「夏」という名を持って平成に生まれた

はじめまして。僕の名前は、森下夏樹です。表題のとおり平成に生まれました。

今日はふと思い立ち、名前について書きたいと思います。

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「平成が終わる」と聞いて、なんとなくソワソワしている。それはたぶん、平成に生まれた自分にとって、青春が一つ終わりを迎えようとしているような気がしたからだ。自分が生まれてからの今までが、一区切りとして終わりを迎えようとしている。そう思った。

そして「平成最後の夏」。

それは平成に生まれ「夏」の漢字を持つ自分にとって、のっぴきならない出来事のような気が、勝手にしている。

小さい頃は、家族や親戚と過ごす時間が多く、当たり前だけれど苗字ではなく自分の名前で呼ばれる。でも少しずつ、家の外へ出て多くの人と関係を持つようになると、次第に下の名前ではなく、苗字で呼ばれる機会が増えていく。これは誰しもがそうだと思う。

僕は小学生の時までは、ほとんどの友人が下の名前で読んでくれていたが、中学校に進学すると苗字で呼ばれることが増えていった。今までは名前で呼ばれていたのに、苗字という自分自身の本体とちょっとだけ離れた部分を呼ばれているような気がして、当初は慣れなかった
。もちろん、すぐに慣れた。

大きくなるにつれて、苗字で呼ばれる。そう、それが大きくなることなのかもしれないとさえ思っていた。

社会人になって僕は完全に「森下」になった。別にそのことについてははなんとも思わない。だが一方で、下の名前で呼んでくれる同僚や上司もわずかだがいて、それはちょっとだけ特別に感じた。

人の印象やイメージは、見た目にほとんど依存する。そしてもう一つ、名前だ。

世の中で同じ名前の人がたくさんいる。それでもその人が、その名前でも「らしさ」を保っていられるのは、見た目や雰囲気としっかり結びついているからだろう。

以前、仕事で取引先のとある女性の方と名刺交換をしたときに、その人がしっかりと自分の苗字と名前をフルネームで自己紹介した。僕はそのことに少し驚いて、名刺交換の挨拶が終わった後もそれが頭から離れなかった。

「え、この人フルネームで名乗った」

なぜびっくりしたのかその瞬間はよくわからない。その後で少し考えてみたら、たぶんその人から溢れるエネルギーというか、前向きな個性のようなものがにじみ出ていたからだと思った。直視できないような、この人だけが持っているような、仕事の場よりも近しい距離感。それを、その一瞬、ほんの少しだけ感じていた。あのとき、その女性は、世界でたった一人の女性だった。

小さい頃、僕は自分の名前が好きではなかった。「夏樹」というのは中性的な名前で、周りにいた「ナツキ」という名前の人はすべて女の子だった。

ところがここ数年、「素敵な名前ですね」と言ってくれる方が何人かいらっしゃった。今までそんなこと言われたことがなかったので、短い期間にそんなことを口に出してくれる人が現れてびっくりした。

「どうしてそう思ったんですか」と聞くと、「夏らしくて爽やだ」とか「色や景色が思い浮かぶ」と言ってくれた。初めて聴いた感想にびっくりしたが、嬉しかったのを覚えている。社会人になって下の名前への意識が薄れていたからだろうか、少しだけ自分らしさを再発見できたような気がした。

ふと気がつけば、確かに名前にはその人らしさがにじみ出ている。

爽やかであったり、雅やかであったり、快活であったり、純真さがあったり。SNSで実名をしっかり見る機会があるからだろうか、最近人の名前の「らしさ」を感じることが多くなった。それは全部その人らしい素敵な一部だ。

だから、みんな名前をもっと名乗って欲しい。なぜなら名前は、名前以上になれるから。文字ではない。その人がいる。

これから僕も名刺交換や自己紹介をする機会があったら、恥ずかしがらずに名乗ってみようと思う。好きではなかった名前を、少しだけ好きになれた。そしてそのことが、自分をもっと好きになれるきっかけになるかもしれないから。

暑いのは嫌いだが、夏は好きだ。自分にとっての特別な季節。名前とともに一生付き合う「夏」。

今年で平成の夏が終わる。僕が生まれた夏が終わる。


さて、ここまで呼んでくださりありがとうございます。もしよろしければ、これからどうぞ仲良くしてください。

僕の名前は、森下夏樹です。

Twitter: natsukilog



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森下夏樹

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コメント3件

はじめまして。コメント失礼します。

夏樹さん、私も素敵なお名前だと思います。夏の日差しの中、まっすぐに伸びている樹のが思い浮かびます。音の響きも爽やかですね。
いつの日か、どこかで名刺交換をさせていただいて、直接お名前を聞けると嬉しいです。
秋本さん、はじめまして。コメントくださり本当にうれしいです!ありがとうございます。そうですね、ここで繋がれたのも何かのご縁です。直接自己紹介させていただけることを願っております。よろしくお願いします!^ ^
こんばんは。私の名前も、なつきです。平成元年の夏産まれ。そして、ライターです。さらに、さっき同じような気持ちの記事を書きました。私も「なつき」って中性的だから嫌だと思っていました。もっと、可愛い名前が良かったって。でも、大人になると褒められることが多くて、誇らしく感じるようになったんです。なんだか、全く同じで、とっても嬉しくて、コメントしてしまいました。
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