漫画「BLEACH」一気読みして抽象化した漫画名作の法則 ※ネタバレあり

GWを利用して、漫画「BLEACH」を74巻一気読み。累計9000万部、史上14番目に売れた漫画(ちなみに1位はワンピースの4億5000万部。漫画全巻ドットコム調べ)を見て、ヒットする漫画の法則を、備忘録として。

基本法則1 回を追うごとに登場人物が成長する

序盤では末端の敵を倒すことで精一杯な主人公パーティーが、最終回では世界を破壊しようとする帝王みたいなボスキャラに勝利できるようになる。この成長を客観的に見るためには、主人公パーティーが使う技や武器を見るとよく分かる。「BLEACH」で言うと、74巻を通して、主人公の姿だけ見てもが5段階くらい成長する。一度挫折した後に、ものすごい成長を果たす。もしくは、命を賭けた戦いの中で、限界突破の成長をする。その成長過程こそが、読み手が共感できるストーリーであり、心を動かされるポイント。この法則は当てはまる代表的な漫画は「ドラゴンボール」だと思うけど、たいていの漫画はこれに当てはまるはず。

基本法則2 多彩かつ見栄えする技

敵・味方問わず、技を持っている。ただ戦うだけでなく、それぞれの個性が出る技を出し合うことで、「こいつはどんな技を持ってるのだろう」「この技でこの敵とどう戦うのだろう」とわくわくする気持ちを持てる。ただ殴り合うだけ、ただ斬り合うだけならば、内容も、画も単調になる。基本法則1ともつながるけど、その技が成長する、より強くなることで驚きと楽しみを与えられる。「BLEACH」で言うと、斬魄刀、始解→卍解がそれ。さらに、卍解の中でも強さが増す、技の多彩さが増す。これの代表格は、「ONE PIECE」や「テラフォーマーズ」。

基本法則3 正義は、損得じゃなく、善悪にある

少年漫画全般そうだけど、損得で判断する主人公はいない。主人公パーティーなりの善悪で判断することが、常に正しい。なぜなら、損得で判断する人と、仲間になれないから。自分の友だちが常に損得で判断する人だったら、自分がその人の得になれない瞬間に切られることが想像できる。逆に、友達が善悪で判断する人の場合、自分が善き行いをする限りは仲間。「BLEACH」で言うと、これは勇気の物語だ、と作者が言ってるように、「仲間を護ることが最優先」「乗り越えるしか無いから、できるできない関係なく乗り越えるしかない」という原理が貫かれている。これの代表作品は、「ONE PIECE」。

基本法則4 主人公以外のストーリーの重厚さ

主人公はもちろん、主人公の味方や、さらには敵に至るまで、「どんな思い出戦うのか」「何に向かっているのか」の描き込みが深い。生い立ちの描写や、価値観が形成されたシーンを描かれることで、より登場人物に共感できるようになる。普段の生活に当てはめてみても、何も知らない人と話すより、その人のインタビュー記事見てから話す方が共感できるのは自明。ここの彫り込みが深い、かつ共感を生むほど、登場人物と作品の虜になる。「BLEACH」は、少なくとも味方パーティー(人間主戦パーティーと死神隊長クラス)はほぼ全てこれが語られている。これの代表作品は、「スラムダンク」。最近だと、「ケンガンアシュラ」。

基本法則5 伏線出しと回収

定番すぎるけれど、気になるような発言やシーンを見せておいて、後で回収する。この伏線には、2種類ある。1つは、明らかに気になる点を出した上で回収する方法。もう1つは、気づかれないように情報を見せておいて、後で実はこうだった、とギャップで驚かせる方法。前者は、TV番組でCM前によく使われる「答えはCMの後で!」で、後者はYoutuberでよく見る「動画の最後で実はパンイチで撮影してました暴露」手法。「BLEACH」で言うと、前者は毎話最後にある一コマ、後者は剣八や主人公の両親や刀の謎。謎が解かれると、モヤモヤがなるほど!という気持ちでスッキリし爽快感を感じる。これの代表作品は、「名探偵コナン」や「金田一少年の事件簿」。

トレンド法則1 多様性の調和>悪の懲罰

これは最近出てきたトレンドだと思う。昔のヒーロー物では、主人公がヒーローで、悪は絶対に倒されるべき存在。「ドラゴンクエスト」などがわかりやすい。そういった価値観が、少しずつ変わってきてるように思う。「BLEACH」では、主人公が対立する種族の混血であるが故、世界を平和に導く存在となるし、多様な考えを受け入れることで強さを獲得していく場面も見られる。敵は一方的に倒す存在でなく、受け入れた上で導く存在として描かれているように映る。これは日本だけでなくて、勧善懲悪の権化だったハリウッド映画でも似たようなトレンドが出てきてるように思う。ヒーローが悪から世界を救うというわかりやすい構図でなく、悪が悪を倒す、誰が悪かわからない、といったことも見られるようになってきた。

面白い作品の条件、といえるほどまだクリアにできていないけれど、考えたことの整理までに。

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