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コンプレックスまみれだった僕が『キングダム』飲み会を開くようになるまで:オカモトカズマさん

オカモトカズマ(@kazuuu0720)さんに、コンテンツとの関わりについて、インタビューしました。 

桓騎は優れたPRパーソン

ーーカズマさんが今どのような活動をされているか、まずお聞きしてもいいですか?

プライベートでは、キングダムが好きな人たちを集めて「キングダム飲み会」を開いたり、上京している島根県民を集めて「島根のダメなところ」について愛を持って語るアイデアソンを開いたりしています。ほかにも生き方や働き方を考えるイベントや「銭湯女子」というメディアを主催したり。

仕事では、今夏に転職したばかりのテテマーチというSNSマーケティング会社で、企画やマーケティング、PRをしています。僕はこの仕事をやっていて感じるんですけど、キングダムの桓騎って、すごく優秀なPRパーソンなんですよ。

ーー「桓騎が優れたPRパーソン」とは?

WebマーケティングにはUGC(User Generated Contents)という言葉があります。ユーザーが作るコンテンツ……要はSNSの口コミなどのことです。このUGCなどを通して、自社とユーザー含む関係者との間で“空気を作る”のがPRの仕事の1つなんですが、桓騎はこのUGCをすごくたくさん産んでいるんですよ。あえてその残虐性をひけらかすことで「桓騎はヤバい奴だ」「桓騎兵は鬼畜だ」、とね。優秀なPRパーソンですよ。残虐な行為自体は絶対やってはダメなんですが、目的の為に手段を選ばす結果を出している点は参考になるなと。

こういう風に、自分が関わっている領域にキングダムを絡めて深掘りしていくことに最近はハマっていて、こんな文章も書きました。

信と王賁のリーダーとしてのあり方の違いが、朱海平原の合戦ではっきりしたことを分析した記事です。

信は、フラットな組織の中で、常に自分のビジョンを示してみんなを引っ張っていく。危機的状況においても変わらず大将軍への道を示し、仲間の士気を上げました。

一方で王賁は上下関係がかなり明確な組織の中にいる厳格なエリートです。でも、この鄴の合戦においては、第一声で「友よ 力を貸してくれ」と言って、同じ目線にいることをはっきりと示したんです。普段上下関係がある分、部下たちは「自分たちのところまで降りてきてくれた、じゃあ頑張るしかない」と感じるわけです。僕だって、普段ビジネスライクな社長が実は自分のことを見ていて熱い言葉をかけてくれたら、頑張らないわけにはいかないと思うでしょうね。

1分57秒より、朱海平原の合戦のダイジェスト

コンプレックスまみれだった時代

ーーキングダム以外に思い出深い作品はありますか?

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズは子供のころ何度も見ていましたね。あれは本当は第一作のみで終わるはずだったものが急きょシリーズ化したんですが、第一作にすでにその後の伏線としか思えないシーンがあって驚かされます。

『スターウォーズ』シリーズや『銀河英雄伝説』も好きですね。シリーズ全体の流れが見えている中で、作品を見るのが好きです。

京都の大学に通っていたんですが、その近くに旧作89円のレンタルショップがあって、そこで映画を借りまくっていました。好きだったのは『ユージュアル・サスペクツ』やニコラス・ケイジの出演作。言い方は悪いですが、A級の中のB級で、しっかり予算はかけているけれどどこかB級っぽいものが好みです。

それから、大学中は深夜に古本屋に行ってマニアックなマンガも買っていました。特にハマったのは、沙村広明先生の『無限の住人』。沙村先生は最近『波よ聞いてくれ』がアニメ化もしましたが、うれしかったですね。

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画像出典:版元ドットコム

ーー今は社会人8年目ということですけど、最初からマーケティング系のお仕事だったんですか?

いえ、僕のファーストキャリアは地元・島根の会社員で、けっこう堅めの業界で働いていました。就活ではテレビ局などを受けていたんですけど思うようにうまく行かず、一度地元に帰ることにしました。

新卒のときの仕事は、当時の僕には、正直とても退屈に感じましたね……。お金を貯めるために3年ほど働いて、四国の広告代理店を経て、27歳のときに東京に出てきました。それからWeb系のベンチャーを2社を経験し、今の会社に至ります。

ーー元々テレビ局を目指されていたんですね。ただ結果として、イメージ的にはかけ離れた職種になったと。

実は父が地元のテレビ局に勤めていたんです。その憧れもあって、大学では映像研究会に在籍して学内の情報番組やコンクールに応募するCMを作っていました。京都の大学に行ったのも、好きな作家の万城目学や森見登美彦の作品からの影響されたのも多少ありましたが、都会に近いほうが少しでもメディア業界へのチャンスが多そうに思ったからなんです。

だから地元で働いているときはすごくコンプレックスを感じていました。田舎で働いている自分が、憧れとは対極なことをしているように思えて、「お前はつまらないやつだ」と突きつけられているような気がしたんです。

キングダム飲み会で気づいた自分の“好き”と“やりたいこと”

ーーそこから広告代理店を経て、現在のような企画職に。仕事だけでなく、プライベートでも「キングダム飲み会」「銭湯女子」など企画をいくつも主宰されています。そのモチベーションはどこから来るんですか?

僕は地方から東京に出てきたとき、友達を作るためにいろいろな飲み会や異業種交流会に参加していました。ですが、そこでも地元にいたときと同様のコンプレックスを感じたんです。

あるとき同世代の人たちが集まる飲み会に参加したのですが、そこにいる人たちは、フリーランスや会社経営者、友達とプライベートでプロジェクトをしている方など、1つの会社に縛られずに活動をしている方ばかりでした。それと比較したときに、「自分は何者でもない」と強く感じたんです。会社以外の名刺がないな、と。

それで辛くなって、オンラインサロンに入ったり企画講座を受けたりするようになりました。すると、自分ができることや繋げられる人が少しずつわかってきて、自分でもイベントなどを開催するようになったんです。

ちなみに「キングダム飲み会」は僕がスタートした企画というわけではなくて、別の方が主宰されているキングダム飲み会に僕が参加して、そこでキングダム仲間ができるうちに主宰してみたくなったという流れです。

ーーそもそもキングダム飲み会に参加したきっかけはなんだったのでしょう?

先ほどお話しした東京に出てきたばかりのころの飲み会で感じたことがあって。「楽しいけど、すごく楽しくはないな」と。なんとなく上辺の会話が多くて、それからようやく仲良くなったと思ったらネットワークビジネスの勧誘をされたこともあって、面倒くささを感じ出していたんです。そんなときキングダム飲み会の話を知って。

僕がキングダムを読み始めたのは高2ぐらいからです。父が『こち亀(こちら亀有公園前派出所)』を持っていた影響で小学生から『ジャンプ(週刊少年ジャンプ)』を読んでいて、少し背伸びして買ったのが『ヤンジャン(週刊ヤングジャンプ)』だったんです。

実は、キングダムは雑誌の中の連載の中の1つという位置付けで、僕の中では特別好きなわけではなかったんですよ。でも、一応ずっと読んでるし飲み会に参加してみるか、と。

ーーあ、当時は今ほどの『キングダム』への熱意はなかったんですね?

そうなんです。ですが連載を追っていくうちに内容はよく覚えていたみたいで、初参加のキングダム飲み会では、ファンでも難しい“キングダムカルトクイズ”が行われたのですが、そこで僕は難問にも意外と答えられたんですよ。周りの人からも「すごいね!」って言ってもらえて、それをきっかけに中心メンバーとも仲良くなっていきました。

そうやって周りに「キングダムを好き」って言っている人が増えて気づいたんです。「自分は意外にキングダムが好きだったんだな」って。

その後は自分でもキングダム飲み会を主宰するようになり、3、4ヶ月に一度、単行本が発売されるペースで感想を語り合ってます。中学生のころ、ジャンプの展開について盛り上がっていた感じを大人になってもやってるんです(笑)。

『キングダム』という共通言語があるのはいいですよ。飲み会で知り合う人って、職業を聞いてもあまりイメージつかないこともある。でも、キングダム飲み会では、普段何やっている人か知らなくても、キングダムのどのキャラクター、どのシーンが好きか聞けば、その人がどんな人間なのかなんとなくわかってくるし、すぐに打ち解けられます。

僕は今、プライベートでも仕事でも「企画」をメインでやっていて、企画は何か課題解決のためにあると思うんですね。「キングダム飲み会」ってまさにその企画なんです。普通の飲み会でも、そこにキングダムという共通言語を混ぜるだけでめちゃくちゃ楽しくなる。

僕が結局ずっとやりたかったのは「企画」なんですよ。動画研究会に入っていたのも、テレビ局を目指していたのも、番組を制作したいというよりも、自分の企画を形にしたかった。でもその気持ちを掘り下げないままずっと逃げ続けていたことに、最近ようやく気付きました。今は仕事でもプライベートでも、やりたいことができていると思いますよ。

<了>

取材協力:オカモトカズマ(@kazuuu0720)さん


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