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飲んでキレイになる??? 水デトックス教の怪

ある季節になると、はやりだす健康法があります。1日に水2リットルを飲む健康法は、その代表ですね。冬よりも水分をとりやすい夏に、特集がくまれることが多いようです。ただ、「どういうかたにむいているのか」の視点がないと、ひとりよがりになりかねません。

【水をたくさん飲んだほうがいい場合】
たくさん水を飲む「必要がある」ひとは、毎日でも水2リットル、飲んだらよいと思います。
・汗をたくさんかき、全身をめぐる血が濃くなってしまうかた
・身体に熱がこもるかた

こうした場合、身体の欲求に任せて飲む水分補給は必要です。
・グラウンドで長い時間過ごす部活をしている
・夏に外回り営業をする
・ボイラー室勤務
・刀鍛冶
・ガラス職人

たとえば1日限定で、汗をたくさんかく日なんかもそうですね。
・屋外イベントに参加する
・海で遊ぶ
あらかじめ脱水の危険性の見当がつく場合にも、もちろん飲んだらいいです。

【水を必要な分だけ、飲めばいい場合】
ここでちょっと疑問を感じてしまうのは、すべての人に水の多飲をすすめる健康法です。そもそも、
・たいして運動をしていない
・汗もかいていない
・脱水しようがない
のに、毎日2リットルの水を飲むのは苦痛なのではないでしょうか。

必要のない水分補給をしても、身体は積極的に吸収しません。
むしろ血液を薄めて、だるさやむくみ・息切れの原因になります。こうしたかたは、喉が渇いたときに「おいしいな」と感じられるところまでの水分補給で十分です。
※シニアのかたは、喉が渇くという感覚が認識できないことがあります。この限りではありません。

【水デトックスの不思議】
さらに独特な水分のとりかたをされるのが、「美容のために飲む」という場合です。水を大量に飲むことで、体内の老廃物を洗い流すとされる「水デトックス」。

大量の水で体内の汚れや余分なものを洗い流すというのは、洗濯機や水洗トイレのような発想ですね。ただ忘れてはいけないのは、洗濯機や水洗トイレを動かすのにも「動力=チカラ」が必要である、ということです。疲れていて、日常生活をおくるだけでも溜息がもれてしまうようなかたには、そういった「排泄するチカラ」の余力がありません。さばききれない体内の水分は、むくみや身体の重だるさの原因になります。これでは、やぶへびです。

【デトックスのしくみ】

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