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ISO9001と経営:ゆでガエルの経営(10.3 継続的改善と三つのお願いのギャグ)

ゆでガエルという言葉が「マイブーム」になっているかな

■三つのお願い

トリオだったかコンビ漫才だったかを覚えていないが、三つのお願いというギャグがあった。ランプを削ると魔法使いが出てきて「三つの願いを聞いてくれる」という。これはよいと思って相方が「三つのお願い」を言う。アラジンの魔法使い方は「はい聴きました」と言って去ってゆく。聴くだけ大魔神である。

さて、なぜこんな話をしたかと言えば、下記の記事が目についたからだ。

〇建設業の約7割、2024年4月からの残業規制に「何も対応していない」
2023/06/05

2019年4月に施行された改正労働基準法により、建設業においては2024年4月より時間外労働の上限が月間上限45時間、年間上限360時間に規制される。

同調査結果によると、6割が残業の上限規制について「わからない・聞いたことがない」と回答。また、残業の上限規制への対応については、「特に何も対応していない」が7割を占めた。昨年の調査結果に比べて8%改善しているものの、まだ建設現場での働き方改革は道半ばの状況だという

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230605-2696455/?lead&utm_source=smartnews&utm_medium=ios&utm_campaign=sp_app

〇建設業の2024年問題、管理職の4人に1人が「何も対策を行っていない」
2023/06/07

セーフィーは6月7日、建設会社に勤める管理職689名を対象に実施した「建設業の24年問題に向けた働き方改革の実態調査」の結果を発表した。

2024年4月までに建設業が是正しなければならない労働環境の課題を指す「建設業の2024年問題」について、2人に1人が「その内容を把握している」と回答した一方、4人に1人は「特に何も対策を行っていない」と回答したという。

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230607-2698687/?lead&utm_source=smartnews&utm_medium=ios&utm_campaign=sp_app

こうした問題は、建設業の人手不足ともかかわり、建設現場のDX化を進める施策や、熟練労働者に頼らない工法の開発なども必要になる。こうした対策も進められていない。

もちろん、財務上の問題や優秀な人材確保の困難性は同情する。しかし、問題の発生がわかっていながら何にもしないことの理由にはならない。

三つのお願いを聞いてこれを解決してくれるアラジンの魔法使いなどはいない。

■漫然とした規格要求事項への対応

ISO9001:2015という規格要求事項は下記の項番で締めくくられている。

10.3 継続的改善
組織は,品質マネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性を継続的に改善しなければならない。
組織は,継続的改善の一環として取り組まなければならない必要性又は機会があるかどうかを明確にするために,分析及び評価の結果並びにマネジメントレビューからのアウトプットを検討しなければならない。

改善をどのように行うべきかについてはなにも記載されていない。それは会社自体がすべきことである。
検討しろとは言っている。ではその後どうするかは指示されていない。

認証だけを目的に「品質マニュアル」にこれを記載したからと言って何も解決しない。
「ISOに取り組んでいるのに儲からないのはなぜだ」と聞くが、当然であろう。何もしていないのであるから。

■今のままで生き残れるのか

経営者は正しい問いをしなければならない。「できることは何か」ではない。
こうした発想になると最初に制約条件を考える。端的なものであれば「資金」である。そうすると重要な施策が後回しになる恐れがある。

正しい問いは「このままで生き残れるのか?」である。その問いに応えるためにはナラティブのはっきりした戦略である。この戦略に従って施策を選ばなければ、全体の整合性が損なわれ、結果として無為無策になりかねない。

ゆでガエルよろしく、気が付いた時には手遅れにならないようにしてほしい。

<閑話休題>

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