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LeBron Jamesの歴代最多得点記録を更新する選手は、データを見る限りあと15年は出てこない

2023年2月7日にNBAレギュラーシーズンにおける歴代最多得点記録を塗り替え、現在も最多得点記録を更新し続けているレブロン・ジェームズ(2022年ー2023年レギュラーシーズン終了時点での得点は38,652点)。彼が記録を破るまでは、カリーム・アブドゥル・ジャバーの38,387得点(現役選手としての期間は1969年から1989年の20年間)が歴代最多得点記録だったのだが今期は40年強ぶりに記録が更新されたシーズンであった。

もともとジャバーが保持していた38,387点という記録は「破ることは不可能」と言われてきた記録でもある。仮に毎年82試合に出場し、毎年平均25得点記録したとすれば、38,387点➗(82✖️25)=18.7年でこの記録を破ることは可能だ。だが、これはもはや空想に近いレベルでの机上の空論である。まずキャリアを通じて毎年82試合フル出場できた選手は皆無である。また、平均25得点を18年維持し続ける選手はほとんどいない。ほとんどの選手は平均25得点など夢のまた夢、記録できたとしても1シーズンか2シーズンだけでキャリアを終える。そしてそもそもキャリアを18.7年送り続ける選手もほとんどおらず、いたとしてもキャリアの終盤は引退間近で体力は衰え、とてもトップレベルのコンディションを維持することはできず、ベンチスタートで起用されるのが常である。

ところが、毎年の82試合フル出場はできずとも、キャリア平均25得点超を大幅に上回り、キャリア20シーズン目を2022年−2023年に終えた選手がいる。それがレブロン・ジェームズである。彼はこれまで通算1421試合に出場し(単純平均で毎年71試合に出場してきた計算)、1試合あたり平均得点は27.2得点を記録している(2022年ー2023年レギュラーシーズン終了時点で歴代6位)。このまま健康状態を維持することができれば、あと2、3シーズンはNBAで活躍し続け、前人未到のキャリア通算得点40,000点に到達することも可能だろう。

ところで、このレブロン・ジェームズの記録をさらに更新する選手は今後出てくるのだろうか。もちろん出てくるだろうが、少なくともあと15年ほどは出てこない、というのが現役NBA選手のデータを見る限りでの結論である。
以下、現役のNBAトップスコアラーおよび若手スコアラーと、レブロンのこれまでの総得点の積み上がりを比較したグラフで、なぜあと15年は破られることはないと言えそうか、見ていきたい。


1.現役トップ選手たちとの総得点の比較

現役で総得点上位に位置する選手をピックアップし、キャリアスタート年次からの累計得点をグラフにしたもの。赤グラフがレブロン・ジェームズ。

上記グラフではレブロンと、ケビン・デュラント、ジェームズ・ハーデン、ステフィン・カリー、ダミアン・リラード、ギアニス・アンテトクンポ、ジョエルエンビードのキャリア総得点の積み上がり度合いを比較した。前述した現役トップ選手たちはいずれもレブロン・ジェームズのラップ対比、いずれの年次においても遅れをとっている。そして何よりも、どの選手も既にピークを過ぎつつある年齢で引退も視野に入ってくる時期であり(除くジョエル・エンビードとギアニス・アンテトクンポ)、この後劇的に得点能力が向上し、レブロンの総得点に追いつく、というシナリオは見通しづらい。また、ジョエル・エンビードとギアニス・アンテトクンポについても最近は怪我が増えてきており、得点能力は維持できたとしても、コンスタントに40歳頃までキャリアを継続できるかは不明である。なお、本グラフの元データは下記の通りである。

2.現役若手選手との総得点の比較

現役選手のうち、25歳以下で総得点上位に位置する選手をピックアップし、キャリアスタート年次からの累計得点をグラフにしたもの。赤グラフがレブロン・ジェームズ。

上記1で挙げた選手においては、レブロンの記録を抜くことは難しいが、25歳以下の若手選手であればどうだろうか。少し上記のグラフは見づらいので下記にて、特にキャリア初年度から6シーズン目までの推移を抽出してみる。

上記の通り、現役若手においても、レブロンの若手時代のラップを上回るか、または同水準で得点を積み重ねている選手はゼロである。一方でいずれの選手たちもまだ25歳以下であり、これからのプレースタイルの向上により、今後劇的に得点が積み上げ、レブロンの総得点積み上げペースにキャッチアップする選手も出てくる可能性はある。しかしその場合であってもレブロンの記録を抜くのは早くとも15年程度を要するのではないだろうか。なお、元データは下記の通り。

3.過去のレジェンドたちとの比較:ジョーダンが途中で引退しなければ、チェンバレンがピークを維持できれば。。。

ここから先はおまけである。もはやたらればの話であるが、過去NBAのレジェンドの中で、ジャバーそしてレブロンの記録を抜く可能性があった選手はいたのだろうか。以下、ジャバー、カール・マローン、コービ・ブライアンと、マイケル・ジョーダン、そしてウィルト・チェンバレンの総得点推移グラフを見て考察したい。

オレンジ:ウィルト・チェンバレン、赤:マイケル・ジョーダン、黒:レブロン・ジェームズ

歴代レジェンド選手と比較すると、レブロン・ジェームズはカリーム・アブドゥル・ジャバーやカール・マローンとほぼ同程度のラップで得点を積み上げてきたことがわかる。コービ・ブライアント(灰色のグラフ)は、総得点の積み上がり度合い(Δ)自体は他の選手とも同程度だが、若手時代に少し出遅れたこともあり、最終的にレブロン、ジャバー、マローンより少し少ない総得点で着地している。
一方で、キャリアの途中までレブロン、ジャバー、マローンの記録を上回るペースで得点を積み重ねた選手が二人いる。それがウィルト・チェンバレン(オレンジのグラフ)と、マイケル・ジョーダン(赤色のグラフ)である。ウィルト・チェンバレンは瞬間風速的に多くの得点を稼いだがキャリアが他の選手より短く、マイケル・ジョーダンは途中で2回も引退したことが響き、総得点は歴代トップに届くことはなかった。たらればの話ではあるが、ウィルト・チェンバレンがもし健康状態を維持しキャリアを長く保てていたならば、もしマイケル・ジョーダンが途中で野球に関心を示さず、NBAでのキャリアを継続していたならば、ジャバー、そしてレブロンの記録よりも多くの得点を積み上げていたのかも知れない。なお、元データは下記の通り。

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