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LeBron Jamesは通算40,000得点に到達できるか(3)その鍵となるのは3Pシュート

以下、上記の記事の和訳・意訳、データを交えつつ、レブロンのオフェンスの変遷と、今後の得点積み上げの鍵となる3P シュートについて言及します。

2022-23シーズン、レブロン・ジェームズはカリーム・アブドゥル=ジャバーを抜き、NBA通算得点で歴代1位に君臨した。一方、フィールドゴール試投数を見れば、アブドゥル・ジャバーよりも63本少なく、フィールドゴール成功に至っては1,685本も少ない。どうやってレブロンはより少ないシュート本数で歴代1位まで上り詰めたのか。それは至って簡単で、レブロンには3ポイントシュートという武器があったからだ。

アブドゥル=ジャバーがNBAに入ったのは1969年で、当時はNBAに3ポイントラインができる10年も前のことだった。その後、3ポイントラインができた後も、センターとしてインサイドでの得点を積み重ねたアブドゥル=ジャバーは、キャリアを終えるまで3ポイントシュートを放つことはほとんどなかった。彼はキャリアの中で通算18本しか3ポイントを打たず、そのうち1本を成功させたのみであった。

一方のレブロンはジェームズはシャキール・オニールやティム・ダンカンなど、ローポスト周辺でのオフェンスに重きを置くパワフルなビッグマンたちがリーグを支配していた時代にNBAに入ってきた。その後、どのプレイヤーも3ポイントシュートを多投する現代バスケットにおいても見事に適応し、いまだに現役のプレイヤーとして活躍している。この適応力こそが彼がNBAの頂点に君臨し続けることのできる大きな理由である。

アブドゥル・ジャバーはキャリア通算15,837本のシュートのうち、1本を除いてすべて3Pラインの内側から放った。デビュー投資時のレブロンも、実はバスケットゴール近辺のエリアから得点を積み上げることが多かった。レブロンがNBAに入り初めて決めたシュートは、右ベースライン沿いのプルアップ・ミドルレンジ・ジャンパーだった。そしてその場所が、彼の若い時代で最も気に入っていたシュートエリアだった。下のグラフを見ればわかるように、リーグでの最初の2シーズン、ジェームズはまさにその場所を含むミッドレンジからのシュートが多かった。

同時に、最初の2シーズンは3Pシュートをなかなか決めることができず苦しんだシーズンでもあった。ルーキーイヤーである2003-04シーズン、レブロンは217本の3Pシュートを放ったが、成功率はわずか29%であった。

若かりし頃のレブロンは、NBAで最もジャンプシュートの本数が少ない選手一人であったことは間違いない。その後、キャリアを通じてその点では改善され、ジャンプシュートが増えていったものの、アブドゥル=ジャバーと同様、バスケットゴール周辺を支配することでリーグの得点王への道を切り拓いていった。

キャリアを通して、彼のフィールドゴールの63%がペイント内で、57.6%がゴールから5フィート以内からのものだ。1999-2000年以降、最もペイント内で得点を挙げたトップ50の選手の中で、レブロンはペイント内フィールドゴール試投数1位、ペイント内フィールドゴール成功数1位、ペイント内フィールドゴール率1位である。レブロンは2000年代〜2020年代の選手の中で、最高のペイントスコアラーとして名を残すだろう。

彼はルーキーシーズンに1試合あたりのペイント内得点でリーグ11位にランクインした後、過去18シーズンのうち17シーズンで同カテゴリーのトップ10入りを常に果たしている。彼の(肉体的な)全盛期である2012-13シーズンから2015-16シーズンまでの4年間は、レブロンはこのカテゴリーでリーグ全体を3度トップに立った。

彼が現代のバスケットボールにおいて最も注目された最大の理由は、驚異的な身体能力と圧倒的なバスケットボールセンスを兼ね備えていたことにあった。このコンビネーションによって、彼は賢くて素早く、パワフルで高確率なドライビング・リム・アタックを行い、ペイント内のディフェンスを打ち砕いてきた。

若いスコアラーだったレブロンは、スピード、サイズ、ビジョン、スキル、そしてフィニッシュまで持ち込む能力について、リーグがこれまで見たどの選手よりも兼ね備えていた。彼はマジック・ジョンソンと、ギアニス・アンテトクンポを足して2で割ったような選手だ。全盛期を通じて、彼はいつでも好きなときにペイントに入り、信じられないほどの高確率でゴールまで持ち込むことができた。

おそらく、2013年のイースタン・カンファレンス決勝第1戦、ペイサーズ戦での伝説的なブザービーターがそれを象徴するビッグプレーであろう。残り2.2秒、シェーン・バティエーのインバウンドパスをキャッチした彼は、リーグ屈指のディフェンス陣の中で、追いかけてくるポール・ジョージを振り切ってリングまで直進し、勝負を決めるレイアップを決めた。

しかし、それは10年前の話で、今のレブロンは全く違う選手になっている。ペイサーズ戦で見せたような爆発的なリムアタックは、今ではほとんどみることができない。NBAでは10シーズン前から各選手のドライブデータを追跡しているが、その中で2022-23シーズンの彼は1試合あたりのドライブ数が最も少ない。Second Spectrumによると、2019-20シーズン、ジェームズは1試合あたり13.9回のドライブを記録していたが、今季はわずか8.0だ。

その後、レブロンはNBAの他の選手と同様に、3Pシュートを好んで使用するようになる一方で、キャリア初期にフィールドゴール試投数の3分の1以上を占めていたミドルレンジの2Pシュートの使用頻度は少なくなってきた。

レブロン・ジェームズのレギュラーシーズン毎の得点構成。ここ数年は3Pシュートが占める割合が大きくなってきている。

ジェームズのルーキーの年、彼が決めたシュートのうち、3Pシュートが占める割合はわずか11%で、ミッドレンジからのシュートが占める割合は29.4%だった。この数字は20年目のシーズンでは逆になり、シュートの23%が3ポイントレンジから、ミッドレンジからのシュートの割合はわずか10.6%となっている。

レブロン・ジェームズのレギュラーシーズン毎の平均得点の内訳。ここ数年は3Pシュートが占める割合が大きくなってきている。

彼が歴代通算得点記録を更新し続ける上で、3Pシュートは2つの理由から重要だ。

1つ目は単純な理由で、同じ1本のシュートでも、3点シュートは2点シュートより多くの得点を稼ぐことができるからだ。ジェームズががダウンタウンからのジャンパーを多用するようになると、さらなる得点の積み上げが可能になる。

もうひとつは効率性だ。アブドゥル・ジャバーが最後にシュートを決めたのは42歳の時だった。ジェームズは現在38歳で来シーズンには39歳になるが、ロングレンジから3得点を積み重ねるのは、インサイドで他の屈強な選手とパワー勝負をしながら2点を取るよりも、老いた体には比較的楽なことだ。

レブロンはここ数年、コート上ではより多くの時間をバスケットゴールから離れた3Pシュートライン近辺に陣取り、そして3Pシュートにより多くの得点を積み重ねるようになっている。

アブドゥル・ジャバーが30代、そして40代になっても伝説のスカイフックを使って2Pシュートを量産していたことは誰もが知っている。一方でレブロンあ3Pシュートを放つことで、得点積み上げのペースを加速させ、老いた体にかかる負担を減らしながら得点を積み上げることが可能だ。

レブロンは現在、NBA史上9位の2,261本の3Pシュートを決めている。もしこれらのバスケットが2点ずつしかカウントされなかったとしたら、レブロンは歴代総得点においてアブドゥル=ジャバーを追い抜くどころか、カール・マローンをまだ追い抜けずにいただろう(もっとも、もし彼が3ポイントシュートラインのないNBAでプレイしていたとしたら、低確率の長距離シュートは放たず、バスケットゴールに近いシュートを多く放っていた可能性が高いが)。

NBA歴代3Pシュート成功本数および試投数

2022年11月26日、レイカーズがスパーズを破った試合でジェームズは39得点をマークしたが、そのうちの21得点は3Pシュートによるものだった。その試合、彼のショットの半分以上、得点の半分以上が、かつてアブドゥル・ジャバーが得点を決めていた場所から遠く離れた場所から挙げたものだった。

残された時間の中で、レブロンが得点を積み重ね40,000点に到達できるかどうかは、このスパーズ戦で見せたオフェンスが今後も継続できるかどうかにかかっている。

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