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NAGAのnoteはじめました&鳳凰卓トレンド変化&今年のNAGA振り返り

NAGA公式note

NAGAプロジェクトの公式noteをはじめました。
これまでは主に𝕏で発信していましたが、NAGAプロジェクトによる集計データの公開等はストック型の場所で行うべきだと考えたため、NAGAプロジェクトのnoteをはじめました。

鳳凰卓解析してみました

牌譜が公開されている鳳凰卓の牌譜データに対して、2009年から2023年5月までの鳳凰卓のすべての打牌についてNAGA解析(オメガ/ガンマ/ニシキ/ヒバカリ/カガシ)を行いました。


鳳凰卓打牌のNAGAタイプ別各種NAGA指標の変遷

NAGAタイプ別一致率

鳳凰卓NAGAタイプ別一致率の変遷

NAGAタイプ別類似度

鳳凰卓NAGAタイプ別類似度の変遷

NAGAタイプ別悪手率

鳳凰卓NAGAタイプ別類似度の変遷


鳳凰卓段位別打牌の各種NAGA指標の変遷

オメガ各種指標

オメガ一致率
オメガ類似度
オメガ悪手率

ガンマ各種指標

ガンマ一致率
ガンマ類似度
ガンマ悪手率

ニシキ各種指標

ニシキ一致率
ニシキ類似度
ニシキ悪手率

ヒバカリ各種指標

ヒバカリ一致率
ヒバカリ類似度
ヒバカリ悪手率

カガシ各種指標

カガシ一致率
カガシ類似度
カガシ悪手率

共通悪手率

オメガ/ガンマ/ニシキ/ヒバカリ/カガシの5タイプすべてから悪手と判定された率を「共通悪手率」とした場合の指標です

共通悪手率(5タイプすべてから悪手と判定された率)

鳳凰卓のトレンド変化

2011年~2016年を通じて緩やかにNAGAに対する各種一致度合いの指標が全タイプに対して向上していました。鳳凰卓のボリュームゾーンである七段・八段の各種NAGA指標の向上が特に著しく、各種NAGA指標だけで見ると、現在の七段は十年前の八段以上、現在の八段は十年前の九段以上の数値となっており、鳳凰卓全体としては大きな変化がありました。NAGA牌譜解析サービスが開始した2021年以降はそれまでになかったペースで更に向上しています。NAGA牌譜解析サービスがネット麻雀戦略のトレンドにどの程度影響を及ぼしたのかという点についてはここでは細かい考察を行いませんが、少なからず影響があったと考えています。
(同枚数の三元牌のうちどれを優先して切るか等は直接成績に影響することはほぼありませんが、NAGAの各タイプはそのようなケースで極端な判定を付けることがあるため、その部分の判断を合わせることで、雀力が実質的に向上していなくてもNAGAの各タイプの癖に合わせて指標の数値そのものはある程度向上させることが出来るということは留意すべき点です。)
今後、シチュエーション別等で分析を行い、より詳細なトレンド変化に関する分析を進めたいと思っています。

2023年におけるNAGAプロジェクトのテーマ

2023年のNAGAプロジェクトの方針としては、以下をテーマに活動していました。

  1. 人にとって使いやすいサービスとなること

  2. 「NAGA」という単一の打ち筋は存在せず、現在は複数のNAGAタイプ(複数の打ち筋タイプ)の集合がNAGAという概念であるため、「NAGAの打ち筋=ニシキの打ち筋」という誤解を解消すること

  3. 傾向の異なる強い麻雀戦略が複数存在することを示すこと

NAGAの多様性と麻雀の打ち筋の多様性

2023年5月「カガシ」リリース

5月に新しい打牌タイプの「カガシ」をリリースしました。
この「カガシ」はニシキの打ち筋とはかなり異なる打ち筋で、各タイプのリーグ戦やニシキとの直接対決でも同等以上の強さのものでした。
カガシのリリースは「NAGA=ニシキではないこと」「複数の強い戦術が存在する」ことを示したいという意図でした。

ただ、カガシは打ち筋の癖の強さがあり学習用のベースとしては参考にしづらいと感じた方が多かったかもしれません。また、ニシキに「バランス派」という説明付けをしたためか、ニシキの打ち筋を指してNAGAの打ち筋と呼ぶケースはいまだに多く、ニシキ=NAGAの認識を払拭するのはなかなか難しいなと感じました。
そのため、複数の打ち筋タイプを同時に解析し一つのレポートで複数のタイプの判断を見られる機能を追加し、また、2タイプまで追加NP消費無しで解析出来るようにしました。

NAGAの打ち筋の多様性

今回の鳳凰卓トレンド分析からは「すべてのNAGAタイプにおいて類似度や一致率指標が向上した」という結果が得られましたが、将来的にすべてのNAGAタイプで「類似度・一致率100%、悪手0%」にはなることはありません。
これは、NAGAの各タイプ同士の一致率です。

NAGAの各タイプ同士の一致率
※2020年5月に上級卓~鳳凰卓で現れた101,239,363局面に対する各タイプの推奨度に基づく集計

たとえば、ニシキとカガシでは13.1%の打牌が異なり、ニシキとヒバカリでは16.0%の打牌が異なり、ヒバカリとカガシでは16.8%の打牌が異なります。
つまり、全タイプに対して一致率100%となることは(ごく短い半荘でない限り)ありません。

麻雀における戦略の多様性

麻雀における「最適な戦略」はその時の同卓相手によって変わり得るものだと考えています。
たとえば、極端な好形高打点派の対局者の立直を相手にした時の押し引き判断は引き寄りの判断が得になることが多くなるでしょうし、立直に対する押し判断基準が極端に高かったり低かったりするプレイヤーと同卓している場合、横移動の可能性が変わるため、最善手は変わり得ます。
差し込みやアシストを受けやすくために鳴いて安手アピールすることも、差し込みやアシストを積極的に行う相手なのかどうかによって有効性は変わりますし、副露ケアをどれぐらい行う相手なのかによって鳴きの効果も変わります。
また、少人数のリーグ戦のような環境でなくとも、不特定多数のネット麻雀においても、卓のレベルや卓全体の戦略の傾向が変わった時に有効なNAGAタイプは変わってくる可能性もあります。
麻雀においては、対局者の戦略の組み合わせにおいて限定的に「正解」が求まることはあっても、「唯一の最強の戦略」は存在せず、多様な「強い戦略」が存在しうる余地があるものと考えており、このことは麻雀というゲームの豊かさの一つを表していると思っています。
NAGAのサービスにおいては、上記の考え方に基づき、複数の戦略(→打ち筋タイプ)の中から、自分にとって学びやすい・参考にしやすいものを選んで打ち筋を学べるということは価値があるものと考え、複数の打牌タイプを選択可能としています。

各種NAGA指標の解釈とNAGAの推奨選択の解釈

現在のNAGAタイプではカバーし切れていない強い打ち筋がまだまだ存在すると考えております。
「NAGAの各種指標がとても良い → 一定のレベル以上である」ことは言えますが、「NAGAの各種指標が悪い → 一定のレベル未満である」とは言えないケースがあります。
そのため「他人の打ち筋をネガティブに評価したり批判する材料としてNAGAの各種指標を使う」ことは適当ではありません。

NAGAプロジェクトは「麻雀の最善手(正解)は必ずしも一意に決まらない」というスタンスであり、「最善手(正解)を示すAI」を目指そうとしていません。NAGAの示す判断は「正解」ではなく「一人の強者の意見」として見ていただきたいと思っています。
NAGAのキャラクターが解析レポート内で「1pかな~」や「3sを選びたい!」等と言っているのは、あくまでNAGAが「自分なら◯◯を選ぶ」と言っているような形式とすることで「絶対の正解ではないよ」ということを暗に表現しています。
NAGAの示す選択について「なんでNAGAはそれを推奨しているんだろう?」「そういう選択もアリなのかな」と考えてこれまで自分に無かった考え方を身に付けたり、知識として知っていても実戦で出来ていなかった点を確認する、というような使い方を想定しています。

終わりに

2023年は順調にNAGAサービス利用者も増え、NAGAが言及されることも増え、非常にありがたく感じています。
一方で、NAGAが麻雀コミュニティに与える影響の増加に対してNAGAプロジェクト側の発信が不足し「NAGAの打ち筋=ニシキの打ち筋」という印象がまだまだ根強く残っていたり、指標の不適切な解釈と使い方がされることが増えていたため、正しく情報を伝える重要性を改めて感じております。
2024年は、更に「人の役に立つ」麻雀解析サービスを目指すために、「NAGAそのものの改善・強化」「ユーザーにとって利用しやすくなるようなサービス改善・機能追加」「正しく情報を伝える情報発信」を並行してプロジェクトを進めて参ります。
今後ともよろしくお願いいたします。