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あなたの為に、丁寧に。

私のよくいくお気に入りのカフェは、ホットサンドが美味しい。具は、卵とハムとキャベツ、チーズ、少しのマヨネーズと粒マスタード。いたってシンプルなホットサンドだ。しかし何よりも「あなただけの為に作りました」という気持と丁寧さがじんわりとにじみ出ていて、その気持ちがまるで温泉のように、お腹を暖かく満たしてくれるところが一番気に入っている。こういう気持ちを表現してくれるお店は、意外と沢山はないように思う。

最近見つけた別のカフェでは、テーブルの真ん中に生花が活けてあった。黄色くて大きなバラが十数本、ご主人は「本来は定休日なんだけど、祝日だからね。お客さんが来てくれないんじゃないかなと思ってた」と仰った。来てくれるかわからないお客さんのために生花を、しかも大きなバラを沢山飾るなんてことは、そうそうできることでは無いと思った。丁寧に時間をかけてハンドドリップしてくれた珈琲も、美しいコーヒーセットも、りんごケーキも、私の心を満たしてくれた。


誰かをもてなすことは、その人をリスペクトすること。お店側の自我や主張をそっと後方に控えさせつつも、「あなたが一番です、さあどうぞ」と、言葉ではなく、料理や飲み物や店のしつらえや空気など、五感で感じうることの全てで表現して包み込んでくれることは、こんなにも心地の良いことなのか。

と、感動しながらホットサンドと珈琲を頂く土曜の午後です。

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