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第3の選択肢:ゆでがエルは自分で気がつかない(週刊朝日の休刊と印刷業界)

■衰退の一途

先月末で週刊朝日が休刊となった。実質的な廃刊である。発行部数は、およそ、10万部であったと聞く。採算ラインは分からないが、おそらくは、この10倍の発行部数がなければやっていけないのではと想像される。

週刊朝日が休刊になったからと云って、その購読者が他の雑誌に行くとは思えない。まるまる市場がなくなったと考えるべきであろう。他の紙媒体の雑誌も追随する恐れはある。

こうした、紙媒体の市場の現象は、関連する産業、特に「印刷業界」に影響が及ぶであろう。泣きっ面には蜂なのかもしれない。

○印刷業の倒産が前年度から一転増加へ 紙需要減に加え、コロナ禍が経営を直撃
2023/03/14

2022年度(4-2月)の「印刷業」倒産(負債1,000万円以上)は、59件(前年同期比31.1%増)に達した。年度通期(4-3月)は、2003年度以降の20年間で最少だった2021年度の48件をすでに上回り、2020年度の69件に迫っている。

 「新型コロナウイルス」関連倒産は、27件(前年同期比50.0%増)と増勢を強めている。印刷業界は市場縮小に加え、コロナ禍による各種イベントの自粛や観光・ブライダルなどの需要減も経営を直撃している。

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197453_1527.html

■ゆでガエル

印刷会社のIT化の為の設備投資の計画策定の支援をしたのは数年前だったが、その際に、印刷業界が縮小しており、プリントパックのような安さを前面に出す事業者が現れたたことで中小の印刷会社が苦境に陥っていることを聞いた。

プリントパックが登場したからと言って市場が拡大したわけではなく、むしろ売上金額が押さえ込まれ市場の縮小が進んだ。お付き合いした会社は、「高機能設備を投入して規模の効果」を選択し、別の会社は「趙高品質印刷」で差別化戦略を選んだ。いずれもIT投資をその要としていた。

かつてCDの普及によりレコードが駆逐され、「針のナガオカ」がレコード針の市場から撤退したようなドラスティックな変化は希であり、そのほとんどは少しづつの変化で起きる。

デジタル化は今日突然起きたことではなく、20年前から徐々に進行してきた。
印刷事業者は、そのための準備をしてきたのだろうか。ほとんどの事業者は「何も準備してこなかった」のではないのか。まさしくゆでガエルであったのだと思う。

なぜ「自分がゆでがエルであることに気がつかないのか」をChatGTPに訊ねてみた。

○ ゆでガエルの状況にある組織や個人は、変化が徐々に進行し、その過程で問題や課題が積み重なっていくため、気づきにくい場合があります。それは、状況がゆっくりと進行し、問題が目に見える形で表れないためです。

○ 自己評価や組織の状況分析を行う際には、客観的な視点や情報を持つことが重要です。また、他の人のフィードバックや視点を求めることも役立ちます。外部の視点や意見を取り入れることで、自分自身や組織の現状に気付くことができるかもしれません。

○ もし、他の人からゆでガエルの状況について指摘されたり、問題や課題が顕在化している可能性がある場合は、それを真剣に受け止め、対策を検討することが重要です。変化や問題に対する敏感さを持ち、主体的に改善に取り組むことが求められます。

まぁ、至極当然の解答であろう。
しかし、最も重要なことは、自らを変えることを恐れるという人間の根源的な性癖である。そのため、「聞きたくないことは聞かない」あるいは「物事を自分の都合の良いように聞く」という傾向がある。

結局のところ、「変化に向かう」という心構えがない限り、崖っぷちに至り落ちるしかないときまで「飛ぶ準備」をしないことが「ゆでがエル」の本質であろう。

■今からでも遅くない?

さて、上記で「ChatGTP」に触れた。ついでに、戦略の方向性についても聞いてみた。
下記の通りである。

1.デジタル化とオンライン展開: 近年、印刷業界はデジタル化の波に乗って変革を遂げています。印刷会社はオンラインプレゼンスを強化し、ウェブサイトや電子商取引プラットフォームを活用することで、顧客に対して迅速なサービスを提供できるようにする必要があります。

2.付加価値の向上: 競争が激化している印刷業界では、付加価値の提供が重要です。例えば、デザインやパッケージングのサービスを提供したり、顧客のニーズに合わせたカスタマイズを行ったりすることで、他社との差別化を図ることができます。

3.環境への取り組み: 持続可能なビジネス戦略は、現代の印刷業界において重要な要素です。再生可能エネルギーの使用、環境に配慮した印刷材料の選択、廃棄物の削減など、環境への取り組みを行うことは、企業のイメージ向上や法規制への対応にもつながります。

4.新たな技術の導入: 3Dプリンティング、デジタル印刷技術、AIを活用した自動化など、新しい技術の導入は、印刷業界の未来において重要です。これらの技術を取り入れることで、生産性の向上や柔軟な対応力の強化が可能となります。

5.顧客とのパートナーシップ強化: 顧客との強力なパートナーシップを築くことは、長期的な成功につながります。顧客のニーズを理解し、コミュニケーションを密にし、信頼関係を構築することで、リピートビジネスや口コミによる新規顧客の獲得につながるでしょう。

・・・当然のことながら、可もなく不可もない。印刷業界だけでなくどの業界にでも通用しそうな解答である。

戦略の作り方に王道はないし、戦略は実際に行なってみないと成功か失敗かは分からない。なので、自らの信念に基づいて作るしかない。「天は自らを助ける者を助ける」かな。

■ChatGTP

いわゆる「転生もの」には、検索機能がチート機能として登場することがある。古い話であれば「光速エスパー」の肩に乗る小鳥などもその走りであろうか。

いつか、そうした存在になるかもしれないと、少し感じた。
印刷事業者も「生成AI」と連動させ、個人毎のアーティフィック作品をデリバリーする商売を考えては?

<閑話休題>

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