魚が見たい
ようやく暑さが和らいだ気がする。
先日鶴岡市に行った時は、36℃だった。
ほぼ思いつきの旅行。
仙台-鶴岡の日帰りは、土地勘のある方なら多少げっそりするかもしれない。
目的は2つ。
①加茂水族館でクラゲを観る
②カヤックに乗って磯の魚を観る
書いていて思ったが、そんなに魚介類が観たかったのか。
日帰りで時間がない分、ある程度飯関係は捨てていこう、というコンセンサスは妻との間で得ていたはずだった。
適当なラーメン屋に寄ったが、なかなかの人気店。
お盆で家族連れがごった返している。
コロナはどこへ行ったのだろうか、1時間ほどの待ち時間。
「飯は後回し」の合意が崩れ、罪の擦り付け合いが始まる。
「お前が行きたいと言ったのだ」
という双方一歩も譲らぬ責任転嫁の仕合いは、我が家ならずともよく行われているであろう。
いざ、加茂水族館。2時間待ち。
36℃の炎天下で2時間待てるわけもなく、手慰みとして白目で堤防を歩く。
鼠ヶ関へ移動する。
予約していたカヤック体験のためだ。
鼠ヶ関という町は山形県と新潟県に跨る町で、小さいビーチがある。
国道7号線は素晴らしい眺望で、日本人ならばTUBEとサザンを交互にかけなければいけない気分に駆られるだろう。
カヤック体験は田舎特有のゆるい雰囲気で、一応の準備体操とオールの使い方講習もそこそこに、大海原へ漕ぎ出す!
感じでもなく、堤防の中の浅瀬をチャパチャパとゆく。
インストラクターのお兄さんはどうしても魚を見せたいらしく、こっちにいました!と機動力に欠けた我々の舟を誘導する。
小さな瓶に入った小エビをバラ撒くが、それに手を付ける魚もいない。
次々とサカナポイントに連れて行かれるが、見える気配がない、というよりだんだんどうでも良くなっていく我々に反し、インストラクターのお兄さんの顔に焦りが見え始める。
お兄さんの焦る姿は見たくないので、アホヅラしか映ってない水面を覗いては、
「デカいのいました!」
と優しい嘘をつく。
小汚い貝を採ったらたまたまヤドカリだったのがハイライト…。
結局僕らが鶴岡で見ることができた魚は、夕飯のカルパッチョになったソイだけであった。
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