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【ながおし!⑤】「国際バカロレア ディプロマ・プログラム」を学ぶ虎姫高等学校3年生10人

長浜で推したい!長浜でこの活動を推している!そんな人々を紹介する「ながおし!」

第5回目は、虎姫高等学校で国際バカロレア(IB)のディプロマ・プログラム(※1)を学ぶ3年生10人に話を伺いました。
写真上左から 和田直也さん、松浦七海さん、隼瀬紗愛さん、藤唯可さん
写真中左から 石田千智さん、小林千里さん、藤田かおりさん
写真下左から 八田かれんさん、松田美里さん、渡辺瑚子さん

※1 国際バカロレアについて

https://ibconsortium.mext.go.jp/about-ib/

インタビュー会場の彼らの教室に入ると、小グループに分かれて、何か打ち合わせをしている。真面目な高校生という印象。

時間となり、インタビューに来たことを告げると、テキパキと会場を設営してくれる。

「しっかりしているなあ」と思った。と同時にこっちが緊張してくる。

少し和みたいと思い、「高校生活は楽しい?」とベタな質問を投げかけてみた。

笑顔で「毎日、バラ色。」、「みんなでいることが楽しい。」と語る姿に、こっちもつられて笑顔になる。一瞬で会場の空気が変わった。すごい高校生たちだ。

インタビューを受けるIB生

ここで、いきなりだが、「IBの授業って何しているの?」と聞いてみた。

「TOK(知の理論)の授業では、芸術とは何かを考えるときに、例えば、木、猫、絵画が芸術なのかを例を挙げて考えてディスカッションしています。」と答えてくれる。

この緩急に、また鼓動が早くなる。

IBについて、全部は飲み込めないまま、次の質問に入った。

「10人が仲間になったなあと思う瞬間はいつですか。」と、少しIBから離れたことを聞いてみると、「2年生の文化祭。お化け屋敷を共同作業で作ったことが、きっかけと言えばきっかけ。いつの間にか、10人のIB生が気軽にディスカッションできています。」とここは、普通の高校生だ。

続いて、「IBのプログラムを学んで成長したなあと思ったことはありますか。」と聞いてみると、

一人が、少し間を置いて、「IBでは、みんなで話し合うことが多く、その過程で深く考える力がついた。コミュニケーションの中で自分の意見が言えるようになった。他の人の意見が聞けるようになった。」と成長について語ってくれた。みんなに遠慮してか、心持ち照れながらではあるが、内面に自信が見える。

インタビューに答えるIB生

IBについて、まだすべて理解できないが、IBの良さは彼らから読みとれてくる。

ここで、インタビュアーが苦手な英語について、単刀直入に「英語は好きですか?」と聞いてみた。

一人が、「中学生のときから、洋画を見るのが好きで、英語は好き。」と答え、続けて、「IBでは、『環境システムと社会』の授業が英語であり、文法とか単語を覚えるとかでなく、英語を聞いて、話すことができる。」と話し、さらに「この授業で、英語に対する壁がなくなり、今まで聞き取れなかった洋楽の意味がわかるようになった。」と満足気な顔を見せてくれた。

英語に対する壁しかない私にとっては、憧れの的だ。

インタビューに答えるIB生

IBでは、CASと呼ばれる活動があるそうだ。Cは創造性、Aは活動、Sは奉仕の意味。少しニュアンスが違うかもしれないが、ボランティア活動のようなものらしい。これは、地域の人との連携も大切にしているようだ。

どんな活動かと聞くと、例えば、黒壁スクエアでピンクマスク運動(※2)。えきまちテラス長浜で「とらかふぇ」などがあり、地域の人たちを巻き込んで自分たちで企画し、考えているので、彼らの自信にもなっているようだ。

※2 虎姫高校ピンクマスク活動

和やかな「とらかふぇ」の様子

あと、IB生は、一般クラスに属しているが、ホームルームや体育の授業など関わりが限られていて、ほとんどIB生で過ごすようだ。

10人の様子が知れるエピソードとして、一人が、

「文学をテーマに8000字の課題論文に挑戦したとき、最初はボロボロだったけど、どんどんと良くなっていった。ダメかなと思っても成長できると信じられる。このバックボーンとして、IB生の支えがあったことが大きい。IB生同士の距離が近く、質問がしやすく、苦手なところ、欠点をおぎなえあえる。」と語る。

絆の深さが随所に感じられ、少し羨ましい気持ちも出てくる。

ここで、再びIBとは何か尋ねてみると。

「一言で表現できない。」と何人かが言う中、一人が「自分の可能性を広げる場」と語り、全員から「オー」と歓声が上がる。まさにそのとおりだと思った。

将来、彼らは、どうなるんだろう。興味がわいて聞いてみると。

野球をやっていて、スポーツに興味があり、スポーツに関わる仕事がしたいと明確に夢があって、それに突き進んでいる人もいるし、

IBを学んで、少し夢が変わったという人もいる。中学生までは弁護士になりたかったが、IBで歴史を学ぶ中で、政治や行政にも興味が出て、今は政治家や官僚が夢となっている人もいる。

彼らの前途は洋々だ。

インタビューに答えるIB生

また、後輩に向けて、何かメッセージをと尋ねてみた。

この質問が、一番回答までに間があったが、一人が話してくれた。

「IB生となった当時、自分たちは、IB2期生で、先輩も含めて誰もまだプログラムを終えていなかったし、進路も不安だった。でも今は、IBを選んだからこそ選べる道もあり、進路について自信を持って考えることができるようになった。そこに成長を感じている。」

この言葉に、少しずつ、時間をかけながら、自信を積み上げてきたゆるぎないものが感じられる。

これは、まさに後輩へのエールとなったと思う。

まだ、未完成だけど、頑張るための力を身につけた彼らの旅が楽しみだ。


(あん)