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大規模接種センター予約システムについて思うこと

5月17日から始まった東京と大阪に開設する大規模接種センター予約システムについて、架空の情報で登録できるようになっているという報道がありました。
この件について、システム開発や設計を生業にしている私の立場から思うことを書きたいと思います。

1.今回のシステムが問題と言われる内容について

今回の大規模接種センター予約システムは自衛隊を管轄している防衛省からマーソ株式会社という人間ドックや医療施設向けのWeb予約システムを開発している会社に発注し、納品されたものである。
システムのサービス利用規約の日時からしておそらく2021年2月1日頃に契約締結されたものと思われます。

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今回報道されている通り、今回のシステムでは架空の情報で登録することができるとなっており問題になっているが、ある程度の制御はできている模様であります。
というのも、接種券番号欄に「1234567890」や「1111111111」という数字を入れるとエラーになるようには設計されている。

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この接種券番号というのは各市区町村がマイナンバーと紐づけて発行しているために、ここをシステムに登録して照合するのは短期間では難しいと思うので、ここは致し方ないかと思います。
実際にそれらしい数字を入れると認証はスルーしました。

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ただ、実際に利用してみて少し問題だと思われる点は、上図にある通りで生年月日で65歳以上の判定ができなかった部分です。
(例で43歳の私の生年月日で入力すると認証はできました。)
報道では市区町村コードも架空のものを入れてもスルーするのは問題だと言われていますが、そこをご高齢の方に的確に入力しろというのも少しは問題かと思いますので、致し方ないかと思っています。

2.システムプランナーとして思うこと

確かに今回のこの件についてはそれなりに問題はあるかと思っています。
私も長年システム開発や設計に従事しており、最初の報道を見た際には「あ〜、またやっちゃったな」と思ったのは事実です。
しかしながら、システムというものは発注者側からの要求仕様があり、それに基づき設計されるものです。
その要求仕様を見ていない状況下において「瑕疵である」とか「欠陥だらけ」とは言うのは間違っていると思います。
正確性と利便性を取った際に、今回のシステムは利便性を最優先したシステムだと思われます。
もちろん、利便性の中でもある程度の正確性を担保する必要はあると思うので、年齢判定できていない点については少し残念ではあります。
私自身も高齢の母親がおりますが、正直なところ自治体から送られてきた接種券に書かれている市区町村コードや接種券番号を見ながら入力するのは大変だと思います。

今回の大規模接種センターの意義は変異株が猛威を奮っている中で一人でも多くの国民にワクチン接種を行い、感染者数や死亡者数を減らしたいという日本政府の思いからできたもので、その予約をするのに手間のかかるようなシステムだとこの意義に反するためにかなり緩めのシステムになっているのも事実としてあると思いますし、これほどの短期間でセンターの構築やシステムの構築はできなかったと思います。

我々が思っている以上に日本という国はデジタルの分野において後進国であるという認識を特に現役世代以下の国民は持つべきだと思います。
9月に政府肝入りのデジタル庁が設立され、ようやく行政の分野におけるデジタライゼーションならびにデジタルトランスフォーメーションが加速化してくると思います。
(デジタイゼーションもまだまだできていない部分もあると思いますが・・・)
そうなった際には今回のような問題も徐々に解消されると思っていますので、しばらくは様子見することも国民として大切だと思いますし、今回のような問題に対して批判ではなく意見を受け入れる体制を政府も作ってくれるのを期待したいと思います。

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