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旅の話.56 ティベリア①

一人旅をしていると、同じく一人旅をしている人と旅先で出会い、その先の予定が同じだと「じゃあ一緒に行こう」ってなるって事がある。

ティベリアへは、印象深い2人と一緒に行く事になった。

一人はドイツ人の青年パトリック。
身長2メートルで、端正な顔立ちの18歳だ。
父親が慶応大学で教授をしていた事もあって、3歳の頃は東京の港区に住んでいたそうだ。1FCケルンと言うサッカーチームのファンなので、かつてそこでプレーし、Jリーグのジェフ市原(現千葉)でもプレーしていた、リトバルスキーの話題で盛り上がった。僕もリティが好きだった。

もう一人は香港の女性テレサ。
彼女は何と言うか、小さいのにパワフルで、行動的なのに計画的でない。
一緒にいると引っ張られ、振り回される。
しかし、自分だけなら絶対やらないような事も、一緒にいたので経験できた。その勇気と行動力は見習いたいと思った。

ガリラヤ湖

ティベリアはイスラエルの北東に位置する街で、イエスが布教活動をし、数々の奇跡を起こしたと言われる湖、ガリラヤ湖(ティベリア湖)がある。
有名な「水の上を歩く奇跡」は、この湖だ。
イエスの教えを聞きに来た5000人の聴衆に、5つのパンと2匹の魚を、奇跡の力で増やし、全員がおなかいっぱいになるまで食べさせた場所って事で有名な「パンと魚の奇跡の教会」もある。

5世紀に作られたモザイク画

この湖でよく獲れる魚、ティラピア。別名「セント・ピーターズ・フィッシュ」ここで漁師をしていたイエスの弟子ペテロが名前の由来だ。
パトリックが誕生日だったので、お祝いした。

その日の夜、誕生日プレゼントとして、パトリックの絵を描いた。
整っていて描きやすい顔のうえ、約1時間きちんと静止していた。
こんな完璧な絵のモデルは初めてだった。

テレサが、自分も描いてくれと言ってきた。
明日テレサはエルサレムへ戻るので、もう夜中だけど描くなら今しかない。
まあいいかと描き始めた。
彼女はじっとしていられないタイプのモデルだった。
どうやら、昨夜は暑くてよく眠れなかったので、明け方ジョギングをして、さらに一日一緒にガリラヤ湖周辺を観光してたので、寝不足状態でたくさん歩いて、かなり疲れているそうだ。
そう言えばさっき、レストランで食事をしている時も、まるで電池が切れかかったおもちゃみたいに動きが遅くなり、止まってしまう事があったけど、あれ寝てたのか。

つづく

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