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NBAでファウルの判定ルール変更の影響を最も受けている選手はハーデンではない

2021年−2022年NBAシーズンが開幕した。今季からはオフェンス選手がディフェンス選手から(故意に)ファイルを誘い、フリースローを得る行為を防止するルール変更が行われた(ルール原文はこちら)。

具体的には「シューターが異常な角度でディフェンダーに当たりにいく」「シューターが異常な角度で足を上または横に蹴る」「シューターがディフェンダーの腕に絡ませてシュートを狙う」といったファウルを誘うための“バスケットボール以外の動き”が禁止されている。こうしたプレイを行なった場合、昨シーズンまではファウル→フリースロー獲得 という流れであったところが今シーズンからはオフェンス側のファイルと認定されることになった。

これにより、従来シュートモーション時にわざとディフェンス選手に当たり、ファールをもらってフリースローを獲得・得点を行う選手の得点に大きな影響を与える、と開幕前からも言われてきた。そして実際にシーズンが開幕し新ルールが試合に適用されているのだが、James Hardenはこのルール変更の影響を最も受けた選手の代表であるかのように、以下の記事で記載されている。

だが、実際のフリースロー試投数のデータを見てみると、これまでのところ、ルール変更の大きな影響を受けたのはJames  Hardenだけではなく、もっと別の選手であることがわかる。以下がそのデータとなる。

<今期と前期でフリースロー試投数の減少が多い選手>

注:PTS: 1試合平均得点、FT: 1試合平均フリースロー試投数、PTS + / -: 前期と今期の1試合平均得点の差、FT + / -: 前期と今期の1試合平均フリースロー試投数の差

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Hardenと並び、故意のチャージングで悪評の高いTrae Youngが見事1位に輝き、フリースロー試投数を1試合で4.3本減少させている(単純に考えれば、これで4.3点の得点機会を失っている)。だが、その割には1試合平均得点がで▲1.1点と小幅で済んでいるのは、おそらくオフェンスオプションの多様化が影響だと思われる(分析してみます)。

Trae Youngに続き、2位Bradley Bealも4本近くフリースローを減らしており、3位Damian Lillardがそれに続いて3本ほど減らしている。BealとLillardはフリースロー試投数の減少に対し、1試合平均得点が大幅に減少しているため、こちらはルール変更だけでなく、何かしらオフェンススタイルの変更及びチームのオフェンスシステム変更が想定される。

そして話題のフロップ王(と呼ばれることもある)James Hardenについては1.6本のフリースロー減少である一方、1試合平均得点は5.9得点も落としている。この得点の減少幅は明らかにルール変更だけが要因ではなく、チームのオフェンスシステムや役割の変更等、システム上によるものだろう。

というわけで、ルール変更の影響がオフェンスにどの程度影響を与えているのか、もう少し試合数を重ねてフリースロー試投数のデータを集めてみないとわからない、という何とも言えない結論になってしまったが、まだまだシーズンも始まったばかりであるのも事実。今シーズンのデータを見ながら影響度合いを見ていきたい。

※上記に記載したリストはNBA.com内の以下データより作成しました。

<2020年−2021シーズン フリースロー試投数ランキング>

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<2021年−2022シーズン フリースロー試投数ランキング>

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