綾辻行人さんの作品について

ツイッターで話題が出たので割り込もうかなとも思いましたが
長くなりそうだったのでこちらに書きますね。

実はわたしの最も好きな作家が綾辻行人さんなんです。

しばらく遠ざかってたので最近は読んでなくて
アニメのAnotherの原作が綾辻さんとも知りませんでした。
おもしろいので途中から見てましたが
録画失敗で中盤しか見ることができなかったのが悔やまれます。

今はどうなっているのかわかりませんが
わたしが知ってる頃の綾辻さんの作品系統は2通り。

・本格謎解き推理小説(館シリーズなど)
・サスペンスホラー系(囁きシリーズなど)

特に本格推理小説が好きで
海外作品ではヴァン・ダインやエラリー・クイーンなど
(グリーン家、黄色い部屋など館ものは特に大好き)
を読んでいたわたしにとって
綾辻さんの作品群はまさに「どストライク」
年代順に下記9作品を読みました。

・十角館の殺人
・水車館の殺人
・迷路館の殺人
・人形館の殺人
・殺人方程式 切断された死体の問題
・殺人鬼
・霧越邸殺人事件
・時計館の殺人
・黒猫館の殺人

中でも最高傑作だと言われているのが次の2作品です。

・霧越邸殺人事件
・時計館の殺人

構成の美しい「霧越邸」に比べると
「時計館」は謎解きの興味とは別に
物語が進むに連れて鬼気迫る作品です。
分厚い本でしたがおもしろくて一気に読んでしまいました。

個人的にはこれらの2作品の他に

「黒猫館」「水車館」などが好きです。

サスペンスホラー系は興味がなかったので
スプラッターホラーと言われる「殺人鬼」を除くと
まったく読んでませんが
「Another」はとても面白いですね。

今は本を読む時間があまりありませんが
機会があれば読んでみたいです。

書評などは以下のブログがおすすめです(※ネタばれなし)
http://www.geocities.jp/y_ayatsuji/step2/imp/imp-a.html

ここから先は少しネタバレに近い部分も含んでいるので
興味のある方だけ読んでください。


※詳説【多少ネタバレ注意】(あまり具体的には書いてません)

1.十角館の殺人

 実は2以降は発表年度順に読んだのですが
 いちばん最初に読んだのは「黒猫館」でした。
 そのせいもあってかこの作品が
 いわゆる「新本格推理小説」の
 先駆けとも位置づけられているですが
 そんなにビックリするような感想は持ちませんでした。
 出版当時の時代背景を考えると
 重要な指標となり得る作品なのかもしれませんが。

2.水車館の殺人

 奇妙な形の家の見取り図、ミステリアスな登場人物など
 十角館よりもサスペンスたっぷりで
 全作品の中でもベスト5に入るほど好きな作品です。
 唯一の欠点は死体処理が非現実的なこと
 たぶん実地検証をすればもっと痕跡が残ることになり
 本作のようにうまくはいかないのではないでしょうか。
 (東野圭吾さんの江戸川乱歩賞作品「放課後」の
  密室トリックの時も同様に感じました)
 

3.迷路館の殺人

 タイトルにかなりの期待を持って読んだため
 十分な満足感は得られませんでした。

 
4.人形館の殺人

 全編を通じて緻密に描かれた良作だと思います。
 メイントリックは女史の生み出した系統なのですが
 うまく処理されていると思います。
 犯人の意外性ということでは少し評価が下がります。

5.殺人方程式 切断された死体の問題

 刑事モノにしては新本格派の面目躍如というところでしょうか。
 あまり期待してなかったのですがそれなりによくできた作品だと思います。

6.殺人鬼

 これでもかというくらいの残虐な記述があり
 スプラッターホラー小説として書店で立ち読みしたことがあって
 綾辻行人さんを知ったのは実はこの作品が初めてです。
 新本格派としては異例な作品と位置づけられているみたいでしたが
 興味があって読んでみました。
 すると意外なことにミステリーとしてもちゃんとした形になってるんです。 これは驚きとともに収穫でした。

 
7.霧越邸殺人事件

 幻想的で構成の美しく「時計館」と甲乙つけがたいほど
 素晴らしい作品だと思います。
 題材的には一口で言うと「見立て殺人」ということになるのかな
 同様の題材を扱った作品群の中でも優れていると思います。

8.時計館の殺人

 かなりのボリュームの大作でしたが面白くて一気に読んでしまいました。
 外部と連絡が取れない館の中で次々と人が殺されて
 生き残る人たちが少なくなっていく恐怖感が見事に描かれていると思います。
 ただ犯人の意外性という意味ではビックリということはなかったです。
 おそらくはそちら側の人間じゃないかなと思いながら読み進めていたので
 決め手となったメイントリックよりもサスペンス小説として好きです。 
 

9.黒猫館の殺人

 年代順に読んだと書きましたが実は初めて読んだのはこの作品です。
 いや~これにはビックリしました!
 館ものという大好物に加えてこの驚天動地の大トリック!
 確かに言われてみればおかしな部分はありました。(でもスルーしてた)
 この仕掛けを見抜いた読者は果たしているのでしょうか?
 というくらいのインパクトがある作品です。
 「霧越邸」「時計館」の評価が高いですが
 ミステリーの原点という意味ではこの作品こそ評価されるべきではないでしょうか。

(以上、ちょっと上から目線な物言いになってしまって不快に感じられた方はごめんなさい)

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