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熊本発、オルタナティブ弾き語りの地下ミュージシャンです。

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  • 茶番と晩餐

    オリジナル小説です。林芙美子文学賞落選作なので読者の方はお手柔らかによろしくお願いします。

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最近の記事

茶番と晩餐(36)

2024.8.11 6:00 LINEニュース 台風七号は今日の午前中に関東に接近・上陸の予定。 首都圏の交通機関は全て麻痺状態。 2024.8.11 7:00 LINEニュース 警視庁高円寺北署は、死体遺棄、死体損壊の疑いで住所不詳、本籍地熊本県玉山郡谷池村の足立繭容疑者(二十一)を逮捕した。 足立容疑者は杉並区高円寺在住の会社員の女性の死体を損壊し、その一部を小菅拘置所近くの荒川から遺棄した容疑が持たれている。 警察は容疑者の認否を

    • 茶番と晩餐(35)

      2024.8.10 19:00 新宿はゴミゴミしている。トー横に来たが警察が立ちんぼと呼ばれる女性たちに声を掛けている。彼女らに声を掛けようとしていた男性たちを次々と捕まえて職務質問している。私はここで私の性欲を満たす男性に会うのはリスクが高いと感じた。Xなんかもセックス目的の出会いで使うのは警察が絡んでくるリスクはある。 マッチングアプリでも登録するしかない。それもパパ活目的ならダメなのかもしれない。 2024.8.10 21:20 男性用風俗に行こ

      • 茶番と晩餐(34)

        2024.8.10 11:04 LINEニュース速報 モスクワのクレムリンの大統領府の地下のトイレで、プーチャン大統領が心肺停止状態で見つかった。トイレにはピストルが落ちていて、大統領の体には数発の弾痕があり糞尿と血にまみれていた。 大統領はピストルで自殺を図ったと見られる。 2024.8.10 13:05 LINEニュース速報 福岡北部豪雨の被災地の田川市に入った根岸首相が、猟銃を持った男に撃たれて心肺停止の重体になっている。 男はそのま

        • 茶番と晩餐(33)

          2024.8.10 9:10 私の体はは女性が抱きたい時期から、男性を抱きたい時期へ変わっていた。 いざそうなると簡単に男性を逆ナンパして寝るわけにもいかない。 歌舞伎町のトー横に行けば、私を抱きたいお金持ちの男性は現れるのだろうか。私は眠い目をこすりながら御徒町の快適クラブをあとにした。夜になるまでしばらく時間があるが、やることもない。上野のマクドナルドで時間を潰すか。

        茶番と晩餐(36)

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        • 茶番と晩餐
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          茶番と晩餐(32)

          2024.8.10 7:00 LINEニュース ウクライナとNATOの連合軍の兵士を乗せた装甲車がロシアとの国境を次々越えてロシア領内に入った模様。 ロシア軍はほとんど抵抗しないで兵士が投降している模様。 2024.8.10.8:00 週刊文鳥オンライン スクープ記事 「ロシアのミサイル攻撃にはアメリカの兵器会社、バッキード社のが絡んでいるのか」 週刊文鳥編集部は、在米のとあるフリージャーナリストからアメリカの兵器会社、バッキード社から

          茶番と晩餐(32)

          茶番と晩餐(31)

          2024.8.9 19:30 北千住のマクドナルドで私は相変わらずぼんやりしていた。とりあえず上野に出て、快適クラブのブースの空きを探そうと思った。東京の夜は白くてのっぺらぼうだ。 2024.8.9 20:00 週刊文鳥オンライン スクープ記事 「官邸関係者が明かすロシアミサイルの真実。根岸首相はプーチャンロシア大統領にミサイルの発射を電話で頼んでいた」 首相官邸関係者によると、ロシアのミサイルが発射される前に、根岸首相がプーチャン大統領に直接電話をし

          茶番と晩餐(31)

          茶番と晩餐(30)

          2024.8.9 18:00 日本国総理大臣 根岸毅 原爆平和祈念式典で訪れた長崎市で記者会見 「今朝、ロシアから五発の弾道ミサイルが発射され、そのうち三発は日本の南岸の太平洋上に落下し、残りの二発は成層圏で燃え尽きた。 日本政府はアメリカと協議して、日米安保条約に基づいてロシアに防衛行動を発動し、米軍の戦略爆撃機ポセイドンがモスクワに防衛行動を起こした」 毎朝新聞記者 「落下したミサイルの残骸を米軍は回収したのか? 」 根岸首相 「現在米軍の巡視艇が現場に向か

          茶番と晩餐(30)

          茶番と晩餐(29)

          2024.8.9 17:00 私は河原で軽くお酒に酔って、ボーッとしていた。特になにもすることはない。夕方へ向かう荒川の河原は相変わらず平和だ。核ミサイルもしばらくは飛んでこないだろう。 拍子抜けした気分を噛み締めていたが、相変わらず虚しい。私は百合さんの首が入ったボストンバッグを荒川に流した。それはゆっくりと下流に流れていった。

          茶番と晩餐(29)

          茶番と晩餐(28)

          2024.8.9 14:00 ジェイウェザーフォーキャスト 気象情報 中型で強い台風七号は父島の北東100kmの海上を北西に進路を変えて時速20kmの速さで日本に接近中。 中心気圧は975hPa、中心付近の最大風速は40m、中心から半径70km以内は風速25m以上の暴風雨域、中心から半径130km以内は風速15m以上の強風域になっている。 付近の海上は大荒れの予想。 台風は8月11日の午前中に関東地方に上陸する可能性が高い。 交通機関などに乱

          茶番と晩餐(28)

          茶番と晩餐(27)

          2024.8.9 11:00 LINEニュース 長崎は七十九回目の原爆の日を迎えた。被爆者の二世、三世からなる団体はロシアの日本への核ミサイル攻撃を強く抗議し、米軍などによる報復攻撃を止めるよう声明を出す予定。 2024.8.9 12:00 私は高円寺から中央線に乗って秋葉原へ向かい、そこで山手線に乗って上野に向かい、常磐線に乗って北千住に着いた。百合さんの首はズシンと重かった。東京の電車の乗客は私に関心なんて持たない。私が人の首を持っていても誰も気づか

          茶番と晩餐(27)

          茶番と晩餐(26)

          2024.8.9 9:00 百合さんの死体は少しずつ死後硬直が進んでいた。私はその白い首に鋸を当てて、彼女の首を切り落とした。 百合さんの部屋のクローゼットにあった白いボストンバッグにそれを入れた。それは重みがあって、獣の匂いがした。 私はエアコンをオフにして、身支度を整えて白い半袖のTシャツとデニムのショートパンツに着替えた。 キャリーバッグに荷物を詰め込み、ボストンバッグを脇に抱えて百合さんの部屋から外に出て、ドアを閉めて鍵を掛けた。

          茶番と晩餐(26)

          茶番と晩餐(25)

          2024.8.9 8:00 LINEニュース 午前七時四十五分にアメリカ海軍は日本海に浮かべていた空母ロン・ジャクソンから戦略爆撃機ポセイドンを十機出撃させ、それらはモスクワ上空へ向かった。 ポセイドンにはクラスター弾と劣化ウラン弾を搭載していて、クレムリンがあるモスクワを攻撃する模様。 2024.8.9 8:15 LINEニュース 航空自衛隊は隊員を載せた輸送機眉唾を、石川県の小松基地からロシアに向けて出撃させた。 眉唾にはクラスター弾

          茶番と晩餐(25)

          茶番と晩餐(24)

          2024.8.9 7:00 ミサイルが東京から外れて、日本は滅ばなかった。 私は軽い脱力感を覚えながら百合さんの裸の死体の傍で目を覚ました。 「ふあーっ⋯⋯」 雛も目を覚ましたみたいだ。 私はスマートフォンのニュースアプリで、ロシアからの核ミサイルが東京を外したのを知った。日本は滅ばなかった。 寝癖でボサボサの頭の雛が、私を怪訝そうに見て尋ねる。 「ミサイルはどうなったの? 」 「ああ、東京から外れて南の海に落ちたって。成層圏で燃え尽きたのも

          茶番と晩餐(24)

          茶番と晩餐(23)

          2024.8.9 6:00 LINEニュース 「本日の午前五時五十五分に、シベリアのロシア軍基地から日本に向けて五発のミサイルが発射された。米軍三沢基地によるとそのうち三発は日本の南岸の太平洋上に落下し、残り二発は成層圏で燃え尽きた。 政府はこの後午前六時十五分に緊急の記者会見を首相官邸で行う予定」 2024.8.9 6:05 アメリカ合衆国 国務長官 ホウ・ケイ "We strongly protest any attack on Russia's all

          茶番と晩餐(23)

          茶番と晩餐(22)

          2024.8.8 23:00 東京の深夜は白くて案外静かだ。そろそろ中央線も終電が近いのかもしれない。 私たちは快楽を貪り尽くして、果てていた。三人は覆い被さってシングルベッドに横たわっていた。 百合さんは私の髪を優しく撫でていた。 「ありがとう。もう、私の人生で思い残すことはないよ⋯⋯」 彼女は軽く笑っていたが、その瞳は潤んでいた。 「もう、思い残すことはない。核ミサイルに焼かれる前に、私は自分で始末をつけようと思う」 「はい。色々ありがとうござい

          茶番と晩餐(22)

          茶番と晩餐(21)

          2024.8.8 20:00 百合さんが住んでいる鉄骨造っぽい賃貸アパートは、高円寺駅の北口の商店街を抜けた細い路地の、二階にあった。重い金属のドアを開けると、少し湿った暑い空気が充満していた。 「冷房を入れるね」 百合さんはエアコンのリモコンをオンにした。六畳一間くらいの狭いワンルームに、エアコンの冷気があっという間に満ちた。 私たちはフローリングの床にコンビニで買ったお酒やジュースとお菓子を乱雑に置いた。その周りに私たち三人はしゃがみ込んだ。 「暑いね⋯

          茶番と晩餐(21)