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エッセイ&コラム(しっかり)

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その日、もしくは前日に感じたことを「しっかり」と、 ときには前後編や①と②などに分けて、まとめた文章です。 推敲した最終稿をここに載せます。 <これまで【note】に綴った日記… もっと読む
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2017年12月の記事一覧

せっせと父へ送る

せっせと父へ送る

わたしの父は、本好きのレベルをはるかに超えた「活字中毒」である。

名古屋の老人ホームで、ほとんど寝たきりの母と暮らしているのだが、足腰は弱っているものの、アタマはしっかりしているので、毎日ヒマな時間を持て余している。そのため、相手をしてくれる「活字」の量は膨大だ。

配達してくれる月決めの新聞は3紙。近くのコンビニまでは歩いて行けるので、さらに毎朝スポーツ紙を3紙も買いにいく。合計6紙。加えて、

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デリケートな天秤座

デリケートな天秤座

年末になると、占いも一年を総括したり、来年の運勢を予見したりする。
当たるとか当たらないとか、あまり興味はないのだけれど、SNSで目にするとなんとなく読んでしまう星座占いがある。
今日はその占いに『デリケートな天秤座』と書かれていて、仕事帰りの電車のなかで思わず「そうよそうなの」と頷いてしまった。

ここ数日、自分の行動や言動に落ち込むことが続いている。

わたしは10月生まれの、<物事を秤にかけ

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ポワロとポアロ

ポワロとポアロ

わたしにとって名探偵ポワロといえば、NHKで放送されていた英国ドラマの、デヴィッド・スーシェが扮する『ポワロ』である。
吹き替えの熊倉さんの独特な声がぴったりはまっていたのも理由の一つだけれど、灰色の脳細胞を駆使しながら、相棒のヘイスティングス君と事件を解決するのは、おでこが丸くてちょび髭がチャーミングな彼をおいてほかにはいない。はまり役とはこのことだと思うほど、このドラマと出会ってからは、クリス

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生ジュース渇望論

生ジュース渇望論

駅構内やホームでよく見かけるジューススタンド。
以前は「どうして駅に生ジュース?」と、不思議だった。

缶やペットボトルのジュースなら自販機で買えるし、持ち歩きに便利だ。
生ジュースはプラスチックの蓋があるとはいえ、ストロー付きの紙コップ。非常にこぼれやすい。鞄には入れられないし、そのまま車内に持ち込むのも辛い。購入したら、ほぼその場で飲みきる必要がある。手荷物が多いときなどは、面倒なことこのうえ

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12月の寄り道

12月の寄り道

いつもの道をちょっと外れただけで、景色が変わる。新しい発見がある。

今日は歯医者の帰りに寄り道をして、以前から気になっていたパン屋さんへ。二軒もハシゴした。

長年通っている歯医者で、恵比寿に転居してからもう10年近くになるらしいのだが、寄り道するのはなんと!今日が初めて。わたしはかなりの方向音痴なせいもあって、いつもの道をいつも通りに歩くことしかしないんだなと今更ながら反省した。それほど、お目

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うっかり三昧な一日

うっかり三昧な一日

え???

今日は想定外の「え???」を、何度口にしたことか。
宇宙から理屈では説明のつかない力が働いて、わたしの日常を破壊しにやってきたのか、と思うほど(大げさかもしれないけど)、「うっかりミス」が重なった一日だった。

そう。すべては、わたしの単純な「うっかり」に起因している。

①「頭のなかがまっしろになった」事件
②「うわ、どうしよう」事件
③「ああ、やっちゃった」事件

①に関しては約束

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ホットケーキから蝶が羽ばたく

ホットケーキから蝶が羽ばたく

昨春『四角いホットケーキ』という詩が、世田谷文学賞の二席に入ったことがきっかけで、『木庭撫子』というわたしが生まれた。

それまで詩を書いたことはほとんどなく、そもそもこの文学賞には随筆部門で出してみようかと軽い気持ちで考えていた。街のポスターで「あ、今日がしめきりだったな」と締め切り当日になって思い出し、詩ならなんとかなるかもと慌てて書いたものだったので、地域の小さな(しかも1番じゃなく2番の)

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