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母から息子に伝える『性』のこと…続き

さて、前回の続き。
冬休みのある日、2冊の本を用意し息子を呼んで、まずはこちらから
「一緒に読もうか」と隣に座らせ見せてみた。

生殖と『性』のこと
まず息子が反応したのは、赤ちゃんではなく精子と卵子のCG。
既に学校のちょっと進んだお友達がいろんな単語を発しているらしく、
赤ちゃんの起源が「精子」と「卵子」だという事も、学校ではまだ習ってないけれど何となく知っていたよう。

ただ、その形状や大きさや数量etc.の話をしたとたん、息子の表情が変わった。

女の子は生まれながらに卵子をたくさんその体内に抱えている事。
大人に近づくと、1ヵ月毎くらいにその中からひとつが選ばれ大きくなって旅立つこと。子宮は誕生するかもしれない命のために、毎月ふかふかのベッドを用意して受精卵を待っていること。

男の子は大人に近づくと、とある物質(ホルモン)が働くことにより精巣の中でたくさんの精子が作られるようになること。
その尋常じゃない数を聞き、「えっ!・・・」とうつむいて自分の股間を見る息子。。。

そして、いよいよ精子が放たれる場面。(ここではセックスについての説明は一旦割愛し、詳しくは後でちゃんと話すよ、と。彼も納得。)

精子が卵子へといっせいに泳いで向かう様子、受精の瞬間など、文章は後でちゃんと読んでもらうことにして、私が口頭でざっと説明していく。
ほら、あーーんなにいっぱい作られた精子のうち、たった一匹、たった一匹なんだよ。たった一匹だけが卵子の中に入れるの。
あなたが今生きているのは、この一匹と大切な卵子が出会って、ぴかっと光って、ちゃんと正確に細胞分裂しながら子宮の壁にピタッとくっついたからなのよ。細胞分裂がうまくいかないこともある、壁にくっつかないことだってある、くっついた後に分裂が止まってしまうことだってある。大きく育っても、お腹の中で心臓の鼓動が止まってしまう…そんな悲しいことだって起こり得る。。でもあなたの素になった精子と卵子はそれを全部やってのけ、魚みたいな形からおなかの中でこんな風に進化を辿って人間の形になり、こうして生まれてきた。凄いことだよね、ほんとに凄いことだと思わない?

話しながらなぜか熱くなった(笑)私が一気に喋り終えると、息子はひとこと
「奇跡みたいだね」
その通り。命はみな奇跡なのですよ。その過程でどんなトラブルがあったとしても、9ケ月間おなかで育って、外の世界に生まれ出てきた命はみな奇跡の賜物なのだ、と話した。だからみな同じように大切なのだ、と。

この時息子は言葉少な気だったが、ジッとCGに見入っていた。
生まれてくる場面には母親の骨盤も描かれており、漠然とおなかから赤ちゃんが出てくると思っていた息子は、「ここから出てくるんだね」と。
そうだね。あなたもここから出てきたんだよ。
「痛かったんでしょ?」
「それはもう、今までで一番痛かったよ^^」
息子は何も言わず私に抱きついて、ぎゅうっと抱きしめてくれた。
このストレートな表現はずるい(笑)母である私がグッとくるのはもちろん、どんな女の子にもどんな言葉より効き目があると思うよ。この時息子はギューッとしながら「ありがと」って言ったのだった。

まずは精子と卵子から始まる『いのち』について、
そして『性』は『いのち』と切っても切れない関係だということを、
彼なりに理解しただろうと思う。

そして、運悪く(?)精子と出会えなかった『卵子』はその後どうなるのか、も併せて話した。
ふかふかのベッドを用意して待ってたけど受精卵が来なかったら、そのベッドは剥がれ落ちて血と混じって体の外に排出されること。
それを『月経』とか『生理』と呼んでいるのだ、ということ。
剥がれ落ちて排出される時に痛みを伴ったり貧血になったり、女の子の体は結構その時期大変なことetc. 
うちでは息子がごくごく小さい時から「今日はお母さん血が出てるから、一緒に湯船には入らないよ」と話していたので(病気では無いことはもちろん伝え済み)息子はこの時「ああ!そうか、それか!」と合点がいったようだった。

この日以降、何気なく息子の様子を観察しているが、たまに手に取って説明文を読んでいる。この本を選んでよかった。


生殖じゃない『性』のこと
さて、2冊目。
こちらはマンガということもあり、私がどうこう説明するというよりは、
まずは読んでみてごらん、と手渡した。
ただ、手渡す時にこう言った。

「夏の合宿やなんかで、高学年のお兄ちゃん達からきっといろんな言葉を教えてもらってると思う。でも、ほとんど何のことだか解ってないよね? 
それにお母さんは女の子だから、男の子がどうやって大人の体になってくのか、どんな変化があってそれをどう感じるのか、解らないことも多いの。
だからこの本を買ったよ。もしかしたら、今君が知りたいことが書いてあるかもしれないし、これから悩みが出てきた時に助けになるかもしれない。
今ぜんぶ読む必要はないけど、気が向いたら読んでみて。そしてもしお母さんに訊きたいことがあったら何でも訊いてね。」

息子はその場で本を開いて、マンガを読み始めた。私はしばらく同じ部屋で他の事をしていたが、こちらを向いているのに気がついて振り向くと
「ねえ、セックスってどうやってするの? ぜんぶ脱いで裸になるの?」という質問。「そうだね。大体はそうだよ。」「うわっ、キモ!」続けて間髪入れず「お母さんも裸でしたの?」「うん。」「・・・。」
実は、このような質問が来るであろう事はアクロストンさんの記事で予習済みだったので、うろたえることなく自然に答えることができた。

さあ、ここからが肝である。
どういう話になるか判らなかったので準備も特にしていなかったが、ここから話はこう続いた。

裸はキモい → お母さんとお風呂に入るのはキモくなかったけど・・・ → キモいと思う人とそうじゃない人がいる → 好きな人だったらちょっと恥ずかしいけどキモくないかも。

そして、
好きな人とはもっと仲良くなりたいと思う。もっと一緒に居たいと思う。
→(私)もっと近くに寄りたいと思わない?手をつないだりしたくない? →(息子)・・・んー。一緒にいると嬉しいし、話をするのも嬉しいけど。→(私)そうだね。お母さんは好きな人と手をつないだりギュっとしたりするの大好きよ。〇〇(息子)とも、手をつないだりぎゅっとしたりするでしょ?大好きだからね。→(息子)うん。僕もそうかも。すごく好きだったら手をつないだりぎゅっとしたりしたくなるかも
→(私)そうだね。そしてそれはちっとも変な事じゃなくて、誰でもにある当たり前の気待ちなんだよ。

そういう気持ちの、もっともっともっと強くてすごいのが『恋』とか『恋愛』とか言われているものなんだよ。

ここまで来て、息子はまた何かしら合点がいったようだった。

大きくなったら『恋』をする。『恋』とか『恋愛』とかして、結婚して、赤ちゃんができる。
そういうものだ、という一般的な「漠然とした」知識と『性』のことがリンクしたようだった。

さらに、赤ちゃんを作る以外でも人は大好きな人と『セックス』をしたいと思う生きものだということ。その方がずっと多いのだということ。
そして大切なこと。必ず「相手」がいるのだから、相手の気持ちや体を傷つけるようなセックスはしちゃいけない、ということ。男の子の親としてそこは絶対に外せないと思っている。ちゃんと伝わっていることを願うばかりだ。

話をしてみて、今思うこと
あの日以来、息子はやはりちょくちょくこの本を手に取っているようで、
ある時は居間に、ある時は机の上に、またある時は寝室に、と家のあちこちに置いてある(笑) 「あ、読んだな」とすぐわかるのだけれど、それを気にする様子も無く、隠すそぶりも無い。

4年生の12月。
12月生まれの息子の場合は、この時期で正解だった。
極端に恥ずかしがること無く、照れて話が出来ないということも無く、
斜に構えるでも無くバカにすることも無く、こちらの話を素直に聞き、
ちゃんと受け止めて反応してくれたと思う。
もっと幼くても話はできるがここまでは話せなかったろうし、逆にこの時期を超えてしまうと、茶化したり照れてはぐらかしたり、また極端に恥ずかしがったりして会話が成立しなかったかもしれない。

特に生殖以外の性については奥が深くて、まだまだ入口の段階だ。それでも息子にとっては今まで知らない世界のこと。きっとドキドキしながら、そしてまだ?マークだらけの頭の中で、想像を膨らませているに違いない。

現在5年生。あれから数か月の間に本人も周りのお友達も成長し、さらにいろんな用語を発するようになった。まあよくもそんなにいろんなことを、
いったい誰から仕入れてきたの・・・と思うこともしばしばである。
でもあの日意を決して伝えたこと、母としてどうしても伝えたかったコアの部分は伝わったかな、と思う。いや、伝わっていると思いたい。
また、これから本格的に訪れる体の変化や気持ちの変化についても、知識があることで少しは心の準備ができるだろう。

母親として女として、まだまだ伝えたいことはたくさんある。
この時はざっとここまでだったけれど、さらに突っ込んだ話はまた後日。
必要とあらば頃合いを見計らってするかもしれないし、関連した書籍を渡すだけかもしれないが、まあ、臨機応変にやっていこう。

息子よ、君と暮らすのはほんとに楽しい。いろいろ大変な事はあるにせよ。。。
こちらこそ、私を「お母さん」にしてくれてありがとうね。

いい男になーれ。


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