グレタ・トゥーンベリさんに思うこと。

 毎回こんな話してるけど、いわゆる『意識高い系おっさん』ではないです。毎日女の子のおっぱいとお尻だけ考えていきたい、今すぐ5000兆円拾って大富豪になりたい、その程度の人間です。でもね、日々のニュースを見てると考えさせられるんですよ。
 今日は、先日の国連での環境問題の話と、グレタ・トゥーンベリさんについて。

 グレタ・トゥーンベリさんの行動に対して、違和感を抱く人間が一定数いる。ただ、彼女を快く思わない人間の大多数は、裕福で地位も名誉もある、いわゆる『勝ち組』だと思う。逆に、現状に満足していない、不当に抑制されたり搾取されてる『負け組』には共感を持たれているかもしれない。
 グレタさんは、環境問題について非常に切実な危機感を抱いている。自分が大人になる頃には、地球は滅んでいる。それくらいの切羽詰まった気持ちを持っているんだ。現実には、地球の環境問題については大きく二つ。CO2排出量の急激な上昇に伴う、地球温暖化。そしてもう一つが、プラスチックゴミによる海洋汚染だ。
 現状、地球の環境が悪化の一途を辿っている、これは疑う余地がない。
 ただ『どれだけ悪化しているか』『あとどれくらい持ちこたえるか』がわからない。
 人類の英知を結集しても、生命の摂理の集合体である地球は、把握しきれない。

 ただ、グレタさんのような、多感な十代の少女にとっては、まさに『自分の明日、自分の未来への侵略』とも取れるかもしれない。そこに危機感を持って行動を起こした、それ自体は俺は評価してます。凄いな、偉いな、頑張れよ!ってね。
 でも、頑張り方については、間違ってるなと。
 手段と目的の論法で言えば、誰もが望む目的に向かって、間違った手段を選んだ。
 社会に出て大人として日々を暮らす人は、わかると思う。社会人経験が長いほど、痛感すると思う。一定の目標を達成しようと定めたら、基本的には『敵を作らないこと』『味方を増やすこと』がまず大事。人間は一人では、やれることが限られている。あとは『可能な限りの知識、経験、金銭、人脈を得る』というのも大事だ。そうしたセオリーの全てを、グレタさんは放棄した。
 彼女がやったことは、センセーショナルでメディアがもてはやし易い行動だ。
 学校に行かず、過激な言動で敵愾心を剥き出しにする。この世の政治家、資産家、大富豪は全員が敵!そういう顔をしているし、そう演じている。これは悪手だ……彼女は無知なまま、ニュース映えする現代のジャンヌ・ダルクになってしまった。

 真に地球の未来、次世代の明日を心配するなら、本当に効果的なのは『地道な努力』であり『偉くなること』『金持ちになること』だ。当たり前だけど、地位と金があれば世の中は変えられる。一度に全部ガラッとは変えられなくても、少しずつ軌道修正させることができる。
 影響力を持つ人間になって、多くの味方を得て数の論理で少しずつ現状を打破する。
 これが実は、遠回りに見えて一番の近道、王道なんだよね。
 まさに『急がば回れ』である。
 ただ、グレタさんはこうした地道な努力ではなく、派手な決起を実行した。
 本当は、周囲の大人が親身になって説得する必要があった。若気の至りというのはあって、グレタさんがまさにそう。でも、本当に大事なのは『現状に不満があるからこそ、本当の戦いに備えて勉強すること』だったんだ。権力と金に勝つためには、自分がそれ以上の権力と金を持たなければならない。
 ヨットで大西洋を横断し、国連で『よくもそんな!』とスピーチする。注目を集めるし、世界中の人に問題提起できる。でも、ニュースには賞味期限があって、彼女の小さな革命は消費され、消えてゆく。直ぐに新しいニュースが生まれて、みんな彼女を忘れてゆく。
 でも、勉強して得た知識、努力して掴んだ権力と財産は違う。
 明確な数字で残り、決してそれを掴んだ人間を裏切らないだろう……人の道を違えぬ限り。
 誰か、本当に良識ある大人が、グレタさんに忠告できていればよかったよね。

 あと、グレタさんは自身がアスペルガー症候群だとカミングアウトしている。
 正直、やめていただきたい。
 俺も軽度のアスペルガー症候群で、双極性障害を患わっている。非常に辛い病気なのだが、なかなか周囲には病気として認めてもらえない。熱も血も出ないから、病気だとは思われないんだよね。苦しくて動けない時も、単純にサボってる、怠けてると思われることもあった。
 こうした精神疾患への不理解に怒り、他人に理解を求めるのは……俺は好まない。
 確かに知ってほしい、わかってほしい。
 こういう病気だから、今は動けない、それが定めでも!
 周囲の親しい人に、正しく自分の病気を理解されたい気持ちはある。
 でも、それは一人の人間がスポットライトの中でゴリゴリやっても、しかたがないんだ。グレタさんが目立つことで、アスペルガー症候群の人がみんなグレタさんみたいな状態になると思われてしまう。
 攻撃的で、言葉による弾劾を強く行い、富める者や権力者を激しく敵視する。
 それはあくまで『グレタさんの人格』であって、病理とは少し距離のある話だ。

 グレタさんを『強いて近いキャラをあげるなら、ナウシカかな』というツイートを見かけた。なるほど、名作『風の谷のナウシカ』の主人公、ナウシカの言動は世界への反抗だった。自然を慈しみ、弱者に寄り添う彼女は世界と戦った。
 だが、グレタさんとナウシカでは前提条件が違う。
 本当の世界の終わりを前に、勉強する機会をナウシカは持てなかった。
 グレタさんは学校に通ってるし、ヨットで大西洋を横断するだけの財力がある。
 ナウシカは、滅亡に瀕して尚も人間同士で戦い、腐海と呼ばれる業の深い生態系すら兵器にしようとした、そんな人間の悲しいサガと戦った。そのために、自分を神がかりのような存在にまで追い詰めてしまった。
 グレタさんには、平和な中で学ぶ機会がある。
 彼女はナウシカではないし、ナウシカにならなくてもいい。
 地球の未来を憂いて立ち上がれたなら、もっと歩き方を考えるべきだね。

はじめまして!東北でラノベ作家やってるおっさんです。ロボットアニメ等を中心に、ゆるーく楽しくヲタ活してます。よろしくお願いしますね~