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COVIID-19の発症病態について明らかになっていること

COVIID-19の発症病態について明らかになっていること
舘田一博先生の講義より

COVIID-19肺炎患者のCT画像で、両側の胸壁に接した胸膜直下のすりガラス様陰影を生じる理由については、受容体であるACE-2の分布、吸入する粒子のサイズ、自分で排出したマイクロ飛沫の再吸入、等の機序が考えられている。白血球数増多、好中球数増多、D-dimer高値とともに、初期からのリンパ球数減少が、COVID-19患者の死亡しやすい因子として挙げられている。しかしリンパ球数減少が、重症化の原因なのか結果なのかは結論が出ていない。COVID-19死亡患者の骨髄像では組織球が強く染まっていて、組織球によるリンパ球の貪食が認められる。COVID-19患者の血液では、血球貪食、貧血、血小板減少、フェリチン増加があって、骨髄穿刺像では血球貪食症候群が認められる。血球貪食症候群がCOVID-19の重症化病態に関わっていると考えられる。

COVID-19では肺炎だけでなく、血管内皮細胞の受容体ACE-2を介して、血管内皮細胞に感染を起こし、それを介していろいろな臓器の感染症を引き起こす。これがCOVID-19の重症化や後遺症に関連している。血管内皮細胞の障害や、血栓の形成、すなわち肺血栓症や深部静脈血栓症が、かなり高率にみられており、COVID-19の重症化に関わっていると考えられている。血栓の生じる理由はまだよくわかっていないが、血管の内皮細胞にACE-2を介して感染して、血管内皮細胞からvWFや凝固第8因子を放出させ、それを介して凝固及び血栓形成を促進する。そして死亡患者ではこのvWFが高値で、かつvWFは年齢とともに増加することが報告されているので、COVID-19感染症が高齢者で重症化しやすいことに関連する一つの要因ではないかと考えられている。

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