森下夏樹

AKQA Tokyo Senior Copywriter

森下夏樹

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最近の記事

意味は、次の春に来る

新春。 正月の静けさから一転、渋谷の街はいまにも走り出さんとする競走馬のように鼻息を荒げている。 空気が抜け真空状態になった四角い入れ物に、うねるように脈打つ空気が一気に吹き込んでくるようだった。 誰に強制されるでもなく新年がやって来て、抗うことなく皆の上に等しく同じ時間が流れている。 僕もまた、誰に頼まれるわけでもなく昨年度を振り返り、新年の抱負を描いてみた。 そこでふと思う。 抱負なんて無くてもいいんじゃないか。 いま到達地点を描き、一歩一歩確かめながら盲目

    • 詩人からのアドバイス

      何かを書いたりつくったりする人に、ぜひ紹介したい文章がある。E.E.カミングスという、アメリカ人の詩人が残した金言たちだ。 ーーー A POET'S ADVICE / 詩人からのアドバイス 詩人って、いろんなことを感じて、感じたことを言葉で表現できる人のことです。 これは、簡単に聞こえますが。実はそうではないのです。 みんな、自分が感じたことを頭で「考える・信じる・知る」ことはできる。でもそれはやっぱり、考える・信じる・知るだけで、感じていない。詩は「感じる」こと

      • 「懐かしさ」の正体と使い方

        「懐かしさ」とはなんだろう。 上京して9年ほど経ったここ最近、「懐かしさ」について考えることが多くなった。このnoteでは、誰しもが感じる「懐かしさ」を紐解いていきたい。 ----- 私は年に一、二度の帰省のたび、小・中学校時代に片道40分かけて通学した道を、なぞるように歩いてみる習慣がある。 当時小さい歩幅で40分かけて歩いた道は、今ではおよそ20分くらいで歩いてしまえる距離だ。あれから体は大きくなり、都会に住み慣れたせいか歩くのも速くなった。「大人になった

      意味は、次の春に来る