2014芒種その2_3

必見!お灸の選びかたと楽しみかた

「東洋医学の薬箱」では、市販されていて手に入りやすい「せんねん灸」を基準に記載しています。ほかのお灸を用いる場合でも、下記のご案内を参考にしていただけたらと思います。

【お灸の選び方】

「せんねん灸」は、シールタイプで簡単にすえることができるものが多数あり、温かさも5段階から選ぶことができます。お灸に関してのご質問のなかに、「熱くないか心配」というお声がありますが、ご自分にあった温熱のものを選んでいただければ大丈夫です。

『温熱刺激でツボの効果を出すもの』

・奇跡:炭で作られていて煙が出ない(温熱度レベル3)

・竹生島:マイルドな熱感(温熱度レベル1)

・伊吹:薬局などの店頭で購入しやすい(温熱レベル3)

お灸は程よい熱感を感じれば十分です。熱がる必要はありません。最初はマイルドな熱感の「竹生島(ソフト)」からはじめるのがおすすめです。もし熱感を感じることなく、お灸をすえ終わったあとも肌にお灸のぬくもりを感じないようなら「伊吹(レギュラー)」を試してみるとよいです。また室内でお灸の煙がわずらわしいようなら、煙の出ないタイプの「奇跡」をもちいます。

『香り刺激でツボの効果を出すもの』

・はじめてのお灸moxa:熱感よりも香りを楽しむお灸(温熱レベル1)

お灸の効果に加えて、香りの作用をもちいることがあります。香りの働きで呼吸を深くし、精神や感情にアプローチします。4つの香りの中から、体調や症状にかなったものを選びます。

『持続した熱刺激でツボの効果を出すもの』

・太陽:火を使わず、カイロのように貼り付けたまま熱感を味わうお灸

ツボを長時間継続して温めることで、気血の循環をうながします。

※博心堂鍼灸院では、「せんねん灸セルフケアサポーター」の資格を持つ鍼灸師が「セルフケアのお灸クラス」を定期的に開催しています。そのため、今回は「せんねん灸」のお灸シリーズを参考にして、お灸の刺激量などの目安とさせていただきました。ほかの種類のお灸を取り扱っている薬局や、かかりつけの鍼灸師さんにセルフケア、お互いにすえあうパートナーケアにもちいるお灸のご相談をなさることもおすすめです。

お灸を安全に楽しむために

・お灸はツボにしみとおるような熱感が理想的です。肌の表面でピリピリ痛みを感じるようなら、お灸の熱が強すぎます。ピリピリ熱感を感じたら、すえているお灸を一度外して他の場所にすえなおしたり、お灸を終了しましょう。

・肌が湿っていたり汗をかいていたり、湯上がりで毛穴が緩んでいるときにお灸をすえると、火ぶくれをおこしやすいです。肌の湿気が落ち着いてからお灸を用いましょう。

・肌のコンディションによっては、お灸の熱を感じないことがあります。お灸が終わったあとツボにふれてみて熱感が無いようなら、3つまで連続してお灸をもちいることができます。もし3つすえても肌に熱感が無いようなら、次にすえるときには一段階つよめのお灸を試してもよいですね。

・いつも同じようにお灸をすえていても、コンディションによってカラダへの影響が違います。お灸をすえるときには何かをしながらでなく、じっくりお灸の熱を味わい、カラダの状態を確認しましょう。

【効果的にお灸をすえるために】 

「コンディションや症状にかなったお灸のツボをみつける」

お灸にかんする書籍がたくさん発売されるようになり、一般の方もお灸のツボとりが手軽にできるようになりました。ツボのおおまかな場所は書籍に記載されている通りなのですが、「自分のコンディションに適ったツボ」や「自分の症状に適ったツボ」は、じつは本に記述されているものと異なることがあります。まずは、コンディションや症状とおなじ「手ごたえ」を探してみましょう。基準となるツボの場所から「自分に適ったツボ」をみつけるためには、「自分のこと」を理解して目的となるツボの「手ごたえ」を探すことが肝心です。

「こんなコンディションにはこんなツボ~手ごたえを探ろう」

●疲れて消耗しているとき
皮膚の下に力強さがなく、プヨプヨしています。カラダが消耗するとツボもやせて、皮膚の下にハリや弾力がなくなったように感じます。

●ふれて痛みを感じるとき
皮膚表面に触れたときに痛みを感じるのは、風邪のひきはじめや内出血しているとき、皮膚表面を冷やしたとき・日焼けしているときです。
・日焼けして火照っているようならお灸はかないません。皮膚表面をぬれタオルなどで冷まして、熱感を取るようにします(熱感がとれて皮膚にシワが出るようになると、お灸をすえ始めることができます)。
・内出血しているときには、うっ血して皮膚の色がかわっている「縁(ふち)」のへこみや、皮下にひきつれのあるところを探しましょう。「はじめてのお灸moxa」のようなマイルドな熱感のお灸を1~3個もちいます。皮膚に触れても痛みがなくなったら、皮下の血行をうながすお灸を始めます。
・風邪のひきはじめや皮膚表面を冷やして過敏になっているときには、まず温かい手をあてて表面をゆるめてから、お灸のツボを探しましょう。このとき、皮膚を軽くつまみあげて固さを感じるところが、冷えとりのツボです。

●すこし押さえて痛みを感じるとき
すこし押さえて痛みを感じるのは、皮下の血行が悪くなっていたり、こわばり・緊張・痛みがあるところです。左右からつまんでみると深いシワ・切れ込みができます。切れ込みのあるところがツボで、皮膚の下でちぢこまって血行を悪くしているところです。

●深く押さえて痛みを感じるとき
ふかく押さえて圧痛を感じるときには、筋にこわばりや痛みがあります。その痛みが心地よいときには、お灸の熱感をしっかり感じるほうがよいです。押さえて痛みをつよく感じるときには、お灸をすえる前に、症状のある筋全体をかるくつまみあげるように揉んでおきます(押さえこんだり強く揉みほぐすと、筋肉が緊張してお灸の熱がとおりにくくなるので注意しましょう)。

●冷えているとき
血行が悪くカラダの芯が冷えているときには、皮膚の表面がツヤツヤしてむくみがみられます。手のひらを大きく開いてツボの場所にポンッとのせます。手のひらの下の方からヒヤヒヤした感じがあがってくるところが、冷えとりのツボのあるところです。皮膚表面がツヤツヤしてむくみがつよかったり、汗がじとじと出ていると、お灸の熱でやけどをしやすいです。カイロのように貼り付けるお灸「太陽」で、持続するやわらかい熱刺激をもちいてむくみや冷えをとりのぞき、ツボの状態を改善しましょう。 


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