流スーツ

「就活ルール廃止」で何が大切な時代に突入するのか

こんにちは。
初めまして。流拓巳と申します。
ずっとnoteを始めようを思いつつも、なかなか機会がなかったのですが、


企業で採用担当をしている関係上、

経団連の「就活ルール廃止」の発表に関して、様々な方からご質問をいただいたので、これを機にnoteで投稿したいと思います。

というわけで初回である今回のテーマは
  

「就活ルール廃止」で何が大切な時代に突入するのか


■そもそも「就活ルール」ってなんだっけ?


いま話題になっている就活ルールとは、

経団連が企業の採用活動に関して定めたルールであり、
企業によるセミナーの主催や内定出しなど、
採用における各活動スケジュールを定めておりました。

多くの企業がこのルールに沿って採用活動をしていた(とされている)ものの、
この「就活ルール」は新卒一括採用を前提にしているため、
時代にそぐわないのでは無いかという声も各所から上がっていたわけです。

▼詳しくは日経さんのこちらのページがわかりやすいです


その就活ルールが、廃止されるかもしれないということで、
非常に話題になっているわけですね。

▼詳しくはこちら


「就活ルール」がなくなると、各企業が今までよりも自由に採用活動を行い始めることになります。

これによって
企業はいつからどんな活動で採用を行えばいいのか?
学生はいつ何に備えてどこに行けばいいのか?

に対する教科書的な回答がなくなるので、
非常に話題になっているわけですね。
 
しかし、
新卒採用に限らず、何か大きな変化が起きる時というのは、自分で試行錯誤して素早く行動できる人にとっては大きなチャンスです。
これは、就活生にとっても企業にとっても言えることでしょう。
戦国時代の戦でも、現代のビジネスでも変わらない原則です。 

では具体的には何が起こりそうか。
ここから、先、企業と学生それぞれにとって、
何が大切になるのかを少し考えてみました。 
  

ルールなき就活の世界で何を指針にすれば良いのか?

  
ここからは、私が今回の「ルール廃止」を耳にして、
最初にイメージした今後の就活の世界です。


企業に求められることは?

 
<<企業>>
【結論】
本当に「人」を大切にする企業だけが生き残る時代がやってくる。
  

【理由】
以下のような理由から、
学生一人ひとりの環境や意思を大切にし、
個別に真摯に向き合う必要が生じるため。
 
・自社と出会う学生が、先に他の企業ともある程度の関係性を築いていることが当たり前になる
 
→コミュニケーションのタイミング(早期であること)だけでは勝てなくなり、コミュニケーションの質による差別化が必要になる
   
・学生が、大人のルールによって意思決定を急ぐ必然性がなくなる
 
→スタートが一斉ではなくなるので、当然ゴールも一斉ではなくなる。よほど、絶対に入りたい会社一社に絞り込んでいる学生を除き、「内定承諾の期限は●●日以内です」という脅しが通用しなくなる。意思決定のタイミングも人それぞれになってくる
  
・「ほとんどの企業が一斉に採用活動を行なっている時期/場所」でだけ、周りの真似をして頑張れば、ある程度の採用ができる時代は終わる
 
→これまでは「ほとんどの企業が集まる時期/場所」に「ほとんどの就活生」も集まっていたため、極端な話、そこに行って周りの真似事をしていれば、ある程度の採用は簡単だったが、場所や時期も多様化するので、周りに乗っかって一瞬だけ採用を頑張っても何の成果も出ない時代になる。

また、ルールがなくなり、情報の重要性が高まる今後の環境では、
本当に「人」を大切にする企業は、
下記のような理由でも、生き残る可能性が高まる。

・先輩や友人からの「口コミ」の重要度が増す

→ルールがなくなることで、学生が信じる対象が「ルール」から「信頼できる人」に変わる。
それによって、学生間での口コミの威力が増す。本気で「人」に向き合っている企業であれば、自社にフィットしない学生や、内定承諾はしてくれなかった学生の心にも、その姿勢だけは伝わる。
それが次の良い出会いを生む可能性が高まる。
 
 
・「他社の人事にどう思われているのか」も重要なポイントとなる

→一時的に、大半の学生が同じナビサイトを頼りに就活を行う時代が終わる。それにより、学生と企業の接点は多様化する。自社の採用ターゲット層全てと出会うことはますます難しくなる。
これまでは、同じ業種や同じバリューを持つ会社同士であれば、それぞれが出会った学生を一覧にした時に、ほとんど同じ学生の名前が並ぶことになったはず。
しかし、就活のあり方の多様化により、これからはそうもいかない。
そんな中で、「この学生は自社には合わなかったけど、あの会社には合いそうだな。まだ繋がっていないのか。紹介しようかな。」という事も多分に起こりうる。その際に、自分から見て誠実でない企業、人を大切にしていない企業に、目の前の学生を紹介するわけにはいかないので、学生からの見え方だけではなく、他社の人事から見ても、本当に人を大切にしているのかが重要になる。


学生に求められることは?

<<学生>>
【結論】
企業、就活云々よりも、
常日頃から強い意志を持つことが重要になる

【理由】
下記のような理由から、自分と向き合い、
自分の意思で行動することが重要になる。

・「周りも就活しているから自分もなんとなく始めよう」では、4年間企業研究と面接練習だけを頑張った、「選考ヲタク」が出来上がってしまう

→これまでは、多くの学生が「周りも就活始めたからそろそろ」と思うタイミングが大学3年生頃であることが多かった。今回のルール廃止によって、その時期が、大学1年生頃まで早まる可能性もある。4年間、企業研究や面接練習だけを頑張ったとしても、他に自分が熱意や使命感を持って打ち込んだことが何もなければ、何の中身もない人間になってしまうので、就活に詳しいだけで選考には通らない人になってします。
※経営者になりたくて企業の研究を~とか、経済の勉強を本気でやっていて、その一環で業界研究を4年間~、など、意思がある場合は別にいいのですが。

 
・「欠席理由:就活のため」が通用しにくくなる

→これまでは就活の時期が決まっていた。
そのため、大学、ゼミ、部活、サークル、学生団体、インターン先などが、それを考慮してくれることも多々あっただろう。
しかし、今後は「ああ。もうそんな時期だもんね。」と一言で通じる可能性は減る。
安倍首相も、就職よりも学業だろうとおっしゃったように、一人一人の価値観がより顕著に出ることになる。
「今就活するという決まりなんで」の一言では、
何も片付かなくなるので、自分の意思で、なぜ今なのか、なぜそこに行く必要があるのかを説明できなければ、自由に動けなくなる可能性は高い。
逆にいえば「今就活をするのかどうか」、自分に向き合うチャンスが増えるとも言える。

・自分の意思で活動している人とそうでない人の集中度の差が顕著になる

→例えば、これまでは、4年間本気でサークルでスポーツをやりたい人にとっては就活の時期が決まっていることは負担だったのではないかと思う。
そのため、一部の人を除いては、
就活の時期は就活に専念。その間、サークルはややおろそかに。
就活が終わったらサークルに再度専念と
というスタイルをとっていたと思う。
少なくとも私の知る限りではこのケースが多い。
しかし、時期のルールがなくなり、周りの学生の動きが様々になると、

自分で
「サークル引退までは専念。引退してから就活。」
と割り切っている人は、これまでよりもサークルでのパフォーマンスは上がる。そして100%サークルに情熱を注いで向き合ってきた結果は、おそらく伝わる企業には伝わる。

逆に、
覚悟ができていない人は、
4年間ずっと、周りの就活状況を気にしてビクビクしながらサークルも就活もおろそかになりかねない。

就活もそれ以外の活動も、
自分の意思で行う者とそうでないもののさが顕著に出ることとなる。

体育会(部活)の学生が就活に強いとされている理由の一つは、自らの意思でその環境を選び、覚悟を持って向き合っている方が多かったからだと思う。体育会以外でも、同じことが言える。

最後に

<<まとめ>>
学生にとって、厳しい環境が訪れるような印象を与えてしまったかもしれませんが、
私はむしろポジティブです。
自分の人生に真剣に向き合うきっかけが増えるからです。
なんとなく過ごし続ける方には地獄かもしれませんが、自分と向き合った方にとっては、自由度が増すだけとも言えます。
21卒の方で不安になっている方もいるかもしれませんが、安心してください。
今日から自分と向き合っても十分間に合います。
もう、ルールはなくなる(予定)のですから!
今やっている活動は、本当に自分が望む者なのか?本当の自分は何を求めているのか。
ゆっくり時間をかけて考えていけばいいと思います。
それでも不安だったら、私にワンキャりQ&AなりDMなりで相談してください。可能な限りのご相談には乗らせて欲しいです。「ガイアックスの仕事として」ではなく、流拓巳のライフワークの一つとして伺います!
 
学生時代に「自分の意思」が求められることが増える結果、
ファーストキャリアに後悔しての、ネガティブな早期離職は減るのではないかと思っています。
 
 
企業にとっては、
今回のルール廃止で
「なんのために新卒採用をやっているのか」
から見直す良い機会をいただけましたね。
私も少なからず「世の中こうだから」というバイアスに囚われていたことはあります。
改めて、小手先の採用テクニックだけではなく、
自社の人事ポリシーや、「人」との向き合い方から真剣に考えていけたらいいなと思います。

 
初投稿にして、やや長いnote、
ご拝読ありがとうございました。




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