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ヤンキースタジアムの楽しみ方

"ブランド"

って聞いてすぐに出てくるのはヴィトン、エルメス、グッチといったファッションブランド。

でもコカ・コーラも、ユニクロも、がりがり君もブランドであって

機能以上にユーザーに価値、体験を提供できる無形資産がブランド。

例えば、ナイキ。

機能性があるのはもちろんだけど、あのスウィッシュがついている靴を見て

街にお出かけしたくなるのはなぜ?

無性に走りたくなるのはなぜ?

これがナイキが提供するユーザー体験。

といったマーケティング的には普通なことからヤンキースタジアムの楽しみ方をレポートします。


いきなりですが、まさしくヤンキースタジアムは

ヤンキースブランドを最大限ファンへ届けるスタジアム

です。

チケットは

外野席でも50ドル

内野席なら100-500ドル

ベンチ裏、フィールドシートなら1000ドル超

中継を見てもわかるけど、グラウンドに近い席は高価すぎて空席も多いです。

でもこのプライシングポリシーは2009年の開場以来崩していません。

来場者数の最大化よりも、収益の最大化をした結果かもしれませんが、

ヤンキースが伝えたいことは、

ニューヨークでヤンキースを見られることはものすごく価値のある体験ですよ

っていうこと。

エンターテイメントとしてヤンキースの試合を提供することはマネジメント的にすごく難題です。

最近のMLBは、プレイオフは厳しい、と判断したら

ベテランだけでなくピークの人気選手もどんどん放出してチームを徹底的に解体

勝敗度外視で、トレードやドラフトで獲得した若手選手に積極的チャンスを与えて3-5年後に備える

っていうのがトレンド。

ただ、ヤンキースはこれができない。

ニューヨーク市民、世界中から集まる観光客に納得してもらう試合を提供するなら常に勝者でなくてはならなくて、

若手育成中のチームはヤンキースブランドに反するから。

いい選手の獲得には長期の大型契約が必須。

でも、その選手は高齢化してくから、選手の新陳代謝はチーム編成のテーマ。

かつ、毎年チームのパフォーマンスは維持しなくてはいけない。

そんなヤンキースのベースボールには圧倒的な価値があって

それを表現できるのがヤンキースタジアムなのです。


正直、スタジアムがあるブロンクスは洗練された街ではありません。

地下鉄は汚い、しうるさい。

道路も狭くてごちゃごちゃ。

そんなエリアにある美術館のような外観のヤンキーススタジアムは目に入った瞬間からインパクト大。※写真がない!

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外観同様に薄いアイボリーに統一されたコンコースも屋根が高く、吹き抜けで、歴史的なお城にいるよう。

そして、チャンスになればもちろん打つよね、ピンチではもちろん打ち取るよねっていう期待の中で

ちゃんと打って、ちゃんと三振にしたときの異様な雰囲気。

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まさしく、非日常体験。

「青空にビール、ホットドック、そしてベースボールがあればなにもいらない」

みたいなボールパーク構想も一理あるけど、

ヤンキースタジアムのヤンキース戦は勝利こそが唯一の商品。

ハードルの高いニューヨーカーたちの心を満たすには、選手も球団も球場もハイブランドである必要があって、

”おらがまちの野球チーム”ではいけないのです。


さて、ボクはヤンキースタジアムに2回行っています。

アクセスはマンハッタンにいれば簡単で、西を通る地下鉄オレンジラインを北上し、YankeeStadium駅で降りればいいだけ。

外野席で観戦したときは、

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当時在籍していたイチローの3998本目と3999本目

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さらに9回には引退宣言したリベラのピッチングとハイブランドな試合に。

ジーターがDLだったのが残念。

ちなみにヤンキースタジアムでは試合前でもチケットを持っていないエリアの行き来は認められていません。

練習中は防御ネットがあるし、客席との一体感は低め。

選手とのコミュニケーションはヤンキースタジアムが提供する価値ではないみたい。

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