我が家では、豆苗を買うと、カットした豆苗をもう一度育てる。

成長していく豆苗を見ていると、人間の世界に似ているなあと感じるので、豆苗ちゃんの成長記録をここに残しておこうと思う。

1日目「大谷翔平」

カットしたばかりの苗は、どれも同じぐらいの身長。そんな中、ずば抜けて背が高い苗がいた。君は人間世界で言うならば、大谷翔平だね。才能のある者は、「よ〜いどん」の始めの地点からこんなにも凡人と差があるのか。才能ってこういうことかと思った。これから成長していく豆苗ちゃんたちの成長を見守りたいと思う。

2日目「平凡組の成長」

周囲と圧倒的な差を見せつける才能溢れた大谷翔平の出現から1日。平凡組もようやく芽が出てきた。そして、大谷翔平には及ばないけど、平凡組よりも優秀なスペックを持った豆苗ちゃんたちの成長も伺える。平凡組がやっと芽を出してきた頃には、大谷翔平やちょっと才能あるヤツらは、平凡組のずっと先を進んでいるのだ。これが、人間世界にもある才能あるヤツとそうじゃないヤツとの差なのだ。

3日目「元気に育ってくれれば十分」

3日目になるとそれぞれの成長スピードはあれど、全体的に成長してきたなという感じ。ここで感じるのは、親心。豆苗ちゃんを観ていると、成長が早い苗、遅い苗とある。だけど、元気に育ってくれれたらそれでいい。親が子どもに思う気持ちに似ているかもしれない。頭がいいとか、スポーツができるとか、いい学校に通うとか、いい会社で働くとか、結婚して家庭を持つとか、そんなのは何だって良くて、本人が元気に楽しく過ごしてくれていればそれでいいのだと思う。そんな親心を感じた。
それと、豆苗ちゃんって、カットした先から伸びていくものだと思っていたけど、そうではなくて、苗から新しい芽が出てそれが伸びていくんだね。発見。

4日目「うらやましいぜっ！」

4日目にして急成長を遂げた豆苗ちゃん。人間世界で言うなら、成人を迎えたぐらいだろうか。相変わらず、大谷翔平は他よりも抜きに出ている。4日目については、平凡組の成長が著しかったように思う。昨日と比べるとかなり背が伸びている。そして、よくよく観ると苗の間に隠れて、平凡組よりも一足成長が遅いかめさん組もいる。人間世界で遅れをとっている（と感じている）私は、かめさん組が身近な存在に感じられて、応援したくなる。何はともあれ、毎日成長が目に見えるのは、うらやましいぜっ！人間世界では、大人になれば成長なんて目に見えないからね。

5日目「最後はみんな一緒なのだ」

仕事が終わり帰宅すると、成長を見守ってきた豆苗ちゃんが今日の晩ご飯になっていた。成長した豆苗ちゃんを見て、母も食べ頃だと思ったのだろう。背が伸びていた豆苗ちゃんたちは、カットされ我が家の晩ご飯となった。思いのほかはやく豆苗ちゃん成長記録最終日となった。豆苗ちゃん成長記録を書いてきて、感じたことをここに残しておく。

他の豆苗ちゃんとは別格の成長を見せていた大谷翔平も、大谷翔平には叶わないと思いながらもしっかりと成長した平凡組も、平凡組よりもさらに成長スピードは遅いけど、自分のペースで成長していたかめさん組も、みんな調理されて我が家の晩ご飯になった。最後に行き着く場所はみんな一緒だった。これは、人間世界にも言える。世の中の役に立つ発明をした才能ある人も、人生のスタンダートコースを進む平凡組も、人生うまくいかんことばっかだと嘆いている人も、最後は結局みんな行き着くところは同じなのだ。それが人間世界で言うと「死」だ。どんなに頑張ろうとも、どんなにふてくされようとも、最終的にみんな死ぬのだと考えると、なんだか気楽になった。どうせいつかは死ぬんだから、悩むことに時間使う方がもったいないし、それなら自分がやりたいことに時間使った方が良くない？って思った。人生の損得があるとしたら、やりたいこと我慢して悲観的に過ごすのは損。やりたいことをやればやるほど得なんじゃないかな。「死」を意識することで、限られた時間で何をするか、それが豆苗ちゃんたちが教えてくれたことだ。

豆苗ちゃん成長記録、これにて完。