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大麻元年 ~大麻合法化を牽引するCBD~

この記事は、[CBDアドベントカレンダー2024]およびザ・フナイに連載中の「大麻元年」との連携企画です。

法改正によってCBD市場に変化が訪れる

 大麻取締法改正を語るには、やはりCBDについて語らねばならないだろう。最近よく耳にすることもおおくなってきたCBD。大麻草の主成分であり陶酔作用が少なく、リラックス効果などがありサプリメントやオイルやクリームなどにも配合されている健康食品としてメディアで紹介されることも多くなった。大麻取締法では成分ではなく花穂や葉などを規制する部位規制をしていたため、CBDにたいする扱いが曖昧だった。そのため、コンプライアンスの観点からも、CBD市場に参入する大手企業はほんの一握りであった。しかし今回の法改正によってCBDに対するルールが明確になるため、大手の食品メーカーや医薬品企業や化粧品メーカーなども市場に参入することが予想される。これによって、日本のCBD市場が、バランスよく大きく広がってくれることを願っている。

CBDの普及は大麻の規制緩和へと繋がっていく

 CBDの市場が拡大しはじめると、法律が変わり医療大麻の規制も緩和されていく。それとともに、ヘンプチップやバイオマスなどの産業利用も生まれてくる。環境保護の観点からも大麻草が受け入れられ、十分な理解がされていく。そして、嗜好用の規制の緩和へとつながっていく。
 世界の大麻事情をよく見てみると、多少のズレはあるが、これと同じような軌跡をたどっている。そしてこの中におけるCBDの存在はおおきい。この流れを大きな転換点の梃子と考えて行動していった、Project CBDなどの団体もある。CBDブームやグリーンラッシュという現象は、海外のアクティビストたちが、大麻草全体の規制緩和を目指して、意図的に巻き起こしていったという側面もあるのだ。

日本も例外ではない

 90年代に多角性硬化症の患者たちの勉強グループや市民活動グループが医療大麻の合法化の声をあげはじめた。医療大麻の合法化を強く訴えていた大麻報道センターの白坂和彦氏(現・あさやけ代表)が厚労省と折衝し、日本で初めて合法的にCBDの輸入をおこなった。CBDが大麻合法化への呼び水になるのではないかと感じたからだ。これにより、CBDの輸入販売が可能になり、海外のCBD製品を輸入販売する動きや、CBD原料を輸入し国内で製品化して販売するメーカーも現われた。矢野総研によると、2021年の日本のCBD市場は185億円を超えた。そして、2025年にはこの3倍の829億円を超えると予想している。CBDが安全な物質であるということは、国内の情報や海外のウエブを調べればすぐにわかることだ。

そして今、大きな転換点を迎えている

 関係者たちの努力によって、日本社会でもCBDは草の根的に広がっている。この動きによって、CBDが難病の子どもたちのもとにも届くようになっていき、小児てんかんの激しい痙攣発作にCBDが効果的であることを、日本の親たちは、ネット情報や支援者などを通じて知った。そして、その子たちの声が政治家に届き、今回の法改正に繋がっていったのだ。
 そう考えると、今後、創生期から成長期に入ろうとしている日本のCBD市場がいかに育っていくかによって、その後の日本の大麻産業の方向性が変わってくる。日本では、他の国々のような急激なグリーンラッシュは起きないかもしれないが、むしろ日本的な丁寧さで、じっくりCBD市場を育てていく方が、日本の大麻事情にとってはいいのかもしれない。
 CBDの動向が、今後の大麻産業のゆくえに大きく影響する。そして、大麻規制を緩和していく中で、硬直した社会システムを変革できる大きなチャンスは、一度しか訪れない。僕も含めて、カンナビノイドに携わる者たちは、それを肝に銘じなければならない。

Photo by Asanoko


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