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深センに行った理由と中国の国境越え 【香港・深セン旅 #02】

2日目。香港の街を後にし、中国・深センへ向かいました。Part 1は下記からどうぞ。

ところで、深センって?

深セン、深セン、と当然のように言ってしまっているのですが、ご存じない方もいらっしゃると思います。まずは深センの場所からご説明しましょう。深センは中国の広東省にある都市で、香港の北、香港の市街地からは直線距離で25kmくらいの場所にあります。

深センは、個人的に2、3年くらい前から周囲のメイカー系(モノづくり)クラスタの方達からチラホラ耳にするようになった地名でした。「ガジェット好きなら楽しめると思うよ!」と言われたり、秋葉原で見かける中華系メーカーのプロダクトの製造元を見るとかなりの割合で所在地が深センだったりして(しかも安かろう、悪かろうではないものが増えてきている)。

私も愛用しているドローンを作っているDJI社も深センが本拠地。ドローンの分野ではもはやDJI社の右に出ることができる企業は世界中探してもいないのではないでしょうか。

そんなこともありつつ、ハードウェアの分野では昨今、驚きを提供してくれるのはDJIのような中国企業が多く(残念ながら、日本発のものに驚かされた覚えがない……)、中国では一体何が起こってるんだろう?と気になっている部分もありました。

色々と調べはじめてみると、深センは単なるガジェットが溢れる先進的な街ではなく、そんな街になり得た理由ーーつまり深センという都市自体にイノベーションを起こすことができるモノづくりのエコシステムが確立していることが特異点なのだということを知りました。

このあたりは、現地集合現地解散で深センのハードウエアのエコシステムを体験しにいく「ニコ技深セン観察会」やメイカーフェア深センの運営を通して日本と現地を繋ぐような活躍をされている、高須正和氏の連載記事などを読んでいただくと、深センという都市のユニークネスをご理解いただけるのではないかと。

https://diamond.jp/category/s-shinsen

ニコ技深セン観察会は来月の開催で8回目になるそうで、これまでに参加された方の記事がさまざまな場所で公開されています。訪れる際の参考にもなりますし、それぞれの方の感じ方が少しずつ異なるのも読んでいて面白いです。

https://medium.com/ecosystembymakers/matome-all-d80e21b6100e

前出の高須氏の著書「メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。」や

深センでハードウェア製造業を起業されている日本人、JENESISの藤岡淳一氏の著書「「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶ−これからの製造のトレンドとエコシステム

なども一通り読んで、知れば知るほどさらに深まる深セン熱。

そんな深センに、まずは足を運んで、その街を見て、感じてみたい、というところからスタートしたのが今回の旅行です。Twitterで深センに行くことをつぶやいたところ、

nobiさんが反応してくださって、

前出の高須氏からアドバイスをいただいてしまったり(!)。

あわよくば現地の方にお会いしてお話をなど聞いてみたかったのですが、2月は旧正月の月で多くの企業がお休みに入ってしまうとのこと……今回は時期的にも準備の甘さ的にも断念。いつか何か実になる(したい)企画やネタをきちんと持つことができたら、企業訪問などもしてみたいなと思っています。

……と、前談が長くなってしまいましたが、まずは香港から深センへの移動のお話をする前に、下準備のお話をば。

香港(日本)から中国に行く前に

①香港SIMをゲットしておく

中国は日本でぬるま湯に浸かった生活をしている自分からみると、本当にユニークな国だなあと改めて思いました。そう思う理由の一つは「金盾(またの名をグレートファイアウォール)」の存在。

深セン(というか中国)では現地からインターネットにできたとしても、グレートファイアウォールに阻まれ、我々がいつも使っているような各種ウェブサービス(GoogleやTwitter、Facebook、Instagram、LINEなど)にはアクセスできません。ホテルのWiFiや現地(中国)のSIMを購入した場合も、です。

ですのでSIMフリーのモバイル端末を持っている場合は、グレートファイアウォールの適用外となっている香港のSIMカードを購入しましょう。中国国内から海外ローミングで香港の通信会社を経由させてインターネットに接続することで回避することができます。

というわけで、今回は「中国聯通香港 (China Unicom)」の7日間2GBのデータSIMを日本で購入して持って行きました。Amazonでも買えます

私は格安SIMを使っているので無理だったのですが、ドコモやau、ソフトバンクといった日本の3大キャリアを使っている方の場合は日本のキャリアの海外ローミングを使ってしまうのも手かと思われます。

②WeChatのアカウントを作成し(どうにかして)WeChat Payをアクティベーションして(どうにかして)人民元をチャージしておく

中国に行くからには使ってみたかった「WeChat Pay」。今週公開されたSPURの連載にも書いたのですが、深セン(というか中国の都市部)での普及率は日本のモバイル決済と比べると驚異的。日本にいるうちに「WeChat」アプリをダウンロードして、アカウントを作っておくことをオススメします。

ただ、このWeChat Pay、基本的に中国の銀行口座を持っていないと利用することができません。

ウラ技(?)として、すでにWeChat Payを使っている人が周囲にいれば、その人に0.1元でもいいので送金をしてもらえれば、使えるようになるようで。私は夫が知人から送金してもらえそうとのことだったので、その方から夫のアカウントに送金をしてもらってアクティベーション、アクティベーションした夫のWeChat Payアカウントから私のアカウントに送金してもらうことで、無事使えるようになりました。

(これから中国に行かれる友人・知人のみなさま、私でよろしければ送金できますのでお声がけ下さい〜。)

……が、アクティベーションできたところで、結局チャージができないんですね。クレジットカードからのチャージにも対応していません。なので我々は事前に羽田空港の「Pocket Change」という端末で日本円で5,000円をチャージしておきました。到着ターミナルにあります。

本来は余った外貨を電子マネーにチャージする用途で作られたもの。チャージ先の電子マネーを選択して、現金を投入すると、QRコードがプリントされたレシートが出てくるので、そのQRコードを読み込むとチャージされるという仕組み。ちなみに、レートはそんなに良くないです。

(QRコードは削除しています)

③その他

WeChatの他にも、中国国内でメジャーだというアプリはいくつかインストールしておきました。アカウントのサインアップも日本で済ませておくことをオススメします。SMSでの認証が必要になるサービスがほとんどなので、電話番号を持っていないと苦労します。

・Baidu Map(百度地图) :Google Mapそっくりの地図アプリ。Google Mapは場所がズレていたりして、ほぼ使い物にならないので、必須。
・DiDi(滴滴出行):Uberのようなタクシーアプリ。支払いはWeChat Payで。
・Mobike(摩拝単車):自転車シェアリングアプリ。支払いはWeChat Payで。

電車で香港から深センへ

さらに前談が長くなってしまいましたが、香港から深センへの移動に戻ります。

まずは東鉄線という電車にのって、香港のはしっこ「羅湖(ローウー/Lo Wo)」へ向かいます。

https://goo.gl/maps/aqRWmM8gEgN2

香港の中心地から40分くらいだったと思います。ちなみに東鉄線は香港で一番最初に開通した鉄道路線らしい。

車内は結構混んでいました。大きな荷物を持った人がたくさん。

車両の雰囲気がどことなくイギリス感ある。と思ったのだけど、日本製でした。昔、使っていた車両はイギリスのメトロキャメル社製だったらしい。

羅湖駅に到着。

案内に沿って歩を進めます。

1997年に中国に返還された香港ですが、香港・中国間を行き来をするにはイミグレーションを通過しなければいけません。パスポートを提示して、入国審査を受けます。同じ国なのか別の国なのか、不思議な感じ。

人が多いのと、強面の警備員(警官?)がいたるところにいたので、あまり写真を撮れなかったのですが、ここが中国との国境付近。川を越えると(実際は室内なので川を超えている感じは無いですが)中国です。徒歩で国境を越えるのも不思議な感じ。この先が入国審査エリアになっています。

ちなみに中国への入国審査では10本の指、全ての指紋をスキャンされます(!)。そのせいなのか、入国審査の列はものすごい混雑。事前に指紋を登録できる端末が端っこに置かれてはいるのですが、10台くらい置いてあるうち6,7割が使えないという(笑)。とはいえ登録できてしまえば、入国審査のカウンターでは両手の親指を認証するだけで通過できるので、スムーズでした。

入国審査を終えて、荷物検査を通過すれば、そこは中国・深センの深セン駅。国境(川)を挟んで2つの駅が繋がっているということなのですよね。建物の大きさ、空間のダイナミックな使い方、中国に来たぞ〜という感じ!

ここからはGoogle Mapの位置関係が不正確なので、Baidu Mapで。真ん中下あたりの「罗湖」が香港の「羅湖駅」。その上に川があって、渡ったところにある「深圳站」が「深セン駅」。香港で使われている文字は繁体字なのに対して、中国で標準語として使われている文字は簡体字なので表記が若干違います。むずかしい。

地下鉄のチケットもWeChat Payで

まずは地下鉄に乗って滞在先へ向かいます。深センの地下鉄は改札を入るたびにX線の荷物検査を受けなければいけないので大きな荷物を持っているとなかなか不便(検査自体はかなり適当な様子だったけれど)。

地下鉄のチケットを買おうと券売機に向かったんですが、よく考えると我々、中国元の現金を持っていない……そこで早速WeChat Payです。画面に表示されたQRコードをWeChatアプリで読み込めば支払い完了。Alipayも使えるようでした。

前談と下準備の話でかなり長くなってしまったので、今回はこの辺で。


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