）」た高いことが共通している。

ハーバード大学が発表したSBNRに関するレポートでダリー・カテライン教授が「SBNR現象の原因はテロや自然災害、パンデミックなどの社会環境の根本を脅かす大きな変革である。人々はこれまでのような価値観ではなくより自らが人徳を持って社会を良くするために何かができないかと考えている。SBNRは新しいアメリカンドリームの原動力になるかもしれない。」と記しているように、今度のSBNRのソーシャル・パワーの変化はますます重要なイッシューになると考えている。

本日、内閣府にて「 SBNR視線で紡ぐクールジャパン新時代の可能性」について講演をさせて頂く予定である。

note初回の記事がSBNRになったことは、僕自身にとってとても重要な意味を持つと思う。v

しっかりと社会の役に立てるように研究を続けたい。

渡邉賢一

株式会社XPJP 代表取締役
バリューデザイナー
内閣府 価値デザイン懇話会 委員
慶應義塾大学大学院SDM研究所 研究員