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私がコンサルと服屋を掛け持ちする理由

平日はコンサル、土日は服屋をする生活を始めて、3ヶ月が経ちました。

体力的にはなかなか大変なのですが、自分の中でさまざまなバランスが取れてきたと感じています。

ここで、私がなぜコンサルという本業がありながら、自社ブランドの服屋を始めようと思ったのかという経緯についてお話しようと思います。

プラス方面の理由については、以前の記事でも書いたので、今回は必ずしもプラス方面とは言えない理由についてです。

8年前に、猛勉強の末国家資格を取得し、コンサルタントとして独立しました。

その後、お仕事には比較的恵まれましたし、(好きか嫌いかはともあれ)「先生」という敬称をつけて呼ばれる機会も増えました。

しかし、その反面、「コンサルタント」という職業に対する偏見にも直面していました。

初めてお会いした方に「口先だけで大金をもらうような仕事をしている」と突然罵られたり、「『コンサルティング』とついた会社名はうさんくさい」と言われたり。

セックスワーカーの方や人の死にまつわる職業の方が受けている差別や偏見に比べれば、甘っちょろいものなのかもしれません。単純に私の知名度や実力が足りなかっただけなののかもしれません。

とはいえ、人生で初めて受ける職業差別は衝撃的でした。

私が出会ってきたコンサルタント仲間の多くは、みんな勉強熱心で、お客様の話を親身になって聞き、お客様を第一に考えた提案ができる方ばかりでした。私もそうありたいと思っていたし、コンサルタントという仕事に誇りを持っていました。

しかし、度々受ける攻撃に少し疲れてきたのも事実でした。

そこで、コンサルタントの仕事は続けつつも、もう一つの仕事の軸を持ちたいと思ったのです。

そんな中で、ひょんなきっかけでガーナの生地に出会い、自分自身が実際に着用して明るく前向きな気持ちになれたことから、これらの生地で服を作って販売してはどうかと考えるようになりました。

ブランドコンセプトの策定からデザインやパターンの発注、生地の買い付け、サンプル作製や量産の手配、WebサイトやECサイトの作成、各種販促物の手配、SNSでの発信、お客様への販売まで、一通り自分でやってみるのは、非常に刺激的な経験でした。

そして、自分が思い描いたものが形になって、それをお客様が選んでくださる喜びは、何ものにも変えがたいものでした。

その反面感じたのは、経営者としての不安や迷いです。たとえ周りの方に支えられていても、方向を指し示したり最終的な決断をしたりするのは私です。それはとても孤独だし、怖いことでもあります。

そんな中、今までお付き合いしてきた仕事仲間やお客様、友人の中には、客観的で的確な意見を言ってくださる方もおり、そのことをとてもありがたく思いました。

どの意見を受け入れるのか受け入れないのか、どのように事業に生かしていくのかを決めるのは私です。どのように取捨選択していくかで、私の手腕も試されています。

しかし、そのように意見をいただけることで、孤独や不安の最中にいる自分から一瞬抜け出し、全体を俯瞰して見られる自分になれるように思うのです。

企業がコンサルタントに仕事を依頼する時、客観的な視点を得ることが目的の場合も多いですし、特に中小企業の経営者であれば、コンサルタントが話を聞きしかるべき意見を言うことで、孤独や不安から離れ、前に向いて歩き出せることもあるのではないかと思います。

コンサル業から離れた仕事をすることで得た最も大きな発見は、逆説的になりますが、コンサルタントの仕事の意義や重要性でした。

コンサルタントという仕事は常に裏方ですし、コンサルタントとしての一番の成果は、自分たちが必要なくなるほどお客様の会社が成長することなのだと思っています。その意味では少し寂しい仕事でもありますが、非常に意義深い仕事ですし、今後も誇りを持って続けて行きたいと考えています。

これからも体力と資金力が続く限り、コンサルタントと服屋の両輪を回していきます。あたたかく、時には厳しく見守っていただければと思います。



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