2021年の夏は、激動の夏だった。
毎日のように喜怒哀楽が私の中で暴れまわっていた。

ひとつの季節の中でここまで感情が目まぐるしく入れ替わることは、4半世紀生きて初めてだった。
そして短期間でこの4つの感情に振り回されると、人間はここまで精神的に、肉体的に疲弊するのかと実感した。

この夏の出来事は、思い返すと辛くなることが自分でも分かっている。
それでも「記録に残す」という、いつまでも鮮明にそのときの記憶が思い起こされることをするにいたったのには、それなりのわけがある。

マイナスの気持ちをゼロにやさしく導いてくれる、BTSの楽曲たち

画像引用：BTS_official Twitterより

韓国発の7人のヒップポップアイドルグループ、BTS（防弾少年団）。
2020年に彼らがリリースしたアルバム『BE』。
コロナ禍で生活が一変した中、「life goes on」というキーワードをテーマに、8曲（内ひとつは、彼らがビルボードで1位に輝いたときのメンバーの会話が収められたものなので、正確には7曲）で構成されている。

この夏、前述したとおり心身ともに疲弊していた私に、『BE』に収録されている楽曲たちはやさしく寄り添い、過ごしてくれた。

今回は7曲の中から、特に私を助けてくれた3曲を、私が好きな歌詞とともに紹介しようと思う。

Life Goes On

혼자 가네 시간이
時間がひとり過ぎていく
미안해 말도 없이
「ごめんね」も言わないで

하루가 돌아오겠지
一日がまた戻ってくる
아무 일도 없단 듯이
何もなかったかのように
또 하루 더 날아가지
また一日 飛ぶように過ぎていく
Yeah life goes on
人生は続く
Like this again
またこうやって

「時間は生きているすべての人に唯一平等に与えられたものだ」と誰かが言っていた。
自分にもあの人にも平等に与えられたものならば、それを良いものにするのか悪いものにするのかは自分次第だ。

よく「時間が解決してくれる」というけれど、時間が「ごめんね」も言わずに過ぎていく淡々としたものならば、時間は私の憂鬱な気分を解決してあげようなんてことも思っていないだろう。

憂鬱な気持ちに解決の糸口を見つけてあげることができるのは、自分しかいない。
だから、悲しいときは素直に悲しんで、嬉しいときは涙が出るほど笑おう。
日々がまた同じように戻ってきてくれるのなら、時間はかかっても、きっと私は私自身を光の当たる方へ導くことができると思う。

Blue & Grey

Oh this ground feels so heavier
この場所はとても重苦しく感じる
I am singing by myself
僕は自分のために歌を歌う
I just wanna be happier
幸せになりたいだけなんだ
이것도 큰 욕심일까
これも欲張りなのだろうか

괜찮다고 하지 마
大丈夫だって言わないで
괜찮지 않으니까
大丈夫じゃないから
제발 혼자 두지 말아 줘 너무 아파
どうか僕をひとり置いていかないで すごく辛いんだ

メンバーのひとり、Vが制作に参加した楽曲だ。
終始ゆったりした曲調で、ギターやピアノのアコースティックな音色とメンバーの静かな歌声が魅力的なこの曲。

「この人の前では弱音を吐いてはいけないな」「この人の前では泣いてはいけないな」と、自分にしか分からない気持ちで本音を押しつぶした日がたくさんあった。

そうしてその日が終わるとき、毛布をかぶり、ひとりこの曲を聴く。
「大丈夫じゃないから　大丈夫だよなんて声をかけないで」
そんな気持ちを丸ごと受け止めてくれる曲を通して、飼いならした強がりの内側にいる本当の自分を泣かせてあげるのだ。

Telepathy

매번 같은 하루들 중에
毎日同じ日々の中で
너를 만날 때 가장 난 행복해
君に会うときが僕はいちばん幸せなんだよ
매번 다른 일상들 속에
毎日違う日々の中で
너란 사람은 내게 가장 특별해
君という人は僕にとっていちばん特別なんだよ

내 곁에 네가 없어도
僕のそばに君がいなくても
네 곁에 내가 없어도
君のそばに僕がいなくても
우린 함께인 걸 다 알잖아
僕たちは一緒だってこと、みんな分かってるじゃないか

「君に会うときがいちばん幸せで、君は僕にとっていちばん特別な存在」
そうストレートに伝えることは、気恥ずかしくて私には難しい。
けれど、もし自分がこんな素敵な気持ちを受け取ったらあたたかい気持ちになって、その日は幸せな一日になる。

それならば、と思い、「会えたら幸せで特別なあなた」へ「元気にしてる？」とメッセージを送ってみた。

用事があって連絡をしたわけではないので、人によっては会話が続くし、人によっては続かない。
それでも「久しぶり！」「元気そうでよかった」と、相手からのメッセージからうかがえる前向きな感情に、私も嬉しくなったのだ。

ゼロにリセットされた気持ちを、Dynamiteで引き上げる

画像引用：BTS_official Twitterより

このアルバムを締めくくるのは、すっかり彼らの代表曲のひとつとなった「Dynamite」。
たくさんの人に喜びと明日への希望を届けたい。
そんな彼らの想いが詰まった曲を聴き終わったら、前を向いて、上を向いて、あらためて今日をはじめよう。

人生は続いていくのだから。