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クリームシチューが食べたくて

冬は、クリームシチューの美味しい季節。
子供の頃から大好物なのに、自宅で作るのはたぶん2回目だと思う。
新婚当初に作ったら、夫からまさかの「苦手なんだよね」発言があり、以来、わが家のメニューから消えてしまった。彼はホワイトソースがダメらしく、だからグラタンもクリームパスタも食卓に上げたことはない。夫婦ふたりの生活だし、わたしが食べたいときは外で食べようとあえて作らなかったのだが、先日唐突に「クリームシチューが食べたい!」衝動にかられた。思えばもう随分、食べていないことに気づいたからだ。

問題は、外で食べたくとも、なかなか美味しい「クリームシチュー」に出会えないという点にある。グラタンに比べ、提供する店が圧倒的に少ない。たまに見かけても、ちょっと気取った洋食店の本格的な濃いシチューで、しかも少々お高い。

かくして「自分で作るしかない」という結論に至った。
母は小麦粉とバターと玉ねぎを炒めるところから手作りしてくれたけれど、わたしは市販のルーで十分(手抜きです)。「食べる」のではなく「飲む」感覚の、さらっとしたものが食べたかったので、牛乳も少なめに仕上げた。

そして、久しぶりに作ったそれは、とてもとても美味しかった。
これからはたまに作ることにしよう。
夫には申し訳ないけれど。彼には彼の好きなものを食べて頂くことにして。

と思っていたら・・・夫は「クリームシチューってこんな味だったっけ?おいしいよ、作っても大丈夫だよ!」と喜んで食べてくれた。

なんだか拍子抜けした。
十年経って、味覚が少しずつ似てきたのだろうか。
互いに年を取り、濃い味より薄い味を好むようになったからかもしれない。たしかに、今日のクリームシチューは、以前に作ったものよりさっぱりした味だ。

次は、グラタンを作ってみるかな。

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