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未来への手がかり:共通価値の創造(平和を前提にしないと事業は成り立たない)

未来への手がかり:共通価値の創造(平和を前提にしないと事業は成り立たない)

■共通価値の創造

共通価値の創造と、もしくはCSVと表現される企業行動は下記の様に表現される。

「CSV」とは、Creating Shared Valueの略語で、「共通価値の創造」などと訳されます。2011年にハーバードビジネススクールの教授であるマイケル・E・ポーター氏とマーク・R・クラマー研究員が発表した論文で提唱されました。企業の社会的責任を表す「CSR」と混同されることもありますが、CSVは自社の強みを用いて社会的課題の解決を目指す考え方。企業の成長と社会的課題の解決を同じベクトル上に置くことで、企業の存在価値をアピールする差別化戦略の一つです。
https://jinjibu.jp/keyword/detl/1033/

比較的わかりやすい例として、ネスレが途上国の珈琲豆の農園を経営的な支援を行なうなどの例がある。

今行なっていることを再評価して「SDGs」と云っているだけの活動とは一線を画す。

■なにげなニュース

○ブルキナファソの村で虐殺、市民約100人が死亡の情報 EU発表
2023.11.14

ブルキナファソは2022年7月に軍事クーデターが発生し、現在は軍事政権下にある。軍事政権は治安対策を優先しているが、今年に入ってイスラム勢力の襲撃が相次ぎ、市民が犠牲になっていた。

4月初めには北部の村が相次いで襲撃され、少なくとも44人が死亡。当局はテロ集団の犯行だったとしている。

https://www.cnn.co.jp/world/35211485.html

ブルキナファソと言う国名はなじみがなく、外務省のホームページで
1 面積  274,200平方キロメートル(日本の約70%)
2 人口  2,267万人(2022年、世銀)
であり、農業が主産業で軍事政権下にあり多民族国家であることぐらいが分かる。

こうした国は顧みられることはないのか、わずかにテレビ朝日の深夜に少し報道があったぐらいだ。

■強制農法

しかし、何か聞き覚えがある国名だと気になって調べたら下記にたどり着いて。

○砂漠をジャングルに変える、ソニーが取り組む「協生農法」とは?
2018.02.27

 ソニーが農業に携わっていると聞いて、何が想像できるだろうか?

 この農園では、土を耕すことはしないし、肥料や農薬も使用しない。一つの作物だけでなく、雑草や自然に生えてくる木、昆虫や動物も総合的に活用して、生態系本来の強さを引き出そうという、「協生農法」である。

 砂漠化が進む西アフリカの内陸国ブルキナファソに飛んだ舩橋は協生農法で驚異的な成果を残した。わずか1年で砂漠から植生を復元したのだ。
 持続可能な食糧生産システムが実現すれば、環境、貧困、食の安全などさまざまな問題を解決に導くだろう。農業で世界を変えようとする舩橋の挑戦は続く。

https://www.asahi.com/and/article/20180227/149911/

「地球環境は確かに人間活動によって後戻りできないところまで確実に来ています。環境負荷を生んでいる大本の要因、農業自体を転換しない限り、有限な地球の上では生きていけなくなってしまう」

とあるように、文字通りのSDGsであり、自社の技術で社会課題を解決する取り組みである。

■サプライチェーンの不確かさ

しかし、冒頭の記事にあるように、国の貧困や困窮は政治的な不安定をもたらし、こうした活動を阻害しかねない。それはサプライチェーン自体を脆弱化する。

現在紛争が続く地域は、イスラエルとはマスの闘争だけではない。ウクライナはロシアと戦っているし、シリアの内線やスーダンやミャンマーの混乱なども収束したとは聞いていない。

○スーダン800人超死亡 「ダルフール危機」再来か 民族浄化の恐れ
2023年11月13日

アフリカ北東部スーダンで国軍と衝突する準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」などによる民間人への攻撃が過激化している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は10日、西部ダルフールで黒人系住民の800人以上が殺害されたと報告した。「民族浄化」の様相で、多くの難民が隣国チャドへと逃げている。

https://www.asahi.com/articles/ASRCF6791RCFUHBI004.html?iref=pc_ss_date_article

報道が特定の地域のことしか取り上げないために世界の混乱が矮小化して伝わることが心配だ。

日本の食糧自給率は

直近(令和元年度)の値は、食料全体の供給に要する金額の合計(15.7兆円)に占める国内生産額(10.3兆円)の割合を計算し「66%」となっています。
(農林水産省のページから)

しかし、マクロ的な数字にごまかされてはいけない。大部分を輸入に頼っていることも忘れてはならない。

(3) 外国で大規模に生産されている品目(小麦、大豆、油脂類・飼料の原料)
小麦や、油脂類・飼料の原料となる大豆、菜種、とうもろこしなどは、日本の限られた農地では大量に生産するのが難しく、生産に適した気候で広大な農地を有する国(アメリカ、オーストラリア、カナダ、中国など)で大規模に生産されたものが輸入されており、自給率はそれぞれ小麦16%、大豆6%、油脂類13%と低い状況です。
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/ohanasi01/01-01.html#:~:text=直近(令和元年度)の値は、食料,%」となっています。

こうした輸入は、当然相手国との信頼関係が前提であり、突然ルールを変える相手とはリスクが高い。輸入できる相手先を複数確保するとともに、相手の国の「経済的基盤」や「政治的な基盤」の安定性が不可欠である。

相手国の困窮に配慮しなければ地政学的リスクは低減できない。
それは単にお金をばらまけば良いと言うものでもない。

簡単に「食料安全」などと云っているが、相手国の経済の発展がなければ、甘い言葉とお金で無理を通すあの国に対抗できない。

CSVと云う言葉を経営戦略に組み込もう。

<その他の地政学的リスクを想起させる記事>

○「国家が分裂する」…戦況悪化でミャンマー国軍側が危機感 防戦で「戦闘機もパイロットも休む暇がない」
2023年11月10日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/289330

(2023/11/19)

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