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日本ガイシホールで水樹奈々を見続けた8年13公演の軌跡

2010年3月27日。この日、自分の人生はとある人によって大きく変えられてしまうこととなる。この前年に声優として初めて紅白歌合戦に出場した水樹奈々である。
誕生日や好きな野球チームが同じだったために数年前から注目していたが、この日意を決して初めて「水樹奈々のライブ」に行くことにした。「水樹奈々さんのライブツアー千秋楽が名古屋になることは二度とないだろう」と思ったからだ。ちなみにこのフラグは3年後に回収される。
そして水樹奈々にとってもこの日が初の「日本ガイシホール」でのライブとなった。

日本ガイシホール。東海地方の人達には「レインボーホール」と呼ばれていた会場だ。ライブは勿論、バレーボールの世界大会でも利用実績のある会場で、名古屋近郊では数少ない1万人前後を収容できる会場である。ここより上のキャパとなると一気にナゴヤドームまで上がってしまう。
これは東海地方が抱える闇である。

ライブ当日、何時に行けばいいかわからない自分は午前中には会場に向かった。そして目にしたのは物販に並ぶ長蛇の列。今となっては珍しくもない光景だったが、当日は何故あんなに長時間並ぶのかわからなかった。
並ぶのが苦手な自分は一旦会場を離れ近所をウロウロしていた。当時は一緒に行く人もいなかったのでそれぐらいしかすることがなかったのだ。

ようやく開場時間となり入場。ライブ会場に入ったときの高揚感は野球場に行ったときの高揚感に似ていた。
当時はペンライトとサイリウムの違いがわからなかったのでサイリウム数本しか持ってきていなかった。
しかしそのとき声を掛けてくれたオタクが自分の青いペンライトを貸してくれたのだ!このオタクは山口県からわざわざ見に来たのだという。今では驚かないが当時はとても驚いた。
ペンライトを貸してくれたオタクには9年近く経った今でも感謝している。本当にありがとう。
自分が極力二人分の青いペンライトを持ち歩くのはこの出来事があったからだ。これを読んでいる人も初参戦の人には優しくしてあげてほしい。

そしてライブ本番。1曲目の「SUPER GENERATION」から全力全開で飛ばす水樹奈々。早くも「水樹奈々のライブ」の虜となってしまった。見切れ席だったため一部の演出は見れなかったが、その分距離はそこまで遠くなかったためかずっとステージを見続けた。
この日はライブ終盤にNHKの生中継があった。ここで聞いた「夜桜お七」と「POWER GATE」は一生忘れることのできない光景になった。

それから日本ガイシホールで行われた水樹奈々のライブには欠かすことなく参加した。初めて連番を経験した「LIVE JOURNEY」、初の8月開催で初のアリーナだった「LIVE UNION」、そして「水樹奈々さんのライブツアー千秋楽が名古屋になることは二度とないだろう」というフラグを見事に回収した「LIVE CIRCUS」。CIRCUS愛知公演二日目はアリーナAの前から2列目という神席を引いたのにペンライトとサイリウムの光り物をすべて忘れきた二人分の青いペンライトを持ち歩くとはなんだったのか。そしてこのときも近くにいたオタクから青いペンライトを借りた。それどころかこのときは別のオタクがウルトラオレンジまでくれた。感謝してもしきれない。
さらには前年伊勢送りにされて2年ぶりに愛知開催となった「LIVE ADVENTURE」、唯一の冬開催でツアー開幕戦となった「LIVE ZIPANGU」。それぞれのライブについて一つ一つ詳しく振り返りたい気持ちはあるが、それはまたの機会にする。

そして2018年。「LIVE ISLAND」で今年も愛知にやってきてくれた。勿論会場は日本ガイシホールである。しかしこの年は事情が少し違っていた。

名古屋市総合体育館(日本ガイシ スポーツプラザ)は、昭和62年の開館から30年が経過し施設の老朽化が進んでいることから、利用者の皆様に今後も安全・快適にご利用いただけるよう、下記の改修工事を予定しておりましたが、日本ガイシホールの休館期間が決定しましたのでお知らせいたします。

1 休館施設及び期間
日本ガイシホール
平成 31 年 1 月 21 日(月曜日)~平成 32 年 7 月 20 日(月曜日・祝)

そう、日本ガイシホールは改修工事の為翌年から休館となるのだ。しかも水樹奈々の誕生日である1月21日から。できすぎである。
そのため普通に考えるとこのツアーが改修工事前最後の日本ガイシホールとなる。正直寂しさを感じた。

そして迎えたLIVE ISLAND 愛知公演初日、ライブ会場に向かうと休憩所ができていた。自分はこれについてオタク避難所とか言っていたがどうやら数週間後のKAT-TUNのライブの際にもあったようだ。勿論熱中症対策のためである。

そしてライブ。水樹はこの日だけの夏うたに「ひまわり」をチョイスした。日本ガイシホールのある名古屋市南区の花がひまわりという理由だからだそうだ。そんな理由でいいのか。でも日本ガイシホールがこの2日間でラストだということを意識してくれていたのだろうか。

この日の打ち上げには奈々ファンが何名か参加してくれた。初参戦のときは知り合いは誰もおらず打ち上げもせずさっさと帰ったことを考えるとこの8年間色々あったな、と思った。ちなみに打ち上げの際に飲んだドリンクの名前は「アイランドフルーツクーラー」である。名前聞いて即注文した。

そして二日目、おそらく改修工事前最後のライブ。この日の限定Tシャツが青と知りフォロワーに即代理購入を依頼。水樹のイメージカラーである青は千秋楽にくることが多かったため、ここでくるとは予想外だった。そしてこの青い限定Tシャツを着て13回目となる日本ガイシホールのライブに参戦した。

この日のMCで水樹は「今日が日本ガイシホールでは改修工事前最後の…」という話をした。正直泣きそうになった。
そして最後の曲である「POP MASTER」が流れる。LIVE JOURNEYでは最後、LIVE UNIONでは最初に流れた曲だ。自分はこの曲を聞きながら8年間13公演のことを走馬灯のように思い出していた。まだ死ねないけど。

そして改修工事前最後のライブが終わった。外を出ると雨が降り出していた。まるで日本ガイシホールとの別れを惜しむような雨だった。

2019年、今年も夏ツアーが開催されることが発表された。しかしその会場として日本ガイシホールが選ばれることはない。
それでもいつかこの会場に「水樹奈々のライブ」で戻ってきたいと思う。初参戦した想い出の場所に。