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【茅野】DAY3 八ヶ岳登山〜赤岳登頂そして下山〜

「八ヶ岳の魅力は、ツンツンツンデレ、ツンツンツンです」

9月27日(火)
4時半に起床。
今日のお部屋は太陽が上がる方向に窓があります。

標高が高いため、遠くの空がうっすら赤くなっているのが見えています。

八ヶ岳縦走に挑戦中の森下真樹さん、今日はいよいよ最高峰赤岳にアタックします。

星空を眺めるため、夜中に目を覚ました時には少し風が強めに吹いていましたが、今はほぼ無風。
今日も危険箇所があるため、風がないのはありがたいことです。


山梨・群馬方面は見事な雲海。富士山もぽっかり浮かんで見えます。
そして、日の出。

本当に海のような雲海の向こう側から、ゆらゆらと太陽が上がってきます。日の暖かさに強張った体が緩んでゆきます。


富士山もほんのりピンク色。

景色に見とれて、またまた出発が遅れてしまいました。
今日は昼過ぎから天気が崩れる予報。あまりのんびりはできません。

小屋から頂上までは200m近く標高差があります。
その分、急な登り。ロッククライミングのように斜面にへばりついて登ってゆきます。

「昨日より、怖い!人生で一番怖い!」
登り始めてすぐにまた泣き顔です。
昨日とは違い、足場も手がかりも、ぐらぐらで安定しません。
少しでもバランスを崩せば、そのまま落下してしまいそうな急斜面。
怖い怖いと泣きながらも、着実に前へと進みます。


そして、山場を越えると再び崖っぷちでダンス。

「自分の領域ではない場所でも、ダンスをすると自分のテリトリーに戻れる感覚がある。こんな崖っぷちでも、踊りを通して自分を取り戻すことができる」そんな話をされていました。
ここまで、山の静けさを大事にするため無音で踊っていましたがここでは初めて「エリーゼのために」を流し、音楽に合わせて踊りました。


出発から約1時間、午前8時に八ヶ岳最高峰 赤岳に登頂です!

山頂からは絶景が広がっています。喜びのハイタッチを交わした後には、再びインスタライブで配信。残念ながらテイク1はシステムエラーで消えてしまいましたが、再度同じ場所から録画したテイク2はInstagramに上がっています。

この間、なんと登山口から2時間半(通常なら5時間以上かかるルート)で登ってきたNOAコーディネーターの藤澤氏が合流!

だんだんとガスが上がってきました。
やはり今日は天気が崩れるようです・・。

名残惜しいですが、9時過ぎ下山開始です。
不思議なことに、下りは急な岩場でも怖くないという森下さん。
恐怖を感じるものに背を向けている方が怖いのでしょうか。
目の前に見えている、把握できているという状況の方が怖くないようです。


ポツポツと雨が降ったり止んだり。
でも、結局濡れるほどは降られずに済みました。
今回はとことんツイています。

途中、中岳・阿弥陀岳をバックに3人で踊ってみたり
行者小屋の前で踊ってみたり・・・

「とっておきのちので踊って撮って」のレクチャー動画を一緒に撮影した「みちのちのカンパニー」メンバーです。なかなか面白い動画が撮れているので、どこかで公開できることを楽しみにしています。

「次回作に乞うご期待」

12時には下山している予定でしたが、天気がもっていることもありのんびりのんびり、山頂を出発してから約6時間もかけて下りてきました。


日も傾き始めた15時、美濃戸登山口に到着。
それぞれハイタッチを交わし、無事の下山を称え合います。

そのまま一路、茅野市民館へ。
初日に登山口まで送ってくださった久保さんや小宮を案内してくださった後町さん、昨日Teamsでの「てっぺんダンス」を一緒に踊った木元さんにも迎えられ凱旋です。


時間の関係で、御柱を建てるところまでは見届けられなかった犬射原社へ参拝し、登山の無事を報告し、その日は祝杯をあげて解散しました。

「人生の5本の指に入る大冒険だった」と森下さんは語りました。
3日間かけて八ヶ岳の約半分を歩いたこの時間は日常とはかけ離れているものでした。
しかし、今こうして私たちが日常を過ごしている間にもあの山々は変わらずそこにあるのです。

電車に乗って学校や職場へ通う間にも、パソコンに向かい仕事をする最中にも、家でひとりご飯を食べている間にも、舞台の上で照明を浴びている間にも、

この3日間で出会った、
あの「めどでこ」のような苔生した倒木、あの時掴んだ岩、稜線で出会った小さなお花、切り立った崖にかかる梯子、あの静寂、吹き渡る風。

同じ、いまも、存在しているのです。
そして、何十年後もしかしたら何百年後もあの山々は同じように存在しているのかも知れません。

そのことを体験として知っていることで、大袈裟ではなく、世界の見え方が変わるのです。
歩いた身体はそれを覚えているのです。

舞台の上と同じくらい「バーチャル」だと、歩きながら話していました。
その、非日常感を行ったり来たりすることが面白いのだと。

踊ることで自分のテリトリーに帰ることができる。
そう話した森下さんが「自分の領域ではない場所」で踊ったあの記憶はきっとこの先も、身体には残っているのだろうと思います。

その経験がこの先のクリエイションにどう表れてくるのか、
歩いている最中にたくさんたくさん出てきた「やりたいこと」のアイディアがどんな形で実現されていくのか、また、今後の滞在がどんなものになるのか・・・

体験が積み重ねられ、茅野地域のレジデンスはこの先も続いてゆきます。

(文・村上 梓)

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