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マイケル・ジョーダンは実際、何本ショットを外し、何試合負けたのか

NBAのレジェンド、マイケルジ・ジョーダンと言えばバスケットボールプレイヤーとしての実績だけでなく、トップアスリートならではの悟りの境地から発せられる数々の名言を残したことでも有名である。その彼の名言の一つにこんな台詞がある。

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「私はこれまでのキャリアで9000本のショットを外してきた。300試合に負けた。26回勝敗を決めるショットを託され、外した。私は何度も何度も人生の中で失敗をしてきた。それが私が成功した理由だ。」

挫けそうなとき、自らを奮い立たせるための言葉として、アスリートのみならずビジネスマンにも広く知られているこの言葉だが、果たしてマイケル・ジョーダンは実際に何回シュートを失敗し、何試合負け、何回試合終盤のショットを外してきたのだろう?というわけで以下、調べてみた。

(注:マイケル・ジョーダンはこの言葉を発したと思われるのはシカゴ・ブルズ引退後の1998年-2000年の間かと思われるが、彼はしその後2001年からNBAに復帰している。したがって、今回は、2001年復帰以降の数字は含めず、1998年に引退した時点までのデータを調査対象とした)

データ出所:マイケル・ジョーダンの個人成績はこちら、シカゴ・ブルズのチーム成績はこちら

1. マイケル・ジョーダンがシュートを外した本数

シカゴ・ブルズ時代、レギュラー・シーズンで彼がシュートを外した本数は以下の通り10,724本ジョーダンの言葉は9000本だったので、だいたい感覚値としては同水準である

余談だが、バスケットボールで重要なのは、10,724本という数字自体ではなく、その成功率である。彼は通算21,686本のシュートを放った結果として10,724本外しているということは、10,962本はシュートを成功しているのである。FG成功率は50%強であるが、これはかなりの高確率である。

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ちなみにプレイオフ通算成績で見てみると、4,497本のシュートを放ち、2,309本外している。したがって、プレイオフ成績も通算するならば、マイケル・ジョーダンが外したシュート数は13,033本となる。

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2. マイケル・ジョーダンが負けた試合数

以下の通り、実際には340試合の模様。こちらも、彼の言葉「300試合に負けた」と突合すると、だいたい同じ水準である。しかし一方で、661試合も勝利している。勝率でいえば66%。これもまた極めてすごい実績である。

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ちなみに同期間のプレイオフ戦績は119勝60敗(1.のプレイオフ戦績の図表をご参照)。こちらの成績を合わせると、ちょうど400試合に負けたことになる。

3. 試合終盤に外したショットの数

こちらは過去データベースから数字が取れなかったが、各種ソースによると、彼が放った試合残り24秒で放ったシュートは27本。うち18本が外れている(成功率33%)。

4. 改めてマイケル・ジョーダンの何が凄いのか

以上、冒頭のマイケル・ジョーダンの言葉に出てくる数字を事実に基づき表現すると、以下の通りとなる。

「私はこれまでのキャリアで13,033本のショットを外し、400試合に負けた。27回勝敗を決めるショットを託され、18本外した。私は何度も何度も人生の中で失敗をしてきた。それが私が成功した理由だ。」

ここで改めてマイケル・ジョーダンを偉大な選手たらしめたと思うのは、「●●本中、○○外した」「●●試合中、○○試合負けた」とは一切発言していないことだ。あくまで「外したショット数・負けた試合数」という絶対数しか頭になく、成功率や勝率といった概念が全く見受けられないことだ。
憶測ではあるが、彼は全てのシュートを入れ、全ての試合に勝つつもりで毎試合挑んでいたからこそ、こうした表現になったのではないか。もし勝率のことを考えていたら、「400試合負けたけど、600試合以上勝っているからね」という、ある意味負けたり外すことを前提とした思考になってしまう。勝率・シュート成功率という言葉には、自然と「負けてもしょうがない」「外すこともあるさ」というニュアンスが含まれているが、ジョーダンの言葉にはそうした感情は微塵も感じられない。まるで、全ての放ったショットは必ず入ることが前提であるかのように、全ての試合は勝つことが当然であり、外すことや負けることはあり得ないという思いだったのではないか。

負けることを前提とした思考を一切許さない、負けず嫌いな性格が、この言葉から伝わってくる。

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